クマ被害 警察官によるライフル銃使った駆除 きょうから可能に
2025年11月13日午前5時02分
クマ被害
深刻なクマの被害を受けて、警察官によるライフル銃を使った駆除が13日から可能になります。警察庁は原則としてハンターに依頼するこれまでの運用は変わらないとしていて、緊急時に限った運用になる見通しです。
クマの駆除をめぐっては、特殊な銃の用途について定めた国家公安委員会規則の一部が改正され、13日から生活圏に出没したクマを対象に、警察官によるライフル銃を使った駆除が可能になります。
先週から被害が深刻な秋田県と岩手県に、テロなどの対応にあたる「銃器対策部隊」の機動隊員が派遣され、地元の猟友会からクマの特性を学ぶなどして準備を進めてきました。
警察庁は原則としてハンターに依頼するこれまでの運用は変わらないとしていて、クマが生活圏に出没し、人的被害のおそれがある場合にライフル銃を使うことを想定しています。
具体的には、クマが出没した際に市町村の判断で猟銃を使う「緊急銃猟」の実施にあたり、判断が間に合わなかったり、ハンターを確保できなかったりした場合に警察官職務執行法に基づいて駆除を行うということで、緊急時に限った運用になる見通しです。
また、警察庁は、全国の警察本部に通達を出し、クマの駆除を実施するための体制を確立するとともに、市町村長と緊密に連携し、ライフル銃の使用にあたっても十分な意思疎通を図るよう指示しました。
秋田と岩手に2隊ずつ配置 地元との連携が課題か
秋田県と岩手県には今月6日から警察官が派遣され、県外と地元の警察官で編成される部隊が2隊ずつ配置され、出動に備えるということです。
クマの駆除にあたる部隊のメンバーはこの1週間、猟友会からクマの生態などについて学ぶ講習会に参加したり、駆除された現場を視察したりして準備を進めてきました。
12日も岩手県滝沢市で講習会が開かれ、参加した警察官たちは猟友会の会員からライフル銃で駆除する際はクマから50メートルほど離れた場所から狙うことや、クマが走っているときは正面から狙うと命中させやすいことなど、説明を受けていました。
警察庁は原則としてハンターに依頼するこれまでの運用は変わらないとしていて、市町村の判断で実施する緊急銃猟を支援する形の運用になる見通しで、いかに地元の自治体や猟友会と円滑に連携をとっていけるか、課題となります。
環境省 「春期管理捕獲」の財政支援 新たに行う方針
冬眠明けのクマなどを捕獲する「春期管理捕獲」は、北海道や秋田県などの自治体で実施され、雪が積もっている中でクマの足跡を追うことで比較的捕獲しやすいことから、クマの個体数管理をするとともに人への警戒心を植え付けることで人里への出没を抑える狙いがあります。
北海道では、もともと春の時期に行っていたヒグマを駆除する制度を個体数の減少の懸念があり1990年に廃止していました。
しかし、その後、人への警戒心が薄いヒグマが人里に多く出没するようになり、おととしから「春期管理捕獲」を実施し、捕獲者の人材育成の場にもなっています。
環境省は、クマによる被害が深刻化する中、クマの個体数管理を強化するため「春期管理捕獲」を行う自治体を増やしたいとして交付金を活用し自治体への財政支援を新たに行う方針です。
このほか、狩猟免許を持つ自治体職員の「ガバメントハンター」のなり手として、退職後の自衛官や警察官に協力を求めたいとしています。
アメリカ大使館など 警報発表 注意呼びかけ
日本でクマによる人身被害が相次いでいることを受け、日本にあるアメリカ大使館などは警報を発表し、クマが目撃された場所への立ち入りを控えるなど注意を呼びかけています。
NHKのまとめでは、今年度のクマによる人身被害は、11日正午の時点で少なくとも220人にのぼり、被害が多かった2023年度の年間の被害者数、219人を上回りました。
こうした状況を受けて、日本にあるアメリカ大使館と総領事館は、12日、クマへの注意を呼びかける警報をウェブサイト上で発表しました。
対象は北海道や秋田県など被害が相次ぐ日本の北部で、目撃情報があった場所への立ち入りや1人での歩行を控えることや、目撃した際は地元の自治体などに報告することを呼びかけています。
また、札幌市にあるアメリカ総領事館では、隣接する円山公園でクマが目撃されたとして、訪れる際は周囲に細心の注意を払ってほしいとしています。
日本でのクマによる人身被害をめぐっては、イギリス政府も日本へ渡航する人たちに向けた安全情報を更新し、事前に野生動物の情報を入手することやクマを引き寄せないよう食べ残しといったごみの持ち帰りの徹底などを呼びかけています。
Posted at 2025/11/13 12:44:01 | |
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