五敗

　スポーツ紙・報知新聞が運営するニュースサイト「スポーツ報知」の配信記事から『【六大学】明大、史上初５敗も完全Ｖ！』に注目。


　ここで用語の解説。｢勝ち点制｣を採用している東京六大学野球において、対戦校5校全てから勝ち点を得る=勝ち点5での優勝を「完全優勝」と呼ぶ。

　「勝ち点制」においては、2勝すれば勝ち点を得られるので、最短で10戦10勝すれば栄冠を得る。
　しかし今季の明治大は、東京大を含め対戦校全てから1敗を喫しており、かつ対慶應大戦で1引分けを挟むため、16戦10勝5敗1分で優勝。つまり「5敗しながら完全優勝」という点が、リーグ史上初記録（珍事？）なのである。

　因みに勝ち点4での5敗は何度か記録されている。
　優勝校の最多敗戦記録は、1949(昭和24)年春季シーズンで早稲田大が記録した6敗（15戦9勝の勝ち点4・早慶戦1勝2敗、他4校は2勝1敗）。

　また優勝校がこなした試合数16も最多タイ記録で、過去には2013(平成25)年春季シーズンの明治大(10勝4敗2分・2位の法政大に勝率で下回る、これまた珍事だった)と、1963(昭和38)年春季シーズンの慶應大(同じく10勝4敗2分)に続く3例目。



　元々明治大の試合は、特に「血の明法戦」と称される対法政大戦を中心に第3戦・第4戦までもつれることが多く、現役学生自身が自虐ネタにしているほどである。
　その意味では、最高に「明治大らしい」優勝であったと言えよう。


　これも全て、絶対的なエース・柳(4年・横浜高)の存在と、彼を信じてマウンドを託し続けた善波監督の采配に尽きる。
　第1戦をエースの力投で確実にものにし、第2戦で敗戦しても、第3戦で再びエースが登板して勝ち抜けるパターンを完遂できたからこその勝ち点5=完全優勝だった。


　明治大は、来月挙行される大学野球選手権に駒を進める。
　昨年は早稲田大が制したが、明治大の優勝はここ最近無く、何と善波監督が現役学生だった1981(昭和56)年以来だという。

　リーグ戦とは違い、トーナメント戦において敗戦は即ち、大会からの消滅を意味する。
　今季の明治大は対慶應大戦で引き分けた(第2戦・4戦で勝利)以外、全て第1戦は勝っている。
　昨年に引き続き、東京六大学勢が連覇する可能性が高いのではと、ファンの一人として期待している。

　完全優勝の勢いそのままに、またリーグ戦で最大限負けたことを前向きに捉えて、大学野球選手権でも大暴れしてもらいたい。


　おめでとう、明治大学。