
何度も書いていますが、私はビートルズが大好き。
ビートルズは1962年-1970年の間、音楽を通して様々な影響をもたらした伝説のロックグループであることはみなさんもご存知でしょう。
ビートルズが日本で初めてのコンサートを行うために、東京羽田空港に降り立ったのは1966年6月29日。今日でちょうど50年になります。そこで2回に渡ってビートルズ日本公演について書くことにしましょう。
6月30日、7月1日、7月2日と3日間5回の公演が日本武道館で行われました。
今でこそ日本武道館でのアリーナツアーというのは、ミュージシャンにとって一流としてのステータスになっていますが、日本武道館は名前の通り1964年東京オリンピックの柔道競技場として建設された日本における武道の聖地です。
それまでにクラシックコンサートの開催はあったものの、ロックのコンサートを日本武道館で行うとは日本の武道を冒とくするもので青少年を伝統的な価値観から堕落させる、けしからんと強硬な反対意見と唱える識者は多くいました。
しかし当時の日本に1万人収容の施設はほんの少ししかありません。そのため結局日本武道館で初のロックコンサート開催となりました。
司会を担当したのはE.H.エリック。ハーフタレントの草分けで岡田眞澄(仮面ノリダーのファンファン大佐)の兄です。
興味深いのはコンサートの前座で演奏した人たちです。主な顔ぶれは、

○尾藤イサオ 写真左
ロカビリーシンガー。あしたのジョーの主題歌を歌ったことで有名。
○内田裕也 写真右
「ロックンロール」でおなじみ。何かとお騒がせな発言と行動を繰り返すワイドショーの常連。この頃は若くてスリムだった、しかし歌詞をあまり覚えていないのか適当に歌っているように見えます。

○ジャッキー吉川とブルーコメッツ
グループサウンズと呼ばれても、他とは一線を画す素晴らしいアンサンブルを聴かせるグループ。代表作はブルーシャトー。レコードジャケットのジャガーEタイプもかっこいい。

○ブルージーンズ
エレキギターの神様、寺内タケシを擁した(この時は脱退中だが)日本初のエレキギターをフューチャーしたバンド。
と、ロカビリー(カントリーとロックンロールをメインとする)や初期のロック界を牽引した実力者ばかりです。それらのミュージシャンはビートルズを歓迎する「ウェルカム・ビートルズ」という曲を合同で演奏しました。
そして、

○ザ・ドリフターズ
えっ、何でコメディアンの集団ザ・ドリフターズが出たの?と思われるかもしれません。
私がビートルズに興味を持った1976年頃に、ビートルズファンの同級生との会話している際にも、
「ドリフがビートルズの前座をやったって雑誌に書いてあるけど」
「えっ?ドリフが出るわけないでしょ。ザ・ドリフターズって、ドリフではなくて本家のドリフターズじゃないの?」
という具合でした。
本家のドリフターズというのは、1950年代初期からアメリカで活動していたリズムアンドブルースの黒人コーラスグループで、ザ・ドリフターズも結成当時参考にしたという先輩的存在でした。
それほど謎だったのは、当時放送されたTV特番では「ウエルカム・ビートルズ」は放送されたが、なぜか単独でステージに出たザ・ドリフターズの演奏シーンはカットされて長い間日の目を見なかったことにあります。
実はザ・ドリフターズは1955年結成時にはロカビリーを演奏するバンドで、メンバーには坂本九、小野ヤスシや木の実ナナが在籍したこともありました。それがいかりや長介と加藤茶が加入してからは、コンサートで曲の合間にコントを演じたらそちらの方が受けてしまい、8時だョ!全員集合が開始後にはコメディアングループの活動が主になりました。当時のメンバーと担当楽器は、
いかりや長介 エレキベース
加藤茶 ドラムス
高木ブー エレキギター
仲本工事 エレキギター、ボーカル
荒井注 エレキギター(本来はキーボード)
最近ではカットされたザ・ドリフターズの演奏がYou Tubeで検索すると出て来るようになりました。それを見るとロング・トール・サリー(邦題 のっぽのサリー)を1曲のみ演奏していますが、リードボーカルの仲本とドラムの加藤のみは演奏しているが、他の3人は楽器を持ったままステージを走り回っていて、曲の終わりにズッコケて、最後に加藤が「バッカみたい」とマイクにしゃべった後にいかりやが、「全員解散」と言って退場するという、わずか1分少々、あっという間の登場時間です。
しかしプロですから別の場では当然ちゃんとした演奏は出来ていました。長さんのベースと、カトちゃんのドラムは私は好きですがね。
(志村けんの名前がありませんが、加入するのはずっと後の1974年から)
話を元に戻して、主催者は日本武道館が使用不可能だった場合は、同じ東京の後楽園球場を予備会場としていました。
これはビートルズが、前年の1965年8月にロックバンドとして初めて野球場でのコンサートをニューヨークのシェア・スタジアム(本来はシェイ・スタジアム)で5万人の観客を集めて行った実績を踏まえた対策だと思われます。上記の通り反対意見が多かったが、日本武道館にて予定通り開催されました。
日本で野球場でコンサートを最初に行ったのは、グループサウンズではトップクラスの人気を誇った、沢田研二、岸部一徳の「ザ・タイガース」で、1968年8月その後楽園球場にて、です。
もし後楽園球場でビートルズ公演が行われていれば、日本で初めて野球場でコンサートを行ったロックバンドとなっていたことでしょうね。
本題のビートルズの演奏については、その2に続く。
※文中敬称略。レコードの写真等はインターネット上に掲載されている物をお借りしました。
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Musician m-dawg | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2016/06/29 00:50:01