まず最初にお断りしておきますが、今回は備忘録的なもので、ドン引きポイントが極めて高いと思われます(笑)。すみません。
日本の特撮ではおなじみの「
戦闘員」。ネーミングだけ聞くと凄く強そうなんだけどね…。
今や戦闘員が存在する特撮は「スーパー戦隊」だけとなりました。平成・仮面ライダー・シリーズでは、悪の組織の存在自体が曖昧で、それは何らかの目的を持った小規模のグループ、または『現象』ともいえるもの。統率された組織という形態が無い以上「戦闘員」の存在も必要がなくなりました。
さて、「戦闘員」が認知されるきっかけは「ショッカー」の存在を抜きにして語れないことは論を待ちません。この戦闘員という存在を確立した昭和の「仮面ライダー」はやはり偉大です。
▼戦闘員といったらコレ! あ、デストロン戦闘員が混ざってますね(^_^;)。
そのショッカー戦闘員、初期は顔にペイントを施したベレー帽の集団で、女戦闘員もいました(黒いレオタードに網タイツなんですよねぇ…^^)。記念すべき「仮面ライダー」第一話で本郷猛を拉致したのは女戦闘員でした。後の「仮面ライダーアマゾン」の敵組織「ゲドン」の女戦闘員「
赤ジューシャ」は何と怪人(獣人)より位が上なんですよ。
▼ショッカー女戦闘員。バイク部隊もありますよ。
▼赤ジューシャ。妖しすぎる…いや、怪しすぎる。
一般的に「戦闘員」と聞いて真っ先に浮かぶイメージは、あの全身タイツにデストロイヤー風のマスクを被り、「イーッ!」と奇声を発するあいつらでしょう(笑)。これ、後の「ディケイド」で「大ショッカー」が現れた時、かなりリスペクトされてましたね。「戦闘員」=「ショッカー」のイメージそのものといえるかもしれません。「仮面ライダーストロンガー」の後半登場したデルザー軍団は、一人一人が大幹部なるがゆえ、それぞれに専属の戦闘員が存在します。顔も親分の特徴に上手く似せたものでした。やはり大幹部とはいえ、組織は人数が大事なのです(笑)。
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さて、ライダー時代の戦闘員の代表的な特長を挙げてみますと…。
・出自は出稼ぎの青年/壮年である事が多い(家族が捜索してたりする)。
・憧れの怪人にしてもらうべく自ら組織に身を投じたものの、身体能力がレベル以下だったため脳改造だけされたりする。
・とらわれて戦闘員に改造されるまでは、どこかの秘密基地建設のため強制労働を強いられている(暗い洞窟で石を運ばされていることが多い)。
・戦闘員同士だと例の奇声で意思疎通が可能だが、幹部や怪人には人間の言葉で話す。
・時に新開発の毒薬等の実験台にされる(悲)。
・ライダーとの戦闘時、逃げ遅れるとライダーに後ろから締め上げられ、人質の居場所を無理矢理吐かされる。
・よく海や川に落とされる。
・バイク部隊はどの組織にもあるようだが、そのバイクは転倒したら即爆発する(情報漏えいを阻止するため?)。
・もちろん集団行動が得意。
・ライダーパンチでひとりが吹っ飛ばされても戦闘員数人が後ろにいて受け止める。しかし受け止めた数人も全員後ろにひっくりかえる。
・変装が得意で変装時の目つきは結構鋭い。戦闘員がその正体を現すと誰も勝てそうな気がするが、本当は並の人間よりは桁外れに強いはず。ちなみにゲルショッカーの戦闘員は人間の4倍の能力を持っている。
・秘密基地の門番は彼らの役目。たまに交替するときは「イッ」とお互いに言葉を交わす。
…と思いつくまま挙げてみましたが、彼らは地下組織の訓練された「軍人」なのであり、本当は恐い存在なんですよね(…のハズ)。
▼ゲルショッカー戦闘員。一転派手に。右は上司のブラック将軍。
▼なんてったって、こんな厳しい規律を課しているんですから!恐ろしい…。絶対に就職したくない。
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昭和ライダー・シリーズで不動の位置(?)を確立した「戦闘員」、ネーミングは「
ショッカー戦闘員」「
デストロン戦闘員」「
ゴッド戦闘工作員」「
黒ジューシャ」「
ブラックサタン戦闘員」…と設定されていたものの、戦闘員はある意味、特撮番組内では空気のような存在でもあります。そんな各々の名称なんて、当時の日本人にとってはどうでもよかったことでしょう。しかし、戦闘員はライダーシリーズだけでなく、等身大ヒーローの特撮において貢献度は大であり、いつまでも底辺の存在であるはずもありません。そして「宇宙刑事ギャバン」においては戦闘員に明確な「
クラッシャー」という独自の名称が付けられました。同時期のスーパー戦隊「ゴーグルV(ファイブ)」でも戦闘員は「
マダラマン」と呼ばれてます(迷彩模様の全身タイツ)。このあたり以降、各組織の戦闘員は名前が付けられたと記憶しています。
▼ゴッド戦闘員
▼ブラックサタン戦闘員
▼マダラマン
名称を与えられた頃から戦闘員の個性が際立ってきます。
「宇宙刑事ギャバン」の敵対組織「宇宙犯罪組織マクー」の戦闘員「
クラッシャー」の特長は、夏服と冬服があることでした。冬は革ジャンみたいな服装ですが夏は軽装です。今で言うクールビス? 地球の気候に真摯に対応しようとした好例でしょう。
▼クラッシャー
続く「宇宙刑事シャリバン」の敵対組織「宇宙犯罪組織マドー」の戦闘員「
ファイトロー」は秀逸です。
一切言葉を発しません。全て「コワッ」「コワ~」です。ちなみにウィキペディアでは鳴き声として「ゴワゴワ」と書かれていますが、これは明らかに誤りで「ゴワゴワ」とは聞こえません。記述者が戦闘員に思い入れが無いため、きちんと聞き取れていないまま適当な記事を挙げたものだと思われます。ここで私が訂正いたします(笑)。
ファイトローは驚くことに成人と子供(小学生くらいの体格)が存在し、幻夢城内ではいつも踊っているのです。幹部がどんな深刻な会話をしていようと、ボスにお仕置きをされていようと彼らはまとわりついて踊っています。幹部のムシの居所がわるいと振り払われたりすることも…。ショッカーの戦闘員は人語を理解するので最後は話せば分かる気がしますが、ファイトローは何を考えているか全く分かりません。しかし、言われたことはきちんと実行する知能はあるようなのです。ショッカー戦闘員のように集団で統制のとれた行動パターンはみられないようです。顔は金の仮面で、シャリバンに殴られると「ヴァン」とシンバルの端っこを持ったまた鳴らしたような音を発します。
あ、ファイトローのこととなると長くなるのでまたあとで(笑)。
▼ファイトロー
「宇宙刑事シャイダー」に登場する戦闘員は「
ミラクラー」です。これはトーテムポールの顔みたいな凝った顔の作りをしていますが、働きは今イチであまり目立った活躍がありません。なぜかというと、フーマには「ギャル5人衆」なる準幹部ともいえる戦闘集団がいたからです。しかし、ミラクラー本人達は女宇宙刑事アニーに蹴飛ばされていい思いをしていたかもしれませんが(笑)。
▼ミラクラー
「科学戦隊ダイナマン」の敵組織は「ジャシンカ帝国」。ここは「
シッポ兵」なる戦闘員が存在します。地底に住んでいた一族で、シッポの数で身分の格差があり、「シッポ兵」はもちろん尻尾が1本で最下級の人種。「シッポ兵」はショッカー戦闘員と特徴が酷似していました。戦闘員の原点回帰?
▼シッポ兵
「超電子バイオマン」に登場する戦闘員、新帝国ギアの「
メカクローン」はおそらく古今東西、全戦闘員の中でも一番カッコいいのではないでしょうか。流石、今をときめく出淵デザイン!今や「宇宙戦艦ヤマト2199」で注目の氏ですが、当時発売された出淵さんの画集の表紙はなんと戦闘員である「メカクローン」なのです!この頃から戦闘員もだんだん凝った演出がされるようになり、劇中ではパンチを受けて顔が割れ、蒸気とともに内部のメカが露出したりします。バイオマンとの戦闘時、敵幹部が必ず「メカクローン!」と指示を送っているほどの存在感。
▼メカクローン
「電撃戦隊チェンジマン」は、「大星団ゴズマ」の「
ヒドラー兵」が登場。これは単体で見ると、主役(?)の怪人そのもの。よだれを垂らしカエルを踏んづけたような鳴き声を発しながら近寄ってきます。夜に遭遇すると腰を抜かす事間違いなしの不気味さ。幼児にはトラウマとなったかも…。ちなみに私がトラウマになった怪人は「バロム1」のドルゲ怪人でした。デザインがヤバすぎて、現代でとてもとても地上波再放送は不可能かと思われます(おヒマな時にでも『バロム1 ドルゲ』で画像検索してみてください(笑))。
▼ヒドラー兵
「時空戦士スピルバン」の「ワーラー帝国」の戦闘員「
キンクロン」です。これもなかなかに良いデザインですね(^^)。黒ずくめに中世の仮面のような金マスクはファイトローを踏襲していますが、独自の存在感がありました。
▼キンクロン
「世界忍者戦ジライヤ」は「
カラス天狗」。そのまんま…。でもおちゃめで憎めないその存在感は、ジライヤの世界観によくマッチしてました。
▼なんか憎めないその表情。ぶっ飛ばすのはツライ。
これ以降、しばらくスーパー戦隊を見ていない時期になるので、様々な作品を鑑賞する機会があれば、また別の機会に取り上げたいと思います。
そうそう、スターウオーズにも戦闘員が活躍してましたね!
▼銀河帝国軍の機動歩兵「
ストーム・トルーパー」です。世界中で愛されている戦闘員!
「戦闘員」に関しては、「特撮夜話(21)(戦闘員 2/2)」に続きます。※いつになるかは不明(^_^;)。