クルマやバイクに乗り始める。
それには人それぞれ理由ってモンが御座います。
カッコイイ、バリ伝やイニD、月刊オートバイの俺サやバリマシ等の雑誌、WGPやF1等々。
そんなバイクのバの字も知らない中学生の頃の私は剣道部に所属しておりましてね、当然センパイなる方々が当たり前に存在しておるのですが、そのセンパイ達はオール女で御座いまして。
何故かしら男は一人も存在していない珍しい部活だったんですわ。
ま、そこで可愛がられつつ馬鹿にされつつ過ごしまして私が三年生に上った頃には彼女たちは卒業ですよ。
そんなある日。
チャリをギコギコ漕いで市内の本屋へアニメ雑誌を買いに出掛ける途中、後方よりスクーター数台が接近。
中の一台が並走状態でこちらを覗きこみ、
「あら?金大事君~!チャリ漕いでる♪」
卒業した剣道部のパイセンじゃねえか!嫌な奴に見つかったナ、、
「アンタ普段も学校指定ジャージ着てるの?モテないよ♪」
放っとけやと思いつつガン無視。
「ま、頑張ってね~♪」
フザケやがってこのアマァ!待たんかコラァ!!
チャリの変速機をヒール&トゥーで素早くシフトダウン 目一杯加速するも全く歯が立たず、パイセン共のスクターが遠ざかる。
「お前らァ覚えとけ!絶対ブチ抜いてやるからなぁ!!」
それまでバイクには全く興味の欠片も無く、むしろ族の乗りモン程度にしか思っていなかった意識が一気に変化。
復讐の鬼と化した私は本屋でアニメ雑誌に目もくれず月刊オートバイを買って帰ったのでした。
しかしバイクに乗るにあたって問題が一つ。
実家から徒歩数分に高校があり、そこへ進学すると通学用バイクが必要無いワケで。
アソビに使う為だけのモノに厳格でエキサイティングなウチのオトンが買ってくれる確率は皆無。
これは困った。
ならば隣町の高校へ進学すれば良いのだ。
30km離れた隣町の工業系高校、コレだよ!ココならバイク通学可能だしバスの定期代よりバイク通学の方が安上がりだからオトンにバイク買ってもらえるぜ。
一応県立だが自分の名前を漢字で書けりゃ合格するとまで言われた屈指のバカ校、しかも不良の巣窟ときたモンだ。
だが虎穴に入らずんば虎子を得ず。
復讐するは我にあり ダイターン3我とアリだ。俺は行くぜ。
そして見事合格。
やがて誕生日を迎え原付免許取得。
オトンにバイクを買ってもらう。
待ちに待った納車の日、届いたのは白いHONDAタクト(AB07)だった。
早速ライディングしてみると速い!こりゃ速いぜ!!もうチャリなんざ乗ってらんねえ!
ゴキゲンで晩飯食って転がってテレビ点けたHONDAのCMが流れていた。
俺のバイクのメーカーじゃん♪
HONDA NEWタクトデビュー
何ィ!?納車した瞬間に新型出たぞ!
こうしちゃおれん、物申さねば!
オトン曰く、新型出たから旧型値引きしてくれたのだと。嫌なら返すぞと言われたので微妙な気分ながらも渋々納得。
その後、ヤンキーなパイセンや同級生の教えで走りと改造にドップリとハマリまして復讐の事なぞすっかり忘却の彼方。
時は過ぎ、高3になった私は愛車タクトをナポレオンミラー、クリアウインカーレンズ、前後TT100でフルチューン。
マフラーカバーへヨシムラ耐熱ステッカーを貼り、ノーヘルで両股カッ広げて走っておりますと前方から赤いZ10ソアラが。
信号待ちで止まり、ミラーを見るとソアラがUターンして隣に停車。
スルスルと助手席のパワーウインドウが下がると
「あら?金大事君~!原チャリ漕いでる♪」
またお前か!化粧なんぞしやがって、スゲエ乳じゃねえか 発育しとるな。
「アンタ高校生にもなってまだ指定ジャージ着てるの?ダッサッ(笑)」
放っとけやと思いつつまたもガン無視。
「ま、頑張ってね~♪」
信号青と同時にリアタイヤを少しスキッドさせてソアラ発進。
フザケやがってこのアマァ!待たんかコラァ!!
アクセル全開、NS500からフィードバックされたGPテクノロジーの集大成であるホンダ2スト3.2馬力が唸る。
しかし全く歯が立たず、ソアラのテールが遠ざかる。
「テメエェッ!覚えとけェッ、絶対ブチ抜いてやるからなァ!!」
--------完--------
Posted at 2015/02/13 02:08:30 | |
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