中国外務省 日本への渡航自粛呼びかけ 首相発言に反発強める
2025年11月15日午前1時40分
(2025年11月15日午後2時55分更新)
日中関係
いわゆる「台湾有事」をめぐる高市総理大臣の国会答弁に中国側が反発を強めるなか、中国外務省は14日夜遅くSNSで、中国国民に対し、当面、日本への渡航を控えるよう呼びかけ、日本への観光客の動向や日中間の交流事業への影響も懸念されます。
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政府“従来の立場変えるものではない”台湾有事首相答弁めぐり
いわゆる「台湾有事」をめぐり、高市総理大臣は先週国会で武力の行使を伴うものであれば「存立危機事態」になりうるという認識を示したのに対して、中国外務省が北京に駐在する金杉大使を呼んで抗議し答弁の撤回を求めたほか、国防省が強いことばで非難するなど中国側は反発を強めています。
中国外務省は14日夜遅く、SNSで「中国国民は当面、日本に行くのを避けるとともに、日本にいる中国国民は現地の治安情勢によく注意して、安全意識を高め、自分を守るよう厳重に注意喚起する」として、当面、日本への渡航を控えるよう呼びかけました。
理由について「近頃、日本の指導者は公然と台湾について露骨に挑発する発言をして、両国の交流の雰囲気をひどく悪化させ、日本にいる中国国民の身体と生命の安全を重大なリスクにさらしている」と主張しました。
日本政府観光局によりますと、ことし1月から9月までに中国から日本を訪れた旅行者は748万人と、国・地域別では最も多くなっていて、今後、中国からの観光客の動向や日中間の交流事業への影響も懸念されます。
木原官房長官 中国側に適切な対応 強く求める申し入れ
木原官房長官は視察先の新潟市で記者団に対し「中国外交部による発表は高市総理の国会答弁が日本に在留する中国人の安全にリスクをもたらしているとして中国人の日本への渡航を避けることなどを呼びかけているものだと承知している」と述べました。
その上で「こうした認識は日本側の認識とは相いれず、先の日中首脳会談で確認した戦略的互恵関係の推進と建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性とも相いれるものではない。立場の違いがあるからこそ日中間の重層的な意思疎通が重要だ」と述べ、中国側に対し、適切な対応を強く求める申し入れを行ったことを明らかにしました。
日本の政府関係者「真意を見極めないと」
日本の政府関係者の1人は、NHKの取材に対し「中国側による突然の対応で、真意を見極めないといけない。日本の立場は一貫しており、日中関係の大きな方向性に影響が出ないよう求めていく」と述べました。
日本の政府関係者「日本のビジネスに影響出てくる可能性がある」
日本の政府関係者の1人は、NHKの取材に対し「中国側が先の高市総理大臣の答弁を非常に問題視していることの表れで、さらにエスカレートさせる可能性もある。中国人観光客などが実際に減れば日本のビジネスに影響が出てくる可能性がある」と述べました。
外務省幹部「中国側がギアを上げてきている」
外務省幹部の1人はNHKの取材に対し「中国側がギアを上げてきているように感じる。日中間の交流が停滞してしまわないか心配だ。中国がほかの措置に踏み切る可能性もあり注視していく必要がある」と述べました。
またいわゆる「台湾有事」をめぐる高市総理大臣の国会答弁について「『従来の立場を変えるものではない』とする日本側の主張を中国が受け入れるのは難しいのだろう」と述べました。
自民党 小林政調会長「冷静に受け止めるべき」
自民党の小林政務調査会長は、訪問先の秋田県北秋田市で記者団に対し「中国に対し何らこれまでの対応や向き合う姿勢を変えておらず、冷静に受け止めるべきだ。これまでどおり対話を継続し、日中関係という重要な関係を建設的かつ安定的なものにしていくために引き続き努力していくという姿勢については一切揺らぎはない」と述べました。
一方、大阪に駐在する中国の総領事によるSNSへの投稿については「国と国との関係という以前に個人の問題として、大国の外交官としては極めて不適切だったので、自民党としてはきぜんとした対応を政府に求めていく」と述べました。
自民党 森山前幹事長「市民間の交流への影響を最小限に」
超党派の日中友好議員連盟の会長を務める自民党の森山前幹事長はNHKの取材に対し「日中両国は首脳間で戦略的互恵関係を確認している。また、人的交流は日中双方にとって極めて重要であり、今回の中国外務省の対応による市民間の交流への影響を最小限に抑える必要がある」と述べました。
自民党幹部「言いがかりに近い」
自民党幹部の1人はNHKの取材に対し「高市総理大臣の国会答弁はこれまでの政府の考えを踏み越えておらずまったく問題はない。中国は台湾を『核心的利益』と位置づけており、日本をけん制せざるを得ないのだろうが、今回の発表は言いがかりに近い」と述べました。
Posted at 2025/11/15 15:30:28 | |
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