このブログは「
村の鍛冶屋」を聴きながらお読みください。
この曲は小学校の音楽の授業で習いましてね。
子供心に「素敵な曲だな」と思いました。
今更なんでこの曲を取り上げるかと申しますと、昨日NHK FM横浜の「横浜Jポップクラブ」という番組を放送しておりましてね。
同じ時間枠の水曜日が「横浜発JAZZクルーズ」であります。
このJAZZクルーズで予告がありましてね。
「明日のJポップクラブは、多彩なアレンジで童謡や合唱曲が大変身!」ですよ。
興味が沸きましてね。聴いてみました。
男女のDuo(2人組)「かなりやとうばん」の演奏でありまして、最初の曲が「村の鍛冶屋」でありました。
自分が好きな曲というのもありましたが、演奏も上手。
電車の中で、目つぶって聴いておりました。
リンクは
こちら。
ところで小学校の時に習った「村の鍛冶屋」は2番迄でしたが、この演奏で4番まで存在するのを初めて知りました。
天下のWikipediaによりますと、オリジナルの歌詞はこうなっております。
一、
暫時(しばし)も止まずに槌打つ響
飛び散る火の花 はしる湯玉
ふゐごの風さへ息をもつがず
仕事に精出す村の鍛冶屋
二、
あるじは名高きいつこく老爺(おやぢ)
早起き早寝の病(やまひ)知らず
鐵より堅しと誇れる腕に
勝りて堅きは彼が心
三、
刀はうたねど大鎌小鎌
馬鍬に作鍬(さくぐは) 鋤よ鉈よ
平和の打ち物休まずうちて
日毎に戰ふ 懶惰(らんだ)の敵と
四、
稼ぐにおひつく貧乏なくて
名物鍛冶屋は日日に繁昌
あたりに類なき仕事のほまれ
槌うつ響にまして高し
文語体ですが、素敵な歌詞ですね。
特に3番が気に入りました。
要約すると「人殺しの道具は作らねえ。だけど食料を作るのに必要な道具は何でも作るぜ」ですよ。
この鍛冶屋のオヤジ、カッコええじゃないですか。
で、この歌について調べてみました。
まず、作詞・作曲は「不詳」でありまして、単に「文部省唱歌」とだけある。
初出は大正元年(1912年)。106年前であります。
「歌詞が当初のものから時代により書き換えられながら、長く全国の小学校で愛唱されてきた」とありまして、アッシも愛唱している曲です。
文語体の歌詞なので、時代に合わせてマイナーチェンジはしているようですね。
ただ、JB15少年にはちと難しい歌詞で、特に「湯玉」ってのが判りませんでした。
ここまでは良いんですよ。
問題はこの先。
「だが昭和30年代頃から農林業が機械化するにつれ野道具の需要が激減し、野鍛冶は成り立たなくなって次第に各地の農村から消えていく。鍛冶屋が作業場で槌音を立てて働く光景が、児童には想像が難しくなった昭和52年には文部省の小学校学習指導要領の共通教材から削除された。以後、教科書出版社の音楽教科書から消えはじめ、昭和60年にはすべての教科書から完全に消滅した。 」
ガーン、昭和60年から「誰も」音楽の授業で習わなくなっちゃったのね。
つまり、アッシらが最後の世代なんですね。
で、世論調査をしてみました。
まずは政所様。
「どこかで聴いたことはあるけど、授業では習っていない」であります。
いきなり世代間格差ですよ。
次に次男君。
アッシが歌って聴かせました。
で「『しばしも休まず つちうつひびき』ってどういう意味か判る?」って質問しました。
答えは「土木工事の音」ですよ。
槌なんて、今日日使わない言葉ですからね。仕方ありません。
だだねえ、言葉がちょっと難しいくらいで、名曲を教えない・・・これは納得できませんね。
音楽の授業で文語体も教えれば、国語の勉強にもなるじゃないの。
意味が分からないこともあるけど、文語体って美しい日本語よ。
まあ、文部科学省が博打の胴元(Totoの事ね)やってる有様ですからねえ。
美しい日本語ってのがどんどん消えて、ガサツな国になっていくんでしょなあ。
ヤダヤダ。
ところで、この「熱い鉄を槌で打つ」ってのは工学的にどういうことなのか?
答えは「金属の結晶を調整」するであります。
村の鍛冶屋さんは作りませんでしたが、日本刀は「柔らかい鉄」と「硬い鉄」でできています。
白っぽい刃の部分が「柔らかい鉄」、金属的に輝いている部分が「硬い鉄」なんです。
この鉄の硬さ=結晶の調整を「焼き、打ち、冷し」の3工程で調整しているんです。
昔は鉄に含まれる炭素量(基本的に多い方が硬い)の調整ができませんでしたからね。
あと、鍛冶は一種の鍛造ですから、鋳造より結晶密度が高いんであります。
なので、強度が要求されるクルマのクランクシャフトやコンロッドは鍛造品で、真っ赤になった鉄を型に入れ、ガンガン叩いて結晶密度を上げ、固い鉄に仕上げています。
尚、現在では鉄に炭素以外の微量元素を入れる技術が発達しているので、鉄の硬さの調整も比較的容易なんです。
なので、センターピラーには「高張力鋼板」を使い、クラッシャブルゾーン(事故った時に潰れる部分)には柔らかい鋼板を使う・・・という硬さの違う鋼板を使い分けが可能になりました。
いやあ、「村の鍛冶屋」から「材料工学」まで発展しましたなあ(←自画自賛)・・・・
Posted at 2018/11/16 22:35:07 | |
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