ドジャース ワールドシリーズ 初の連覇 山本由伸がMVP【詳報】
2025年11月2日午前2時35分
(2025年11月2日午後8時38分更新)
大谷翔平
大リーグのワールドシリーズは最終第7戦が行われ、ドジャースが延長11回、5対4でブルージェイズに勝って、球団初のワールドシリーズ連覇で9回目の頂点に立ちました。
山本由伸投手がワールドシリーズのMVP=最優秀選手に選ばれました。日本選手がワールドシリーズのMVPに選ばれるのは、2009年のヤンキースの松井秀喜さん以来、16年ぶり2人目です。
記事後半では、試合の詳しい経過をお伝えしています。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計 H E
ドジャース 0 0 0 1 0 1 0 1 1 0 1 5 11 0
ブルージェイズ 0 0 3 0 0 1 0 0 0 0 0 4 14 0
目次
12項目
注目山本由伸がワールドシリーズMVP 日本選手16年ぶり2人目
山本由伸「無心で野球少年に戻ったような気持ちで投げた」
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【詳しくはこちら】大谷 山本 佐々木 ドジャースの連覇支えた“日本の3選手”
ドジャースとブルージェイズのワールドシリーズは3勝3敗のタイで、1日、カナダのトロントで第7戦が行われました。
勝ったチームが頂点に立つ大一番に大谷翔平選手は1番・ピッチャーで先発出場し1回、最初の打席で右中間にヒットを打ちました。
そのウラ、大谷選手は第4戦から中3日で先発のマウンドに上がり、2回はツーアウト満塁のピンチを招きましたが159キロのストレートで三振を奪い無失点で切り抜けました。
しかし、3回、ランナー2人を背負って、4番のビシェット選手にスリーランホームランを打たれ3点を先制されました。大谷選手はここでマウンドを降り、この試合2回と3分の1イニングで3失点の内容でした。
9回 ロハス選手が同点HR
その後、ドジャースは2対4で迎えた8回、5番・マンシー選手のソロホームランで1点差に追い上げ、9回には9番・ロハス選手がソロホームランを打って土壇場で同点に追いつきました。
ドジャースは9回のウラに1アウト一塁二塁のピンチで前日に先発登板した山本由伸投手が大リーグで初めてリリーフとしてマウンドに上がりました。山本投手はデッドボールで1アウト満塁の大ピンチを迎えましたが、後続のバッターをキレのある変化球で打ち取り無失点で切り抜けて試合は延長に入りました。
11回 スミス選手の決勝HR
山本投手はイニングをまたいで続投し、延長10回を打者3人で抑えると、打線は延長11回、2番・スミス選手のソロホームランで5対4と勝ち越しました。
そのウラも続投した山本投手は1アウト一塁三塁とランナーを出したものの、最後は得意のスプリットでショートゴロのダブルプレーに打ち取り、ドジャースはそのまま5対4で逃げきって球団初のワールドシリーズ連覇を果たし、9回目の頂点に立ちました。
大谷選手はこの試合バッターとして5打数2安打フォアボール1つ、山本投手は2回と3分の2イニングを投げて許したヒットは1本、フォアボールとデッドボールが1つずつで無失点でした。
佐々木朗希投手の登板はありませんでした。
注目
山本由伸がワールドシリーズMVP 日本選手16年ぶり2人目
ドジャースの山本由伸投手がワールドシリーズのMVP=最優秀選手に選ばれました。日本選手では2009年のヤンキースの松井秀喜さん以来16年ぶり2人目の快挙で、ピッチャーでは初めてです。
山本投手は第2戦で9回を1失点に抑えて完投勝利をあげ、中5日で臨んだ第6戦でも6回1失点で2勝目をあげました。そして、最終の第7戦では同点の9回、1アウト一塁二塁のピンチで、2試合連続のマウンドに上がり、このピンチを切り抜けると大リーグでは初となるリリーフ登板となる中、延長11回まで投げきって無失点に抑え、3勝目をあげました。
ワールドシリーズでは大リーグ記録に並ぶ3勝をあげ、あわせて17回と3分の2イニングを投げて2失点、15奪三振、防御率1.02の大活躍で、シリーズのMVPに選ばれました。日本選手では2009年のヤンキースの松井秀喜さん以来16年ぶり2人目の快挙で、ピッチャーでは初めてです。
ワールドシリーズで1人のピッチャーが3勝をあげるのは2001年、ダイヤモンドバックスでワールドシリーズMVPに輝いたランディ・ジョンソンさん以来、24年ぶりです。
山本投手は試合後のセレモニーでMVPのトロフィーを前にインタビューに応じ「ブルペンに行くまで投げられるか本当の自信はなかったが、最高です。できることは全部出来た」と充実した表情で話していました。
山本由伸「無心で野球少年に戻ったような気持ちで投げた」
9回途中から登板し、2回と3分2イニングを投げて無失点に抑え、チームの連覇に大きく貢献した山本由伸投手は試合直後のグラウンドでのインタビューで「もう無心で野球少年に戻ったようなそんな気持ちで、きょうは投げた」と振り返りました。
また、先発して6イニングを投げた前日に続く連投で、大リーグでは初のリリーフ登板になったことについては「きのう投げ終わって夜、治療をして、きょう練習をしているときに『行くかも』となって、気づいたらマウンドにいた」と話した上で「最高の気分です」と笑顔で話していました。
大谷翔平「全員がいい野球をして すばらしい勝ちだった」
大谷翔平選手は試合直後のグラウンドでのインタビューで、延長11回までもつれた試合について「すごい展開だったが、本当に全員がいい野球をして、最後、すばらしい勝ちだった」と振り返りました。中3日で先発した自身の投球について「最後に悔しい形で打たれてしまったが、少しでも長く、後ろにつなげるようにという思いでマウンドに立った。打たれたあとも打線の1人として一生懸命プレーしようと思った」と話しました。
また、9回途中から試合終了まで投げきった山本由伸投手については「すばらしい。由伸が世界一の投手だとみんなが思ったと思う」と笑顔で話しました。
そのうえで、今シーズンについて「シーズン中も含めて簡単な試合はなかった。本当に全員でつかみとった優勝だと思う。きょう、あすぐらいはこの勝利に存分に浸りたい」と話し、充実感のある表情を見せていました。
佐々木朗希「(山本由伸は)僕たち投手が目指すべき姿」
佐々木朗希投手は「ブルペンで肩を作っていて、めちゃくちゃ緊張したが、本当に勝ってよかった。先発陣が頑張ってくれたので、それに尽きると思う」と満面の笑顔で話しました。
大リーグ1年目の今シーズンは、右肩のけがでレギュラーシーズンでは先発として1勝にとどまりましたが、ポストシーズンではリリーフとして9試合に投げて防御率0.84、大リーグトップの3セーブをあげる活躍を見せました。佐々木投手は「悔しいシーズンだったが、ポストシーズンで投げることができて、自分にとってもいい経験になった。チームもチャンピオンになってすばらしい結果だったと思う」とシーズンを振り返りました。
また、ワールドシリーズMVPに輝いた山本由伸投手については「きのうもきょうも投げて、内容もすばらしかった。僕たち投手が目指すべき姿だと思う」と話し、尊敬のまなざしを向けていました。そして、来シーズンに向けては「シーズンを通して貢献して、またワールドチャンピオンになりたい」と力強く話していました。
シャンパンファイトで喜び分かち合う
チームメートと最後のシャンパンファイトを楽しんだ山本投手は「味がしみる。もうやりきった。一気に疲れが吹っ飛んだ」と充実感をにじませました。そして、日本のファンに向けて「最後は無心でなんとか投げ続けて勝つことができた。応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました」と感謝のことばを述べていました。
ロバーツ監督「選手たちが戦い続けてくれた」
ドジャースのロバーツ監督は球団初の連覇について「何十年もできなかったことを成し遂げてくれた選手たちに心から喜びと誇りを感じている。プレッシャーのかかる局面が何度もあり、試合の流れが逆転する可能性もあったが、選手たちが戦い続けてくれた」とねぎらいました。
ワールドシリーズMVPに輝いた山本投手については「彼は連投でも自分の投球フォームを保てる自信を持ち、このシリーズで3回目の登板でさえも『大丈夫』と言ってきた。大きな役割を果たしてくれた」と賛辞を惜しみませんでした。
そして、大谷選手と佐々木投手とあわせた日本選手3人について「翔平は世界の野球界の顔であり、由伸は大リーグでトップクラスのピッチャーだと証明した。朗希は本当に苦しい時期を経験して大きく成長した。日本の皆さんが彼らを誇りに思っていることはよくわかるし、ドジャースに彼らがいるのは本当に幸運だ」と高く評価していました。