時速150km/h、前人未踏の限界速度域に耐えられる本物のチューンドを作成すべく、子汚い錆びたトタン外装ガレージの金大事ワークスにてセットアップ開始です。
まず前回のエアコン事件で懲りたのでもうエアコン封印です。壊れたままで車体に鎮座するコンプレッサーを撤去。
飛べない豚はタダの豚、効かないエアコンなんて立たないナニみたいなモンです。
パワーを上げるにも走りに迫力を出すにもマフラー交換は欠かせません。
ここは貧乏人の友ヤフオクを駆使。
そして届きましたよマフラーが。
古新聞と段ボールの適当な梱包を剥がしたら現れましたよ!柿本のマフラー。
アラ?よく見ると妙に形状が...違う...様な?
こっ、コレは3S-GTE用!つ、付かねェ....
まァイイか。1000円だったし。そんな事もあろうかと、実はもう一本TRUST製を買ってあるのでした。
二本出しの巨大な穴ッポコが淫猥な雰囲気を醸し出してます。
内部仕切りタナ落ちとの事ですが、ノーマルよりはマシでしょう。
次は足周り。
TEINのダウンサス。ヘタリまくってドップリと車高が落ちますと出品者のコメントアリの逸品です。
錆びている上に塗装も剥がれてホントにTEINかどうかも謎ですが、お構いなしに作業開始。
かなり車高落ちました。5cm以上のダウン量です カッチョエエ。
車高ダウンに伴い、4輪アライメント調整を行います。
しかしアライメントテスターあるワケ無いし、糸で計るのも面倒ッチイ。
目視と長年の勘を頼りに「目アライメント調整」を行います。
バッチリ決まりました。 見た目は。
続けてボディ補強。こちらもヤフオクで買った微妙に曲りのある前後タワーバー メーカー不詳。
フロントは純正タワーバーに重ねて取り付けます。
リアも純正X形状タワーバーの下に無理クソ装着。
若干ネジのピッチが足りてませんが多分大丈夫。
これで高木のオッサンも絶賛する高剛性ボディに仕上がりました。
タイヤはフロントAVS VS5 16インチ+BS Gグリッド195/50、リア同じくVS5の17インチ9Jに225/50のファイヤーストーン製ド中古5分山パンク跡アリを装着。
リアフェンダーとの接触を避けるべく、プラハンでフェンダー爪を勢い任せでブッ叩いたら塗装にヒビが。
ま、チューンドですから多少の犠牲はやむを得ずってヤツですか。
更にはエアロダイナミクスも考慮し、純正リップを外してFRP製中華リップを缶スプレーで塗装して装着完成です。
若干色が違いますが走ってりゃワカんないでしょう。
「クックックッ..出来たぜ 悪魔のMR2がナ..」
肝心のエンジンチューンはナシ。
って言うか、パーツ高くて中古のULTRA製プラグコードしか買えませんでした。
サイドステップも缶ペが途中で切れたのでヤんなって倉庫奥に叩き込んで終了。
各部増し締め確認ももどかしく、期待に股間脹らませながらエンジンスタート。
「ズボボボ~ン~」
死人も蘇生しそうな程のド迫力の排気音ですよ奥さん!
おや?マフラーから排気の勢いで何か黒い小さな塊が沢山転がり出てきたんですケド。
これは内部の消音材? いやいや、少し出た方が音もデカくなって排気抵抗も減るから大丈夫です。
そして悪魔は走り出す。
「ゴボォェ~~~~ブビビビィ~」
実際回転を上げて走らせてみると、なんて汚いエキゾーストサウンドなんだ!
サイレンサー内部で朽ちた仕切板が排圧で思いッきり共振しています。
お構いなしにベタ踏み!
アスファルトに消音材を大量に撒き散らしながら車速を乗せてコーナーへ。
予想よりタイヤもグリップしています。
直線ではいささか真っ直ぐ走ってない感が否めませんがチューンドですからこんなモンです。
決して目アライメントが間違ってるからではありません。
自宅近く海岸沿いのバンピーでトリッキーでツイスティーでオタッキーな国道テストコースを攻めまくり。
剛性の上がったボディは軋み音も消え、コンプレッサー撤去で軽量化も相まってコーナーリングパフォーマンスは良好。
Uターンして元来た道を折り返し、ストレート通過。
そして自宅横にある橋に差し掛かります。
橋の上はギャップがあり、ここを高速で無事通過出来ればテスト完了。
三速全開、歩道を歩く下校中の小学生が顔をしかめて耳を両手で塞いでいます。
一般市民の迷惑顧みず、悪魔は加速を止めません。
そしてストレート終盤でブレーキングを残しながら橋を通過。
ギャップでフルストロークした抜けたノーマルダンパーは、朽ちたバンプラバーを粉砕していきなり底付き!
ガツンと強烈な衝撃が悪魔を襲います。
縮んで一気に伸びた勢いでホールドの悪い純正シートから飛び上がった私はルーフで頭頂部をドカンと強打。
同時に首の辺りでゴキッと鳴った鈍い音がコックピット内に轟き渡る。
軽い脳しんとうと頸椎の痛みの中、薄れゆく意識の中で松山千春の季節の中でを熱唱する白昼夢を見て夢精しそうになった頃に意識回復。
気が付けばとうに自宅を通り過ぎて港に出ていました。
エンジンを止め、外に出たら既に夕暮れ。
流石は本物のチューンド悪魔のMR2 一筋縄では乗りこなせない。
二筋縄を使った団鬼六のOL縄地獄を超えるドライビングが要求されることが判明致しました。
夕日を浴びて立ち尽くし、ハードボイルドに決めた男の上空をカアカアとカラスが鳴く。
今宵のおかずは何かしら?
-そして悪魔は漆黒の闇へ再び走り出す-
------------------------ 完 -----------------------------