※今回、クルマ出てきません。
長男「パパ、パソコン欲しいんだけど。」
「は?」
こんにちは。TYLORです。
パパ、首都高行きたいんだけど。
みたいな事はかなり言われるのですが、今日はハズして来た。中学2年生。
まぁついに来たか。この流れ。
おれも通ってきた道だ。
おれの頃は、任天堂とSONYに加え、SEGAもゲームハード戦争の真っ只中だった。
中学のおれは、早々に任天堂に別れを告げて、SONYとSEGAに絞った。
お年玉とお小遣い、あと親父に頼んで、ゲームハードを揃えた。
長男が5歳の頃、年長になった辺りで買い与えた、Nintendo Switch。
相当ボロい。
Switch2買うからお金貯めるんだって言ってたけど。どこをどう掛け違えて、パソコン欲しいになったんだろうか?
そんなことを思いながら、パソコン欲しいって、そう簡単な話じゃないと説明。
問題は予算だ。
「自分で買う」って言うから、「金どんだけ持ってんだよ?」と聞いた。
「あーその金額ね」となる。
中坊のお年玉とお小遣いを貯めて、少々の生活費で消えていけば、全財産はそんなモンだろう。
絶妙に足りない、というか、普通に考えれば到底届かない。Nintendo Switch2も買えない。
まぁ、でも。
中古品やら持ってる部品やらで組めば、そこそこのスペックはイケるかも知れない。
「新品で現役」ってのは買えないけど、初めてのPCだし、中途半端には組むことは出来ない。
かといって妥協すればすぐにスペックの限界が来る。
じゃあどうするかと考えて、
「秋葉原行くか」となった。

電車で秋葉原に行くぞって伝えたら、じゃエコバック持っていくよ。
って出してきた、なんかオタクっぽいトートバック。
カエルの子はカエル。
とか、
親の背中を見て子は育つ。
とか、まぁまぁ不名誉なことしか思い浮かばなかった。
おれ「なぁ、長男(名前)。」
おれ「そういうキャラ物のグッズ電車で平気で持ってるヤツってさ、」

おれ「”勇者”って言うんだよ。」
長男「マジで?」
久しぶりに長男と二人で電車に乗る。
ついこの前まで、電車の前が見たいって言って先頭車両に乗りたがったけど。
なんか、さっきからスマホで友達とメッセージやりとりしてる。
アキバ行くとか言ってんだろう。親父と。
こういう時間、昔は全部自分のためのものだったと思う。目的あって、秋葉原に行くだけでワクワクした。
ちょうどピークの時期、秋葉原のど真ん中にあった会社で、営業のキャリアがスタートした。自分。
なんか、秋葉原文化を自分が作っているんだって、そんな気持ちだった。
用もないのに秋葉原の街を歩き回って、キャラクターグッズ店で最新の流行をチェックしたり、
変な雑貨屋で怪しい便利道具買ったり、ジャンク屋でよく分からないPCパーツを買って無理やり組み込んでいた。すべて使えないのに。
今日は隣に息子がいる。スマホを見ているけど、たぶんテンションは上がっている。
分かるよ、その感じ。
何か始まりそうな時の、あの落ち着かない空気。さっきから口数が多い。
昔の自分もきっと同じ顔をしていたんだろうなと思うと、気づけば自分が「連れてく側」になっているんだって。
この辺で自覚した。
秋葉原に到着。
この街は相変わらず。
外国人が多くなった。周囲は古いビルに、最近流行のカードゲームショップ。
観光客向けのキャラクターやら「日本文化」らしい分かりやすい和風のヤツ。日本文化か?
おれが秋葉原にいた頃とはかなり変わってはいるんだけど、秋葉原って、サブカルチャーに敏感な街。
古くからの老舗とかよりも、その時代に合わせてお店の内容が変わっていく。スピード感がある。
おれはそんなイメージを持っています。
最初は良い物を見せてやろうと、大手量販店のゲーミングPC売り場へ。
最新のゲームがデモプレイ中。
長男が思わず手を出す。
もっとスポーツとか勉強とか、何かに取り組んだ時にして欲しかったけど。
いい顔してんな。って思った。
デモ機に掛けられているプライスタグ。
今日の予算の10倍でも足りねぇけどな。
そんな現実を知ってから向かう場所。
今日の目的は、秋葉原の裏通りにあるジャンク通り。
独特で、新品もあるけど、それ以上に、一度役目を終えたモノが普通に並んでいる。
でもその中に、まだ使えるものが紛れているのが面白いところで、新品を“選ぶ”のとは違って、どちらかと言えば“拾う”に近い感覚になる。
店の奥に積まれたジャンクの山、「動作未確認」「現状渡し」と書かれた札は正直ではあるんだけど、ある意味で丸投げ。
でもこういう場所にこそ当たりがある。
今はamazonでも、ヤフオク、メルカリなんかで購入した方が安心だったり、安く手に入る。
実際、自分もPCパーツ関連はネット通販の方が探しやすいし、価格も納得できる範囲。
でも、このジャンク通りって、しっかり探すとまだ出会いがあったりする。
たまにチェックする中古PC店で一台、目についた。
本体は埃をかぶっていて見た目は正直ボロい。買い取ったのか粗大ゴミで出てきたのか。
明らかに”現状渡し”ってオーラを放つボロい筐体。
中身と通電がチェックできる店内。
長男は意味が分かってないまま、重たいPC筐体を持ち上げるのを手伝ってくれる。
その表情には緊張感があった。
無理もない。
無言でジャンクを漁るオッサン達。
店員さんもどこか話しかけてくんなってオーラ。
秋葉原のジャンク屋なんて、今も昔もこんなモンだ。
まぁ、こういうのも経験だなと、ボロいPC筐体の中身を開ける。
中身を見ると分かる。
「あ、これまだいけるな」と思えるパターンの掘り出し物。
自分が使うメインとしては心許ないけど、今時のゲームを向こう何年かはプレイできるだろうスペック。
結構いいパーツついてる。買い足さなくても、このあと違うジャンク屋でパーツを探せばいいレベル。
値段も想定よりだいぶ安く済みそうだ。
長男に「これにするか?」と聞くと、表情は硬い。さっぱり意味が分かってない。
どの程度のゲームが遊べて、どのくらいの期間プレイできるのか、少しだけ説明した。
最後に長男が値札を確認した。「これがいい」と返事。
いいじゃん、その選び方。ジャンクは出会いだ。

まぁ言っても鉄の塊の筐体。そこそこ重い。
おれは持つのはイヤだったけど、長男が積極的に持ってくれる。
そりゃそうか、自分の物だし。
長男がかき集めたPC予算。それよりも1万円近く安い買い物だった。
このあとジャンク屋巡って不足パーツをかき集めて、最後に自分の買い物もして。
おれ「長男(名前)、夜メシはもうアキバで食べていくぞ。今日は夜中までセットアップだからな。」
長男は、今日中にゲームが出来るようになる(かも知れない)事に、テンションMAXだった。
長男「パパ」
長男「おれ、初めてパパの事をすごいって尊敬したよ!」
・・・
ブッコロス!

近くの牛丼専門の「サンボ」へ。
まぁ一度は連れてくよね、アキバ来たら一回は行っときたいお店だ。
うまいかどうかじゃない、あの空気。
長男は普通に食ってたけど、アキバ行ってジャンク屋巡って、サンボ行く。
今ではネタだけど、誰にも邪魔されず目的の物買って、さっさと飯食って、帰って楽しむ。
サンボってそういう店だと思ってる。
まぁ秋葉原に勤めていた頃、昼飯に何度か行ったけど。
もうちょっとゆっくりできるお店で休憩したかったから、あんまり行かなかったけどね。
牛丼大盛り、味噌汁付き。1000円に届く。 高くなったな。
帰り道、プチプチに包まれたPCを持って歩く長男。
そこそこ重いはずなんだけど、多分重さは感じてない。
ああいう光景、いいよ。オレも昔、秋葉原からの帰り道はそうだった。
パーツ1個買っただけで、早く家帰って開封したいってハヤる気持ちを抑えられない。
でもうまくいかなくて、またバラして、そういうのも楽しい、なんて全然思わなくて、絶望して。
でもまた同じような部品探しに行く。

家に着いて作業開始。まず掃除。ここが現実。埃は普通にヤバい。
まさに「現状渡し」。

お店で通電は確認していて、とりあえず着いているパーツは動いてそうだった。
全部バラして、エア吹いて、拭いてく作業は長男にやらせる。
正直、おれがほとんどやってるけど、全部やらせるつもりもない。
こういうのって、一回“見てる時間”が必要だと思う。意味分からなくてもいい。
なんとなくパソコンって「こうやって組むんだ」っていう記憶だけ残ればいい。経験値として。
これが電源、これがCPU。グラフィックスボードにメモリ。
さっき格安で調達した部品と、埃だらけで掃除するのもイヤなファン類は、使ってなかった手持ちの部品に交換してやった。

カサカサに乾いていたCPUグリスは長男が塗布した。
組み直して電源オン。この瞬間は何回やっても慣れない。少しの間のあと、画面がつく。
…おれが一番ドキドキしてた。
ハードウェアの後はソフトウェア。
そこはイマドキのPC。Windowsインストールに続いて、次々とドライバが当たっていく。
昔はマザボードに付属のCD-ROMとか、ヘタするとフロッピーディスクとかにドライバが入ってて、
OSの後はそれをインストールする作業があった。
一通り作業して、終わったのが夜中の0時くらい。
そこからようやく初めてのゲーム起動。

笑顔だよ。
ゲーム起動。普通に動く。なんなら思ってたより快適。十分だろ、これ。
キーボードとマウス、ゲームコントローラ。これはおれの古いヤツをあげた。
たぶんこのPCのスペックなんて、そのうち忘れると思う。でも今日のことは残るだろうなと思う。
自分の金で買って、自分で持って帰って、自分で組み立てて、動かす。
その一連の流れを経験できたなら、おれはまぁまぁ満足。
今日のところは、
はじめて尊敬される程度の仕事ができたと思う。 なんなの。
そんな感じです。