首脳

　フランス系の国際通信社・AFP通信の日本語版配信記事から『G7サミット、各国のイメージ戦略で繰り広げられた写真バトル』に注目。

　緊張感あふれる写真である。
　首脳会議が、決して筋書き通りに運ぶ静かな会合でも、友好的な出会いの場でもないことが如実に顕れている。

　ドイツ政府発表の写真だけあって、ヨーロッパの盟主たる独・メルケル首相が、怯むことも臆することもなく、上から米・トランプ大統領に迫っている。
　トランプ大統領は、その勢いに気圧され、視線が泳いでいるようにも見える。

　我が国首相も、どうなのだろうか。
　実際の会議では、米・欧の中間に立ち、宣言案の取りまとめに活躍したそうだが、ドイツ政府の写真では中央に位置しているものの、ただ突っ立って腕組みしているかのようで、単なる背景にされてしまっている。

　国際社会において、今なお重要な地位を占めるに至らぬ日本の現実が、冷徹に切り取られてしまった。


　なお記事に拠れば他に4か国の政府が、会議中の模様を公式に公開しており(出稿時点)、できればそれらの画像もまとめてアップしていただきたかった。




　外交とは即ち、野心漲る知恵者の野蛮人が跋扈する、武器を用いない戦争なのだと思い知る。

　我が国首相の存在感が希薄なら、せめてイメージ戦略だけでも長けていれば、多少のリカヴァリもできたろう。
　しかし、どうやらそちらのスキルも怪しいようで、国民の一人として絶望的な気分に陥る。


　更に高額な兵器購入契約や、極めて不利な通商条件など、国益を損なう外交的な失点を重ねぬよう、注視していきたい。