
麦藁帽子(Straw Hat)に関して
先日のブログにて、ちらっと
触れておりますが・・・
今週も始まりました。
「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね ええ、夏、碓氷から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ…」
のセリフを思い出す方も多いかもしれません。
1977年に公開された
佐藤 純彌 監督作品の
角川映画「人間の証明」
バックにジョー山中の唄声が流れ
霧積の渓谷へ、麦わら帽子が飛んだシーンが、
印象的な映画です。
1970年代どん底状態の日本映画に
1976年製作の「犬神家の一族」を皮切りに
大作路線で角川春樹の
邦画復興が盛んに行われました。
「人間の証明」は、角川春樹事務所製作
第二弾作品で、当時の感覚からすると、
映画そのものよりもキャッチコピーや
予告シーンのインパクトが先行し、
あまり高い評価を得ていない感じがします。
かく言う当方も、公開時は子供でしたので
父の仕事の関係で、チケットもらって観に行ったものの
殆ど内容を理解することなく、
単に麦藁帽子を飛ばして遊んでいただけでしたが・・・・
先日、この処、定期的に購入している
雑誌「昭和40年男」で角川映画が
特集された事もあり
「人間の証明」を観なおしてみました。
当時としては、稀なニューヨークロケや豪華なキャスト人
主人公棟居役に抜擢された松田優作をはじめ
恭子役の岡田茉莉子、陽平役の三船敏郎、那須警部役の鶴田浩二、
武夫役の長門裕之、新見役の夏八木勲、他に北林谷栄、伴淳三郎、竹下景子、坂口良子、
そして海外からはジョージ・ケネディー等々
改めて当時の角川映画が、恐ろしいほどの勢いとパワーがあったのだな
と感心させられました。
また、当時の角川映画は、やはり商業ベースを計算したのか
宣伝が巧みですね、冒頭でも書きましたが
「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね」という西条八十の詩の言葉を、
キャッチコピーとして上手く利用し、音楽監督大野雄二が作曲し
ジョー山中が歌う主題歌『人間の証明のテーマ』は、とても印象的で
多くの人々の頭に焼き付けました。
事情があるにしても、
はるばる瞼の母を訪ねてきた実の息子を
過去を人に知られたくないがため
当の母親が殺してしまう。・・・・
戦後日本が歩んだ奇跡の復興と
戦争から生まれる人間の野心と根底に流れる人種差別の
光と影を表現した悲哀が一貫したストーリーは、
終戦の日を前に改めて観てみるのも良いかもしれません。
『帽子』 西条八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
さて・・・人間の証明の音楽監督
大野雄二氏が手掛けた、
河合奈保子さんの曲と言えば・・・
「MANHATTAN JOKE 」
こちらの曲で、本日は、締めたいと思います。
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Posted at
2016/08/14 21:41:59