
エンジンオイルには粘度表示というものがあります。品質規格等の表示もありますが触れると長くなるので、今回は粘度に絞って書きます。
通常エンジンオイルのオイル缶には、SAE 0W-20とか表示されていますね。
SAEとは米国自動車技術者協会のことで、世界的にエンジンオイルの粘度表示を決めている機関です。
左側の0は、その数字から30を引いた温度が粘度保証下限温度、つまり数字が小さければ低温時の始動性に優れる事、Wはウインターつまり冬期です。-の右側の20は高温時規格では100℃におけるオイルの粘度を示します。
粘度については自動車のエンジンオイルでは0から50までの数字が一般的で、0はサラサラ、数字が大きくなるとドロドロという意味です。
30年くらい前までは、-の付かない20番、30番というシングルグレードが主流で、夏は30番冬は20番といった具合に使い分けていました。シングルグレードはコストが安いので特にタクシー業界はかなり長くその習慣がありました。しかし使い分けるのでは不便と、年間通して使用可能な-の付いたマルチグレードが一気に広まり、今ではほぼ100%マルチグレードです。
そしてマルチグレードでは、10W-30がこの地方では最も流通が多かったです。しかし2000年あたりから0W-20という「低粘度」エンジンオイルを指定する車種が増えて来ました。理由はサラサラのオイルの方がエンジンの摺動抵抗を減らすからです。逆に0W-20指定のクルマに15W-40などを使用するとエンジンの回りが重くなって燃費が低下するとも言われます。
自分のクルマではRGステップワゴンが初めての0W-20指定でした。ワゴンRは10W-30指定だったので仕方なく20Lオイル缶を2本買って別々に使っていました。
ところで2009年にホンダが

ULTRA Greenというオイルを発売しました。
「SAEの規格に適合しませんので、API/ILSACのマークはありませんが車両のエンジンとともに開発され、多岐にわたる性能試験を実施しておりますので機能上はまったく問題ありません」
と書かれています。
最初はハイブリッド専用という触れ込みでしたが、N-BOXの2012年モデル(ターボ車は適用外)でも最も省燃費性に優れたオイルですと記載されています。
そして、更に,

ULTRA NEXTというオイルを昨年発売。
「低温から高温までエンジンの全温度域において低粘度化。このオイルは、省燃費性の追求のために品質規格で設定されている最も低粘度の規格よりさらに低粘度化しています」
と書かれています。
こちらはN-BOXでは2013年モデルと2014年モデル(ターボ車は適用外)の最も省燃費性に優れたオイルですと記載されています。
ターボ車は全年式0W-20のULTRA LEOが最も省燃費性に優れたオイルですと記載されています。
現在のところSAEの規格では0W-20より低粘度の規格は設定されていません。そのためULTRA GreenとULTRA NEXTには表記がありませんでした。でも書かれていないと、つい気になります。
未だにホンダのHPでは公表されていませんが、最近の販促物を見ると、ULTRA Greenは0W-15相当、URTRA NEXTは0W-10相当と記載されています。(規格外のため、あくまで相当である)
いかに抵抗が少ないかというかを、試験機で見てみましょう。

試験機には左にULTRA NEXT、中にULTRA LEO(0W-20)右にULTRA MILD (10W-30)が満たされて、鉄球が入れられています。鉄球を上にして試験機を立てて落としてみると、

ULTR NEXTではあっという間に鉄球が落下開始。

もう着地しているのに、MILDでは半分にも達していません。

ULTR NEXTが、いかに抵抗が少ないかという事がよくわかります。
エンジニアズ・トーク
に開発秘話があります。車種専用オイルというのはたまにありますが、メーカーが規格以上のオイルを企画して商品化するというのはほとんど聞いたことがありません。
となると一度試しに入れてみたいのですが、ホンダ純正オイルは結構高価なのですよね。ちょっと二の足を踏んでしまいます。
そして私が最近使用しているのは、ディトナエボルブ NEO ZERO-Spec 0W-30です。
メジャーではありませんが、モータースポーツにも力を入れているオイル製造メーカーです。これはワゴンR用として最後に入手したオイルですが、リーズナブルな価格と、エコカー専用との記載と、0W-30を試してみたかったのでステップワゴンとN-BOXとフィットRSにも入れてみました。
結果としてはさしてエンジンの回りが悪いこともなく、燃費が落ちたこともありません。
まあ、これで我が家のクルマは全車0W-20指定になったので、次のオイルは0W-20に戻そうかと思います。
適用外のクルマに極低粘度のオイルを使用すると、高負荷運転時に油膜が維持できなくなってエンジントラブルの原因になります。ホンダHPでは「ULTRA GreenとULTRANEXTは推奨車両以外には、使用しないでください」と書いてあります。
うちは承知で粘度を変えていますが、ご注意下さい。
Posted at 2014/06/06 01:24:20 | |
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