
ホンダN-WGN、Nシリーズの第3弾として一昨日発表されました。
ここでは、ライフの後継車として登場したN BOXの弟分、N-WGNについて検証することにしましょう。

N BOXとは同じプラットフォームを使用するものの、最大の違いはリヤドアが普通のスイングドアで背が約100mm低いことです。これはライフと同じマーケットを狙うならば差別化として当然でしょう。

そしてリヤシートが200mm前後にスライドします。タントとスペーシアはスライドするのにN BOXはスライドしないので、それを気にしての措置でしょうか。そしてリヤシート下のデッドスペースを収納として利用するリヤシートアンダートレイが設置されています。
ここはズバリ傘置場として最適です。雨降りの際には濡れた傘を置く場所に困るものです。出来れば水抜き穴などがあるとベターと思いますが。
但し収納スペースは一律相反でそれがあるために、リヤシート倒した時にダイブダウン(リヤシートクッションが沈みながら畳める)が出来なくて、倒してもラゲッジスペースはあまり高さがありません。
またリヤシートを立ててモストリヤの位置では奥行きが370mmしかなくて旅行カバン2個くらいが精いっぱいです。その代り、床下収納はフューエルタンクやスペアタイヤが無いので深さ290mmとかなりの容量があります。フロアボードを立てて固定すれば写真のように大型のベビーカーでも縦に積めます。
リヤシートはスライドの位置によりますが、フロントシートともN BOXより背が低かろうが、あれは過剰な高さなので、余程の大男でもなければ居住性は全く問題ありません。

リヤシートに座った状態でシートベルトをしないと警告灯が付きます。またリヤシートベルトにも衝突時に強く締め上げてのちに少し緩めるフォースリミッターが付きました。

フィットで設定された「あんしんパッケージ」もグレードによって装備されます。ブレーキサポートシステムはもはや常識になりつつある、ということでしょうか。

インストルメントパネルはN BOX N-ONEと類似したデザインで、正直もう見飽きた気もします。斬新なデザインはS660を待て、ということですね。N-ONEでおなじみとなったディスプレィオーディオも選択出来ます。

エンジンは多少進化しています。スイフトの1.2Lエンジンでおなじみのツインインジェクションシステムが採用されました。目的は燃料噴射量の最適化で、アイドリングストップもダイハツとスズキのように減速中からアイドリングストップするようになりました。カタログには「ブレーキを離した瞬間のエンジンのスムーズなかかり具合にもこだわりました」とあるので試したいですね。アイドリングストップはターボにも付きます。その代りパドルシフトはターボでもカスタムのみ標準装備で、カスタムG・Aパッケージにはターボ無しでもクルーズコントロールが標準装備です。

N-WGNもノーマルとカスタムの2シリーズ建てです。前にも言いましたが何でまた「カスタム」なのでしょう。そうまでしてダイハツと同じ土俵に上がりたいのでしょうか。ダンクしかりディーバなりスパークなりのネーミングは悪くなかったと思います。もっと独自性を打ち出してほしいもの。
でもカスタムのインテリアはインストルメントパネルとドアトリムのアンダー部分をバーガンディにした2トーンカラー。ブラックだけのN BOXに比べると少しラグジュアリー度が高く見えます。シートも上級グレードはジャージ生地とレザー調のコンビと、こちらも高級感を演出。
エクステリアの差別化もなされていますが、注目はカスタムのテールランプはフルLED化されていることです。しかしヘッドランプのウインカーは白熱球のまま。プロジェクターヘッドランプなのに2灯式。ハイ/ロー切り替えはヘッドランプ内部で行うようです。ノーマルのHIDヘッドランプは縦4灯式になっています。

グレード展開はノーマル/カスタム共に、G、G・Aパッケージ、G・ターボパッケージの3種6グレードとなっています、Aパッケージからあんしんパッケージが付くのでこれが量販グレードになるでしょう。

カラーリングは11色。
スマートブラック(NH850)、カラトリーシルバーメタリック(NH851M)、プレミアムホワイトパール(NH624P)がノーマルカスタム共通で、クッキークリーム(YR617)、チェリーシェルピンクメタリック(R546M)、プレミアムディープモカパール(YR586P)、プレミアムブルームーンパール(B589P)がノーマル専用、ポリッシュドメタルメタリック(NH737M)、ホライゾンターコイズパール(BG57P)、プレミアムゴールドパープルパール(PB85P)、プレミアムフレイムオレンジメタリック(YR610M)。
新色はスマートブラック、ホンダには珍しくソリッドのブラックです。新車時は良くてもすぐに傷だらけになって保守が大変そうです。カラトリーシルバーメタリックは、アラバスターシルバーメタリックに代わる新色でしょうか。クッキークリームは、JBライフのバニラクレム、キャラメルクレムを髣髴させるお菓子なネーミング、女性受け狙いでしょうね。カスタム唯一の新色プレミアムフレイムオレンジメタリックは、オレンジなのに赤っぽいしどうも曖昧な色調ですっきりしません。
総じてあまりキラッとした感じの色が無く、カラーリングの魅力には欠ける感じがします。マイナーチェンジで2トーンカラーが追加なんてことがあると、状況が変わるかもしれませんが。
インテリアカラーはN BOX発売当初同様にノーマルはベージュ、カスタムはブラック。多分、特別仕様車でノーマルのブラックインテリアとかが後で発売されるでしょうね。
オプションカタログでの注目は、

ステアリングホイールとシフトノブ(本革xピアノブラック加飾コンビ)です。N-ONEから設定された木目調の代わりにピアノブラックパネルが嵌め込まれています。ステアリングホイール、シフトノブ形状はNシリーズ共通なので、ピアノブラックを極めたい方に最適。またシフトノブ(本革製/ブラック)はステッチも黒なので、N BOXのオプションのピンクステッチが嫌な方には検討に値するでしょう。

イルミネーションも充実。例のリヤシートアンダートレイを照らすイルミネーションもあります。これは技として流用出来そう。

フロントシートクッション上に物を置くと傾斜で転がって後ろに落ちてしまします。このシートコンソールは便利そう、N BOXに使えないものか・・・

N BOXのアームレストにある小物入れの使い勝手の悪さに辟易するオーナーは私だけでないはず。このアームレストコンソールならばフタが付いて容量も大きそうです。でも全体の形状が違うので流用は無理かな。

女性目当てに「マカロンカラーコレクション」というパステルカラーをあしらったパーツもあります。基本はアプリコットとミントの2色ですが、こちらのステアリングホイールカバーやシフトノブは本革ではなく合皮でした。スマートキーカバーはシリコン製でアプリコット、ミント、ライム、ミルキーホワイトの4色がありますが、外周のみをカバーするだけなので傷付きやすいHマークのプレート部分を守ることは出来ません。これならば市販品の方が全体を覆うので傷付き防止にはそちらに軍配が上がります、価格も安いし。いずれにしても品揃えが少なく、こういう企画はダイハツの方がはるかに上手です。
個人的に買うとしたらカスタムにします。やはりベージュインテリアは汚れが目立つのでN BOX懲りました。Aパッケージにするか、ターボパッケージにするか。N BOXに比べるとN-WGNは100kg近く軽いのでターボでなくてもよい気もしますが、やはりターボにしたいです。ボディカラーは消去法でホライゾンターコイズパールで。まあ、N BOXを手放してまで買い替えることはありませんが。
さて、ざっと見てきましたがライフの代替需要やハイトワゴンでもスライドドアは不要、背が高くなくてもよい人はいるので、N-WGNもそこそこは売れるでしょう。ムーヴ、ワゴンR、ekワゴン/ディズには十分対抗出来るだけの競争力はあると思います。
そして次のNシリーズは何になるか。S660は別にして妥当なのはバモスのフルモデルチェンジ。でも軽のSUVはどうでしょう。かつてホンダは2代目Z(UM-4)で挑戦したが商売にならずに諦めてしまった過去があります。パジェロミニ亡き後ジムニーだけが残ってはいますが、いかんせんモデルが古い。そのスズキもハスラーとハスラークーペというコンセプトカーでそのジャンルに打って出て来そうです。それにはホンダが対抗車種を出してほしいというのが希望です。レンジローバーイヴォーグを小型化したようなマイクロSUVならば結構受けそうですがね。