39年目のメーテル

菊池桃子さんが間もなくデビュー40周年を迎えます。彼女は、私にとって、メーテルそのものです。――私は、あなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影……。コンサートやイベントが終わると、いつも彼女から、そう語りかけられる気持ちになります。
拝顔の栄に浴する際の印象も、毎回同じです。あまりにも顔立ちが整い過ぎていて、人間離れした美しさだと思います。男がいて、女がいて、妖怪レベルに美しい桃子さんがいるという妙な気持ちになります。
ところで、「銀河鉄道999」に登場する老兵アンタレスは、機械伯爵の居城である時間城で、鉄郎のかたき討ちを支援しました。その際に、「鉄郎、メーテルに気を付けろ」という言葉を残しています。私も、アンタレスと同じことを周囲から忠告されることがあります。
なのに、原作の鉄郎と同じことを繰り返しています。40年近くもです。「私はメーテル。鉄郎、999に乗りなさい」という声が聞こえると、すべての予定に優先させて、999がやってくるメガロポリス中央駅に向かってしまいます。
昨夏は、メーテルが自宅の階段で転倒し、仙骨損傷で長期入院を強いられました。999（コンサート）は開催直前に運休が決まり、最前列のチケットを保有できていた鉄郎は、途方に暮れていました。年末にこの振替公演が決定すると、今度は、鉄郎も自宅の階段で転倒し、左足大腿四頭筋腱断裂の重傷を負ってしまいました。鉄郎は、術後1ヶ月しか経過していない要安静の期間中だったのですが、主治医に頼み込み、特殊な装具を左足全体に付けて、なんとか999に乗ることができました。
――あれから1年が経ちました。
「鉄郎、999に乗りなさい」
またしても、メーテルの声が聞こえてきました。
年末に、999がプラネタリムにやってくるそうです。星空の演出たっぷりのコンサートということなので、もしも、これが最後のコンサートであれば、星屑に埋もれていくメーテルの姿がトラウマになってしまいそうです。
現実的には、最後になる心配はまずなく、来年、デビュー40周年記念コンサートを催行するのにあたって、マーケティングの一環として組まれた企画であろうと思われます。今回の反響を参考に、会場や規模を決めるのではないか、という予想です。
過去6回も999に乗っていると、鉄郎も要領を得ています。往路のウキウキ気分を周囲に見られないように、また復路の余韻を満喫できるよう、「車」でいきます。


38年前のメーテルです。