こんにちは。TYLORです。
最近は原チャリのジュリオをいじってばかり。
まぁ消耗品の交換とか、そういうやつです。
せっかく手を入れたのに、乗るのは近所の川だけってのも寂しいので。
少し走ってこようと思います。
まぁ一人で行くのもナンなので、だれか引っかからないかLINEした。
釣れたのは、まぁいつものメンバーなんだけど、ツーリングとかに比較的興味がある連中。
※登場人物
ちゅうざん・・・高校の同級生。愛車は50cc。まぁまぁボロい。
もっちゃん・・・大学の同期。愛車は250cc。調子悪い。
最近、体もガタき始めたオッサン3人。ボロいバイクでツーリングに出かけます。
朝、地元のコンビニでちゅうざんと待ち合わせ。

空はよく晴れていて、風もそれほど強くない。バイクで走るにはちょうどいい日だった。
コンビニの前でコーヒーを飲んでいると、ちゅうざんがタバコを吸いながら言う。
「今日はツーリング日和だな」
ちゅうざんは高校の同級生。昔はよく一緒に遊んでいたけど、社会人になってから15年くらい全く会わない時期があった。
それがなぜか、ここ10年くらいはまたよくつるむようになっている。人が良い。おれがよく振り回すけど、それでも付き合ってくれる人格者。
人間関係というのは、距離があっても意外と切れないもんだなと思います。
ちゅうざんは喫煙者で、バイクも50cc。
正直言うと、ツーリングというより「休日にパチンコ行くおっさん」くらいの装備だった。
今日の目的地は千葉県にあるまぁまぁデカいバイク用品店。距離にして往復60kmくらい。
一ヶ月前くらいにジュリオで走った。
バイクツーリングとしてはちょうどいい距離かもしれないが、原チャには大冒険だ。
タバコ吸い終わったちゅうざんがヘルメットをかぶる。
エンジンをかけて、二台のボロいお買い物用原チャリが千葉への道へ走り出す。
これ、大型とかのカッコいいヤツなら絵になるかもだけど。
原チャ2台連なって走るってのが、おれらっぽいな。と思う。
街を抜けると、少し視界が広くなる。

原付はスピード出ない。かったるいけど、その分、景色はよく見える。
信号で止まると、ちゅうざんが横に並ぶ。

「このへん、だいぶ家増えたな」
「昔、よく通ったよな」
ちゅうざんとツルみ出した頃。ミニ四駆にハマったことがった。
夜な夜な、コース常設のお店に通うのに、この道を通ったモノだ。
当時は車で。いまは原チャで。
...なんか、退化してないか?
信号が青になって走り出す。
幹線道路は避けて、抜け道や細い道を選択する。
今時はインカムとか音声通話アプリとか、便利なモノがいろいろあるけど。
信号待ちで会話して、次の信号まで会話が止まる。
その間は次の会話の整理をしたり、話すことを考える時間になる。
それはソレで、楽しめたと思う。
また信号が青になり、走り出す。
こういうどうでもいい会話が、ツーリングの半分くらいを占めている。それが良かった。
橋を渡る。

青い鉄骨のフレームの向こうに、遠くの街が見える。車だとただの橋なんだけど、原チャで渡ると妙に気持ちがいい。
道路脇の森林とか川とか。体に感じる空気がひんやりとする。
これは、バイクで走らないと絶対気づかない空気だ。
橋を渡りきると、ミラー越しにちゅうざんが後ろから追いついてくる。
信号待ちで並んで、ちゅうざんが言う。
「次曲がるのって、あのたばこ屋のとこだろ?」
この道、ちゅうざんは通ったことがあるらしい。
「たばこ屋はしらんけど、交差点のところに目立つ看板の中古車屋がある」
おたがい、目印にしているモノが違うんだと思った。
交差点には、手前側にたばこ屋、反対側に中古車屋があった。
左折するちゅうざんとオレ。
道の覚え方がバラバラだった。
こんな発見、普段会話してても気づかなかったと思う。

のんびり走って、目的のバイク用品店に到着した。
ここで合流するのが、もっちゃん。
もっちゃんは大学の同期で、職業は船乗り。海の上で働いているけど、なぜかIT関連に強い。
合理主義なところがあるが、良く分からん独特の世界がある変態。
とりあえず何かトラブルがあると一番頼りになるタイプ、それがもっちゃんだ。
バイクは250cc。
俺たちの原付に比べると、だいぶツーリングっぽい。
店内を少し見て回る。ヘルメット、ジャケット、工具、いろんなものが並んでいる。ついつい買い物してしまう。
おれはそんな熱心なバイク乗りってワケではない。
たぶんこのお店の中の商品、オレのジュリオには99.5%以上関係の無い商品しかない。
それでも、なんか店内にいるとワクワクする。
結局それぞれ、ちょっとしたものを買って店を出る。
「手賀沼行く?」
という話になり、三人でそっちへ向かう。

千葉県のこの辺にある、湖だか沼だか。それが手賀沼。
おれともっちゃんが通ってた大学が近く、まぁまぁ思い出がある場所だ。
おれが大学の当時、日本一汚い湖だか沼だとかって評価だった気がするけど、今は綺麗に整備されていてサイクリングロードなんて出来ている。
この辺りは、大学時代にもっちゃんとよく遊んだ場所だ。なぜかラジコンブームが来て、ここでよく走らせた。
花火大会にも来たことがあった。

久しぶりに来ても、空気の感じはあまり変わっていない。
土手のあたりにバイクを止めて、昼メシにする。
携帯ストーブを取り出す。

ケトルに水を入れて火にかける。三人でぼーっとお湯が沸くのを待つ。
冷静に考えると、おっさん三人でケトルを囲んでいる光景というのは、なかなかシュールだ。

きっとサイクリングロードを走る爽やかな人たちは、黒っぽいジャンバー着たおっさん3人組が、火を囲っている怪しい団体に見えたに違いない。
お湯が沸いたので純正(カップヌードル)。

そしてコーヒー。

みんなそれぞれキャンプギアを仕込んできている。
わかってんじゃん。
外で食べるカップ麺は、妙にうまい。みんな言う。
だからあえて、何も言わないし評価もしないように心がけるけど、やっぱ美味い。と思う。
三人で近況報告が始まる。
仕事の話。最近の生活。健康診断の話。腰が痛いとか、足が痛ぇとか、そんな話題が自然に出てくるあたり、確実に年は取っているなと感じる。
「またこういうのやりたいな」
とおれが言う。
「じゃ、なんか考えるわ」
こう言う時、もっちゃんがいろいろイベントや仕掛けを考える。
でも、たいてい流れる。
みんな生活があって、それぞれの事情がある。
だから、流れても忘れた頃に「まえ言ってた、あれ、やるぞ」って思い出すようにしている。
流れて疎遠になるっていうのが、今のおれは一番やりたくない行為だからだ。
この場では、じゃ、次はいつで、みたいな断定はしない。
でも、このメンバーなら、またどこか行きそうな気がする。
そういう期待が、まだおれにはある。
途中でソフトクリームも食べる。

大学の頃とやっていることはほとんど変わっていない。ただ、体力だけは確実に落ちている。
おっさん3人がソフトクリーム食いながら、ベンチに座る。 やべー光景だと思うけど、それが「おれら」だ。
思い出した。
あれは、大学の頃。柏の駅前に出来た「銀だこ」だ。
もっちゃんが安くて美味しいよっていうから、とりあえず行ってみるかとなった。
もっちゃんが言い出して、それで行ってみようとかやってみようってパターン、結構多かった。
何個入りか忘れたけど、もっちゃんと割り勘で1パック買った。
出来立てのアツアツ。
二人で頬張る。
・・・
メッチャ熱い。
口の中をヤケドじゃすまない高熱が襲っている。
おたがい、目に涙を浮かべながら、無言になった。
今でも覚えている。
あの笑える光景。
その頃から、銀だこ=スゲー熱ぃ って思ってる。トラウマってああいうのを言うんだと思う。
毎日通る通勤の道。
そこに「銀だこ」がある。
おれは、毎日銀だこの前で、あの柏の「銀だこ」でもっちゃんの熱そうにしている顔を思い出す。
しばらくのんびりしてから、帰ることにする。
もっちゃんとは大学のキャンパスの近くで別れることにした。せっかくなので、キャンパスの前の道を少し通る。
今日は休日だったが、統一テストみたいなのがある様子で、学生が結構いた。
みんな表情がいい。
おれらの代は、ワケあって地元にいられなくなった悪そうなヤツしかいなかった。イメージ。
歩いている学生たちは、こんなやる気に満ち溢れた感じはしなかった。
高校時代、3年間遊びきって、ワンチャン大学に行ければまだ働かなくて済む。とかって考えていた。
なんとかあの大学へ進学。進学というより、なんかしょうもないヤツがしょうもない大学へ収容された感じだった。
大学でも、大学の外でも楽しかった思い出ばかりだったけど、ほとんど勉強していた記憶は無い。
大学の周辺。
新しい家は建ってたけど、それほど変わってない。おれらだけおっさんになってた。
大学の頃は毎日のように通っていた道。なんとなく覚えている、変わらない景色。それがうれしかった。

そこで、もっちゃんと別れる。
軽快に国道を左折していったもっちゃん。
そこでオレは今日1日封印していた、ジュリオに取り付けたホーンを鳴らす。「ペー」ってヤツ。
「ぺぺッ♪」
2回鳴らした。たぶんもっちゃんは気づいてない。
そのあと、ちゅうざんと二人で帰る。
帰り道は、むかし通学のときによく車で走った道を選んだ。

新しい家はだいぶ増えている。でも街の雰囲気はそれほど変わっていない。
おれ、この道を通るのが好きだったんだよな。
下り坂で道や周囲がひらけた感じ。いつか、こんな光景の町に住みたいと思ったことがあった。
この先の信号、よく止まったんだよね。
今日はどうだろうって思ったけど、やっぱり引っかかった。
そんなことを思いながら走る。
ちゅうざんは後ろをついてくるだけだけど、俺にとってはちょっとした思い出ツーリングだ。

1時間くらい走って、また最初のコンビニに戻る。
エンジンを止めて、少し雑談してから解散。
大型のアメリカンに乗って遠くまでツーリング。そういうの、理想な光景。
でも。
50ccと250cc。
このくらいの排気量で、ちょっと遠くまで走って、カップ麺食べてコーヒー飲んで帰る。
それくらいのツーリングが、なんだかおれらっぽい。
おれのジュリオも、ちゅうざんの50ccも、いいご老体。
こいつらを直しながら、また走りに行くってのも悪く無いんじゃ無いか。
いまはそう思ってます。
そんな感じです。