双葉町「特定帰還居住区域」の一部で立ち入り規制を大幅に緩和
2025年11月4日午後6時03分
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県双葉町の一部の区域で、4日から立ち入りに関する規制が大幅に緩和されました。
双葉町は、原発事故の影響で町の面積のおよそ8割が、立ち入りを厳しく制限する帰還困難区域に指定されています。
このうち、避難指示の解除を進める「特定帰還居住区域」の一部で、4日から立ち入り規制が緩和され、午前9時に9つのバリケードが一斉に開放されました。
規制が緩和されたのは、町が来年度中の避難指示解除を目指す、下長塚、三字、羽鳥の3つの行政区で、合わせておよそ110ヘクタールおよそ60世帯が対象です。
今回の措置で、一時立ち入りの事前申請や現地での身分証の提示などが不要になり、住民はいつでも自由に行き来できるようになります。
規制が緩和された下長塚行政区の区長で、避難先の相馬市から訪れた福田猛雄さんは、ようやく自由に自宅があった場所に立ち入りができる日がきたのかという思いです。住民が訪れやすくなることで日常的な交流が生まれたり花を植えたりできるのが楽しみです」と話していました。
【規制緩和対象の行政区長は】
立ち入り規制の緩和の対象となった下長塚に自宅があり、行政区長を務める福田猛雄さん(72)です。
福田さんはこれまで月に1回ほど、町に申請して地区に入っていましたが、それ以外は週に2回ほど町内での用事にあわせて帰還困難区域の境界まで足を運び、バリケード越しに自宅や周辺の様子を眺めていたといいます。
4日、バリケードが撤去されたことについて、「原発事故の後はこの地域は放射線量がとても高く、一時はここに再び住むことを諦めていたので、ようやく申請をせずに入れるようになり、ここまできたかという気持ちです。バリケードは、故郷への思いを断ち切る象徴のような存在で、いつも我が家を複雑な気持ちで眺めていました。手続きが不要になる利便性もありますが、バリケードがなくなるのは気持ちが今までと全然違います」と話しました。
福田さんは事故の後、南相馬市と相馬市に避難し、今は妻と2人で暮らしていて、3か月ほど前から双葉町の自宅の解体を始めました。
避難指示が解除になれば跡地に家を建てる予定です。
行政区長として、この地区にまた住みたいと思ってもらえるような環境づくりをしていきたいと考えています。
福田さんは「生まれ育った場所で、望んで住まなくなったわけではないので、避難指示が解除になったらここに戻ることを心に決めています。誰かが住まないと他の人も続かないと思うので、これから自宅の周辺に花を植えて整備をして、少しずつでも地区に住む人が増えることを願っています。立ち入り規制が緩和されたことで、地区で友人に会ったり交流が生まれたりすることを期待しています」と話していました。
Posted at 2025/11/04 19:56:12 | |
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