• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

FreeDogのブログ一覧

2022年03月03日 イイね!

ナチと同じ行動をすれば

急遽、オリンピックへの参加を認めない。だそうだ。
ラスプーチンと同レベルまで堕ちるのではないかと心配だ。
とはいえ、感情がピークに達している今は難しいのだろう。
マンデラは「許す」と言ったとか、言わないとか。

Posted at 2022/03/03 20:05:58 | ぼーや木 | 日記
2022年03月02日 イイね!

見え難い位置へ

ロ〇ア製映画のDVDが前面に出されていたので、奥の見えにくい場所へ移動。
経済制裁をやったぜ!

小麦輸出国だって?パン食か?・・・・俺はコメダ珈琲?あっ違った!
Posted at 2022/03/02 21:26:37 | ぼーや木 | 日記
2022年03月01日 イイね!

1年ボイコット開始!

あの国の製品は1年間買わないぞ。

ちなみに、すでに2か国は1年ボイコットを実施中。
でもって、1年ごとに更新中!

でも、ロ〇アの製品ってどこにあるんだろ。
そだ、映画DVDは買わないぞ。
Posted at 2022/03/01 23:23:38 | ぼーや木 | 日記
2021年11月21日 イイね!

物語A217:「ロン部隊の転進」

黒田大尉の意向に詰まった「ヒホンコー」部隊の編成でふるい落とされた落ち零れ組残存兵士を集めて編成された「ロン」部隊がブル河岸を出発し、のろのろと森に向かって草原の中を進軍していた。

村民兵に担がれる輿の上でマクレン大佐とサンタス軍曹は丸太小屋「モロ酒店」の2次会として、未だにふざけ合って騒いでいる。
その為に、そこから出される「ロン部隊」への指示はまちまちで、どれが本当の命令なのか、もしくは唯のおふざけなのか判断しかねた部隊はあっちへ行ったりこっちへ行ったりとのたうつ蛇の様に蛇行しながらに進軍していた。
これを行為を良い方向にとらえれば、敵に行動を予想されないように慎重に考えたうえでの作戦行動ともとれた。
昔々、大海原を進む艦隊が偵察機の目を晦ませる為に蛇行して進んだことと同じである。
まだ、レーダーが艦艇に取り付けられていない時代である。
この第3次全村大戦においてもレーダーの存在は無く、「マルケットベルト作戦」に参加する「毬高雅(いがこうが)忍び隊」のように忍びが彼らのレーダーであり目であった。
あくまでもこの蛇行進軍を良い方向に無理をしてとらえた場合である。

そんな「ロン」部隊の斥候が草陰の物体αを発見した。
斥候は物体αに気取られない様に慎重に音が立たないように草1本1本を慎重に掻き分けて覗き込んだ。
斥候はそこまでして物音を立てない様に神経を使う必要はなかった。
物体αは気を失って大の字で仰向けに倒れている村民兵なのである。
多少のけりを入れても気が付かないと思われる状況であった。

村民兵の衣服は半ば無理やりに引き剥がされているが、第1飛行隊のバーナモン・ゴメリー中尉を上官とする新米村民兵であった。
ナイナイメー辺地の激戦をかろうじて逃れてここまで退却して来たが、味方であるはずの黒田大尉によって、誰何されることもなく空中高く放り上げられた挙句の果てに路傍のゴミの様に藪の中に捨てられた村民兵である。
「ロン」部隊の斥候は味方の村民兵と気がついて介抱を始める。
斥候は気を失っている村民兵の頬をビシバシと叩いて意識を取り戻そうとした。
気付けのアンモニア水を持参していたが、これから先が長いのだから「もったいない」という事で使用しなかった。
それよりも、こうして頬を叩く事の快感を楽しんだ。
介抱ついでに、新規介抱術と称して頭をゴチゴツと木槌で叩いたりする。
この手の新規介抱術はいくらでもあった。
どこから見ても、いかにも味方を熱心に介抱している図を模倣している斥候であった。

不要に余計に殴られた事にも気がつかないまま意識を取り戻した村民兵は開口一番に味方である黒田大尉に助力を求めたが、何も言わずに即効で投げ飛ばされたと自分の不憫さを泣いて訴え始めた。
黒田大尉に限って、そのような暴挙はしないと、気が付いた村民兵の頭をガスガスと殴り付け、強いライト光をを顔に当てて、自身の不備を白状するようにさらに尋問した。
黒田大尉の名誉を思っての行動ではなく、虐める行為が面白いからであった。
間合いを計ったストレートパンチが斥候の横から飛んで来る。
パンチの持ち主は不明だったが、傷病兵は再び混沌の世界に落ちてしまい、その辺りに放棄された。
斥候達は既に第1飛行隊が襲われている情報を充分に聞き出している。

その後も黒田大尉に投げ捨てられて置き去りにされた新米を含め村民兵達が点々と森まで続いていた。
斥候無頼が続くが、報告に遅れが無いような適応な所でマクレン大佐に報告した。
おかげで、マクレン大佐に「ヒホンコー」部隊の進軍の方向がおのずと知れ、さらに、その兵士達の証言から第1拠点の状況も次第に判明していった。
ここにマクレン大佐の情報収集の緻密さと黒田大尉の情報収集の粗雑差が現れたのである。
斥候の素行は無視してだが。

マクレン大佐は、斥候の報告に対しねぎらうが、その黒田大尉に薙ぎ棄てられた村民兵を必ず「ロン」部隊に編入するよう指示した。
ここまで逃げ延びてきたのであるから、相当に幸運か隠れた才能を持っている村民兵であると判断したのだ。
そうでなくとも不足した兵隊の員数の補填にもなった。
マクレン大佐は村民兵を拾い上げつつ部隊を少しづつ強化していくつもりである。
このマクレン大佐の思惑からの命令のおかげで斥候の楽しみが奪われ、前方に行く振りをしながらも慌てて救急箱を持って拾いに戻る斥候が現れた。

第1拠点の情報の信憑性がある程度上がった所で、マクレン大佐はこの情報を元にこれからの策を練るのであった。
そして、「黒田仕置帖」も厚くなる。
そこへ筆を舐めながら書き込む時のマクレン大佐の口元は言葉で言い表せない程の微笑みをみせていた。
側からすれば異常な程に「不気味」であり、サンタス軍曹は自身の帖書がないかと輿の中を探った。

ここで、筆を置いたマクレン大佐が同じ輿の中のサンタス軍曹に問う。

「如何に?」

単刀直入な以心伝心の問いである。
その一言に含まれるた問う内容は、もちろん北進か南進かである。
第1拠点を諦めるかどうかは聞くまでもなかった。
この事に関してはどちらも同じ考えで「見捨てる」である。

第1拠点で闘って少量の物資を得るか、闘わずに少し我慢してから第2拠点で豊富な物資を得るかである。
黒田大尉の「ヒホンコー部隊」が苦戦する敵である。
その落ち零れ部隊が参戦したとしても勝ち目があるかは甚だ怪しい。
策を練れば勝てるとマクレン大佐は思うのだが時間がもったいないのである。
得られるものも少ないし、黒田大尉を救うのも躊躇う。
「マルケットベルト作戦」はスピードの勝負だ。
ならば、第1拠点ともども黒田大尉を見捨て先に進むとを考えた方が良いのである。
そして、マクレン大佐に黒田大尉を見捨てるという良心の呵責は全くない。

第1拠点の北側を迂回して進軍する事は、さらに北の未開の深奥に向かって進軍する事になるので、この先にどのような危険があるか全くわからない。
反対の南側を進軍する事はD村に近づく事になり、アフェト・ラ将軍様にマルケットベルト作戦を気が付かれるかもしれなかった。
気が付かれてしまえばD村への奇襲作戦である「マルケットベルト作戦」は意味を成さなくなる。
ここまでの苦労が水泡に帰するのである。

無言のままマクレン大佐とサンタス軍曹は同時に指で南を差した。
そして、同時に輿から飛び降りるのであった。

地に降りたサンタス軍曹はすぐさまコンバットチーム、今は「ロン部隊」の各分隊長の任を負っている重機担当のW・カビ、狙撃担当ポッケーリ、何でも屋のビッグジョン、従軍医師ドクを呼び寄せると手早く指示を与える。
副官のヘンロイの後任はまだ赴任していない。
そして、不幸の担い手であるコンバットチームの新兵、武寅、マクダネン、ちょおーに服部貞子をマクレン大佐の前に連れて来るように命じた。

「毬高雅(いがこうが)忍び隊」隊員の服部貞子はコンバットチームの新兵だったシモン、九楽、コッチェの犠牲によって捕縛されていた。
そして、コンバットチームの新兵、武寅、ホーイ、サルガソに連行されていたのだが、この連行中にホーイとサルガソは精神的疾患を理由に後方へ送られてしまう。
服部貞子が耳元に息を吹きかけたり、濡れた手で首筋を撫で上げる事に武寅だけはまだ必死に耐えていた。
勲章を持って「故郷へ錦を飾る」ことが出来るまではと我慢しているのだった。

サンタス軍曹の指示によりコンバットチームの面々は、しぶしぶ任に着く新兵を除いては素早く散開して、各担当部隊の村民兵に指示を与える。
村民兵達に無用な荷物をその場に捨てさせ、動きやすい様に背嚢一つに荷物をまとめさせるのである。
村民兵達は泣く泣く大事に運んで来た土鍋・薪・一発芸グッズ・火ばさみ・包丁・徳利・炭・杓文字・焼網・おたま・トング・バーベキューコンロ・チェアー・火おこし器・お猪口・トランプ・麻雀台・かまどなどをその場に次々と捨てる。
その量は数多なり。
どこに、戦闘道具を持っているのか定かならずであった。
数日分の食料に水と武器を背嚢一つに詰め込んで背負い準備が終わった時、獲物を持たない手ぶらな村民兵が散見された。
サンタス軍曹はその事を気にしなかった。
第2拠点で武器の補給も十分できると信じているんだ。
その途中で敵に合っても、素手で戦えばよいとしか考えていなかった。
むしろ、早く動けるように身軽であれば良いのである。

マクレン大佐とサンタス軍曹の思惑は村民兵を身軽にさせ、これから先の進軍路を早駆けとするつもりなのだ。
もともと「ロン」部隊とは黒田大尉が総ざらいしてラスボス/ボス/中ボス/徘徊モンスターを抜き取った、残りのザコキャラの中の雑魚キャラマイナスつまり「ヒホンコー部隊」の正真正銘の落ち零れ部隊なのであるから大所帯ではない。

従って、小部隊によるこの速い駆け足進軍はD村境界に近くを通過しても気取られるリスクが極めて少ない。
さらに、たとえ見つかっても雑魚キャラマイナスの集団である。
つまり、北方蛮族の集団と思われても過言ではないのだ。

さらに、第2拠点まで素早く駆け抜ける事が出来れば、今ここで捨てた武器や物資はもちろん、兵士も第2拠点で難なく回収できるのである。
それも選り取り見取りの補充である。
もし仮にもD村に気取られてしまえば、すぐさまその場で一転し決死の覚悟でD村に突入、白兵戦を持ってしてアフェト・ラ将軍を誘拐、少なくとも相討ちとなって道連れに戦死するかである。
これはマクレン大佐の名誉ある死を前提とした考えで、サンタス軍曹はアフェト・ラ将軍を捕獲し、これを人質に我武者羅に生き抜く事を考えていたのであった。
この辺りに両雄の差があった。

暫くすると、マクレン大佐の元ににじり寄って来る一団があった。
コンバットチームの新兵である武寅の背中にスリスリと摺り寄り、マクダネンの首筋に冷たい息をそっと吹きつけながらもちょおーに怪しげな流し目を送る服部貞子がマクレン大佐のもとに連れて来られた。
サンタス軍曹に摺り寄ろうとする服部貞子と、思うようにさせぬとばかりに抜身を放つサンタス軍曹が、その抜き身に真剣白刃取りで立ち向かう服部貞子との一進一退の身動きできぬ状態に落ちいってしまった。

マクレン大佐はそのような私闘には無頓着に服部貞子へ「毬高雅忍び隊」から脱隊し、我が意に添う独自の忍び隊を組織するように命じる。
そして、「ロン」部隊の斥候よりもさらに先の奥地へ進み様子を探るように命じた。

服部貞子はマクレン大佐の命令に我が耳を疑い、白刃取りの手が緩み、サンタス軍曹の抜身の張扇を力強く額に食い込ませ、その勢いで草の中に倒れる。

サンタス軍曹は安堵の溜息をつく。
あのままの体勢で服部貞子と睨めっこを続けていたら、負けていただろう。
それも再起不能という負け方だったに違いないと思っていたのである。
だが、草葉の陰から、額に青黒い瘤を付けた服部貞子がゆらりと起き上がり、サンタス軍曹は悲鳴を上げて、背後にのけぞって倒れてしまった。
再起不能寸前である。

それを見た武寅・マクダネン・ちょおーがそのサンタス軍曹に駆け寄るなり、両手両足を持って担ぎ上げるなり脱兎のごとくその場を逃げ去っていった。
どの顔も服部貞子と渡り合ったサンタス軍曹に深く感心した顔であった。

マクレン大佐の発した命令に服部貞子が驚くのは無理もなかった。
新しく忍者部隊を編成するという事は猿飛伽椰子が率いる「毬高雅忍び隊」から離別すると同時に、同じ地位に就き、同じ権限が与えられたという事になるのである。
猿飛伽椰子と対等な立場であり、これが重要であった。
後残すは猿飛伽椰子を蹴落とす事だけである。
ブル河岸での仕打ちが走馬灯の如く服部貞子の頭の中を回っている。

新たな忍び隊を作る事で猿飛伽椰子の任務の邪魔をし、隊長の座から猿飛伽椰子を追い落として二度と復帰できないようにするのだと決心した。
同時に猿飛伽椰子におべっかを使いお追従して我を笑い者にした「毬高雅忍び隊」自体も潰してしまおうと考えていた。
服部貞子は既に猿飛伽椰子の頚をとった気持ちでいた。
サンタス軍曹の強烈な額への一撃も、その額にできた青黒い瘤にも気にならないで、口元から嫌らしい笑いが消えないでいる。

有頂天になっている服部貞子は、日ごろから猿飛伽椰子に不平不満を持っている忍びを集めて、早速「井戸端皿番長隊」を結成する。
「不満のある奴この指止まれ」で瞬く間に集まった。
そして、猿飛伽椰子に復讐する為に「井戸端皿番長隊」の忍びへ任務を与え、次々と周囲に散らしていった。
猿飛伽椰子の不満は共有する所が有れど、額の瘤で目が細くなった不気味な顔でニヤつく服部貞子から少しでも遠くに離れられるという追い風が忍び達の周囲に散る速さを増していた。
それを見て、マクレン大佐は第2拠点方面、つまり西側だけへ飛ぶべきではないかと思いつつも、使命に燃え上がっているここで水を差すよりは服部貞子の好きにさせる事にした。
しかし、その服部貞子の行動が「ロン」部隊後方からマクレン大佐に思わぬ情報を届けたのである。

手練れのマクレン大佐と現場に強いサンタス軍曹が率いる「ロン」部隊は「井戸端皿番長隊」の支援を受けながらD村に気取られずに物陰に隠れながら速歩で進軍を開始した。
目標は第2拠点アラモフヶ丘である。

孤立無援のアラモフヶ丘で第2飛行隊隊長ランカスター中尉が首を長くして待っているに違いないとマクレン大佐は思い、「遠すぎたBrid・・・丘」とならないように心を閉め直し、サンタス軍曹と共に銘酒「泡立ち盛り」を樽から升で煽った。
樽を抱え走るのは当然、新兵の武寅・マクダネン・ちょおーである。

-- 灰色猫の大劇場 その24 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
ナマケモノが柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前に陸亀が居た。

陸亀は「邪悪の化身灰色猫を退治せよ」という天命の書状を突きつけていた。
「覚悟しなはれ!」陸亀は大声を発し、書状を懐にしまい、懐の猫じゃらしを取り出そうとする。
ナマケモノが「天下万民の為、助太刀いたす。」とはしらを下り始める。

陸亀は書状を丸めている。
ナマケモノは次の一歩を出そうと、体を前後に揺すっている。
灰色猫は目いっぱい体を伸ばしてあくびをした。

陸亀はまだ書状を丸めている。
ナマケモノは一歩を出した後、体を前後の重心をずらそうとして体を揺すっている。
灰色猫は毛繕いを始めた。抜け毛が多く、心配した。

陸亀はまだ書状を丸めている。長い書状であった。
ナマケモノは二歩目を出そうと、体を前後に揺すっている。
後ろ足で立った灰色猫は手拭いを頬被りして後ろ足で立つと前脚を頭の上にあげてひらひらとリズムをとって振り、後脚でスキップしながら踊り始めた。

陸亀は丸めた書状を懐に押し込んでいた。何かに突っ掛かって入らない。
ナマケモノは踏み出した二歩目に重心を移そうと体を前後に揺すっている。
「猫じゃ猫じゃとおっしゃいますなぁ 猫は下駄こはいて杖ついで しぼり浴衣こで来るものが。
はぁおんにゃがにゃーのにゃ」と灰色猫は謡いながら踊る。

陸亀は丸めた書状を懐に押し込んだ。
ナマケモノは三歩目を出そうと、体を前後に揺すっている。
灰色猫は踊りつかれた体をほぐす。

陸亀は必殺のねこまんまを取り出そうと懐を弄っている。
ナマケモノは踏み出した三歩目に重心を移そうと体を前後に揺すっている。
灰色猫はおもむろに劇場裏の小道具部屋に入って行く。

陸亀は必殺のねこまんまが懐で何かに引っ掛かり苦悶の顔を見せている。
ナマケモノは四歩目を出そうと、体を前後に揺すったら、尻が床面に当たり、思わず飛び上がるように尻を引っ込める。
灰色猫が道具を漁っている音が小道具部屋からする。

陸亀は必殺のねこまんま「ち〇ーる」を取り出す。
ナマケモノは尻に当たった物がなんであるかと確認するために首をひねろうとしている。
灰色猫が小道具部屋から「めくり」を担いで来て、舞台中央に立つ。

「ち〇ーる」に目を泳がせる灰色猫のこめかみには血筋が数本入っている。
めくりを一枚めくると「閉幕」と書かれていた。
灰色猫の手で幕が降ろされる。
灰色猫のキラキラ輝く目と不気味な笑いと共に、幕がこれから起こる全てを覆い隠した。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2021 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2021/11/21 20:33:45 | 物語A | 日記
2021年10月22日 イイね!

物語A216:「黒田大尉の悲劇」

黒田大尉は「マルケットベルト作戦」の同志である第2飛行隊隊長ランカスター中尉が第2拠点「アラモフヶ丘」を必ずや確保し、大量の補給物資と共に厳重に守備して我々を待っていると信じていた。
アラモフヶ丘に辿り着きさえすれば、部隊の増強も物資の補給も思うがままに行えると黒田大尉は考えていた。
さらに、隊長ランカスターは中尉であり、自分は大尉であるから、上官なのである。
軍隊では上官の指示は絶対なのだ。入れ食いの補給にランカスター注意は拒否はできないのだ。

村民兵が次第にすり減って行く状況の中で、そのことを夢見て「ヒホンコー部隊-」の先鋒で愛用の長柄刺股を縦横無尽に駆使して妨げる輩を抛り捨てて、黒田大尉は乱戦の中を突き破りながら進んでいった。

ワンワンセブン高地の頂上では数体の不穏な影が闘気という陽炎を燃え上がらせていた。
ナイナイメー辺地の乱戦の端を巻き込まれないように進んでいてこれだけ離れていてもひしひしと押し寄せるこの闘気に黒田大尉もさすがに不安を感じるのであった。
あそこに居るのは何者であろうかと憶測するが、それは恐怖を生む思考であった。
北方地域の情報はA村にあまりもたらされていないので、いまだ未開の原野と思われており何が潜んでいるか解らないのだ。
故に、正体を憶測すればする程、その正体が勝手に暴龍へと膨れ上がってしまい、心に重く圧し掛かってくるのである。
情報があれば「マルケットベルト作戦」も違った形になっていた筈である。
何が出てくるか判らない見知らぬ土地という事が不安の元になっているのだ。

しかし、不安はあるものの、その影に際立った動きが無い以上は、今すべきは目前の出来事に全力を注いで、邪魔な影の存在を忘れて、この乱戦という戦場を突き進む以外には無いと決意する黒田大尉であった。

燃え上がる陽炎の火元が黒田大尉の打ち上げた連続花火に触発した王者コナンであり、自らの行動が戦場の悪魔を呼び覚ましてしまったという因果関係には全く気が付いていない黒田大尉であった。
その黒田大尉はとにもかくにも「触らぬ神に祟りなし」という事で、狂者に気が付かれぬうちにさっさとこの場を通り抜けてしまおうと考えていた。
だが、その狂影が高地から駆け下り始めたのである。
それも非常に困った事に黒田大尉を目指してである。
その速い動きを目の片隅に捕らえた黒田大尉は不安を覚えながらも、自分が見た事の全てが間違いであれと願ったが、その願いは虚しかった。

ベンとハーの猛進は凄まじかった。
さらに下り坂を驀進するのであるから、その威力は数倍に倍増していた。
戦車の車軸と軸受けが摩擦で炎を上げて燃えそうである。
戦車の両輪がドドドドッと地響きを立てて、後方に雪煙、土煙、砂煙、砂利煙、諸々の兵隊煙に狸煙まで巻き上げていた。
うっかりその進路上に迷い込んでしまった新米村民兵が、北方蛮族が、芝狸が、ベンとハーの鋭い牙の犠牲となって脇へ投げ捨てられた。
短足で踏みつけられて伸し烏賊の様に地面に貼り付く新米村民兵がいた。
車輪に轢かれる蛮族や弾き飛ばされる芝狸、戦車上からの張扇の一撃で張飛ばされる数々の村民兵がいた。
この時、この凄まじくも激しい勢いの付いたベンとハーの戦車を引き止める実力のある者はナイナイメー辺地の何処にも居なかった。
止められるのは王者コナンくらいであろうと思われるが、その王者コナンも車上で気も狂ったようにどけどけ退かぬば目に物をくらわせようぞとベンとハーと阿吽の呼吸で喚いている。

戦車が自分を目標としていると悟り、その動きの速さに焦った黒田大尉は無駄だとは理性で判っているのだが、本能的はさらに体を小さくして顔を背けて目立たないように突き進む。
だが、黒田大尉の努力も眼中にせずに容赦なくその姿をとらえて眼を離さない王者コナンは遠くより大音声で呼びかける。

「やあやあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ、我こそはキンギンメリアに生まれし、ケンメル・コナンなるぞ!今でこそ北方の友から王者コナンと称せられておるがその実、驚く事なかれこの世に生を受くる剣豪の一番大将と自負する者なるぞ。
そこな行く強者よ、名の知れた武士と見た。
いざ、尋常に我と勝負せい。
見事この首取って手柄にせよ。」


黒田大尉はD村のケンメル・コナン元帥の噂は聞いていた。
少ない手勢でF村を蹂躙、征服したという英雄譚はA村まで轟いていたのである。
鬼のような形相でF村を闊歩し、家々をその両脚で踏み潰し、F村村民兵を千切っては投げ、千切っては投げして暴れ回ったという噂である。
そのコナン元帥とこの王者コナンが同一人物であるとは中々認め難かったものの大尉の本能は「同」としている。

どうであれ、黒田大尉の出す結果はやはり「触らぬ神に何とやら」で、きっぱりと「小物でござる、ただの小物でござる。
小物が故にお見逃し願いたい。」
そう卑屈に叫びながら返答し、さらにゴキブリの様に地に身を伏せて、村民兵の足元をカサカサと素早く進む。
股下を駆け抜けられた新米村民兵が小さな悲鳴と共に飛び上がって敵にしがみ付き、しがみ付き合った。

その卑屈な返事を聞きとがめて「戯言をほざいて逃げるとは卑怯者よ。
そこなチャバネゴキブリ。
尋常に立ち合え。
ならぬならば、その不義を天下に知らしめようぞ!名を名乗れい!勝負せい!待ちやがれ!」勢いよく突っ走る戦車上から王者コナンは叫ぶ。

黒田大尉が有象無象に動き回る集団を掻き分けて4分の1ばかり押し進めた時には、王者コナンは同じ集団に激しく穴を穿ち、その切屑を周囲に跳ね散らかしてその倍の4分の3を圧し潰して黒田大尉の目前に出現した。
ここに、王者コナンと黒田大尉の実力の差が見えた。

王者コナンを乗せた戦車を引っ張るベンとハーは立ち停まる事も無く、勢いに任せて黒田大尉に突っ込んで行った。
それを正面で見る黒田大尉はF村村民達の間で噂されているコナン元帥の突進の恐ろしさを実感するのである。
訓練された兵隊ならばともかく、一般村民であるればどれだけの恐怖だったかを黒田大尉は想像できた。
そして、その突進を前にする黒田大尉はただの戦バカに関わってしまったと後悔した。

黒田大尉は一般村民でもなく新米村民兵でもない、特訓を受けた兵士である上に実戦も豊富なうえに大尉という上級将校まで昇進してきたのだ。
マクレン大佐という障壁が無ければ、まだまだ伸びると自分の実力を信じていた。金銀宝石や親の七光・お手てスリスリで大尉になったのではない。
根っからの叩き上げの大尉である。
それだけに王者コナンの狂った突進を前にしても臆する事なくその対抗方法を考え、実践した。
むしろ、鍛え上げた経験から体が勝手に動いたのである。

既に、一騎打ちの回避は如何様にしても不可能と見て取っている。
また、ここで運良くこの決闘を回避しても、決闘する事をを強く望んでいるあの狂戦士は再び何度も襲い掛かって来る事は間違いない。
ならば、ここで決着をつける。
黒田大尉の決断は早い。
長柄刺股の柄頭を地面に斜めに差し込み、その柄を両腕でしっかりと支え持ち刺股先端を斜めに傾けて突進してくる戦車を迎え撃つ姿勢をとる。
狂戦士がそのまま突っ込んできたら刺股の先端が労せずしてその体に食い込むのだ。
その衝撃を力を交わすために、地に差し込んだ柄頭を中心に弧を描くように刺股を振れば、刺股の柄に加わる衝撃力を低減でき、相手を遠くに投げ飛ばす事が出来るのである。
衝撃力を躱せなかったら愛用の長柄刺股は相手にダメージを与えるとともに自らも粉々になってしまう。
黒田大尉は数々の戦の経験を素因とする自信があった。

ベンとハーは黒田大尉の防御姿勢をチラ見し、突き出された刺股の先端を見た。
お互いに目配せをする。
この時、ベンの頭の中には高地頂上での不条理な賭けを思い出されていた。
高級ブランド麦沢牛の骨が最後の肉汁を振り絞って地面に撒き散らしながら自分から逃げ去る姿が思い描かれていた。
ハーも同様で、頭の中では高級ブランド籠縞紫イモがこんがりと焦げ付きながら体中から煙と炭を辺りに撒き散らし乍ら転がり回っていた。
ベンとハーの妄想には共に、この光景を一段高い所から眺めている高級品専門店ルイ布団の包装紙で作ったマントが高らかに笑っていた。
ベンとハーが互いに共有する恨みの根源であった。

突進していたベンとハーは待ち構える黒田大尉の少し手前で、急ブレーキを掛けた。
その勢いで前方に倒れ無い様にとベンは両脚を前にして、体を大きく後ろに逸らせた。
ハーは自慢の足腰で踏ん張ったが、前のめりになり顔面を強打してしまった。
さぞや笑っているに違いないと起き上がってベンを見たら、ベンは後ろに逸らせ過ぎて背中でスライディングをして停まった。
ベンとハーに互いを嘲り合っている暇はなかった。
背後から王者コナンの乗る馬車が砲弾の如くに迫ってきているのだ。
ベンとハーは互いに反対方向、つまり左右に大きく広がって逃げた。

王者コナンを乗せた馬車は向きを変える事が出来ずに黒田大尉に向かって勢いのまま突進していく。
ベンとハーは戦車とその乗り手を鉄槌の代わりにして、黒田大尉に激突させて共々粉砕しようとしたのである。
その戦車に乗る王者コナンは、ベンとハーの背信に近いこの行動に関してはあまり気にしている風ではなかった。
むしろ、我との一騎打ちから卑怯にも逃げようとする黒田大尉に戦車共々に突っ込む事を望んでいる風であった。
そして、王者コナンはおもむろにベンとハーの首輪に繋がっている手綱を戦車にしっかりと結わえ付けてしまう。
これで、否応なしにベンとハーは黒田大尉に向かって弾丸の如く突っ込んで行く戦車と共に運命を共有する事になったのだ。

話変わって、ここに不運なモグラさんが居た。
森を追い出され、その時の騒ぎで家族や友人達と逸れてしまい途方に暮れるのだが、それでも前向きに安住の地を求めて平原の地中を彷徨っているうちにワンワンセブン高地の麓のここまで流れ着いてしまったのである。
暫く地中を掘り進んだところで地上を偵察しようと、一抱えもある石をやっとの事で両手で持ち上げて地上に上半身を出したモグラさんであった。
石は防御用である。
偵察で顔を出したところ、危うく蹴飛ばされそうになったり、踏みつけられそうになったので、身代わりに先に石を出し、その下から上半身を出して偵察する事を覚えたのである。

モグラさんの小さな体にとっては岩のような大きく重い石を両腕で持ち上げたモグラさんの目に最初に入ったのは黒田大尉目掛けて突き進む戦車の巨大な車輪であった。
モグラさんにとって運が良かったのは、穴から出たその時に車輪と真正面に相対した事である。
これが背後からだったら、モグラさんの掘った穴は自らの墓穴となっていたに違いない。
すごくラッキーだった。

モグラさんのサングラスが驚きにカタリと斜めに傾いだ。

巨大車輪が轟音を上げ地響きと共に地面を抉り取る破壊力で迫ってくる。

「のぁ~!」と意味不明の悲鳴を上げたモグラさんは大きな石を地面に放り投げるなり、その陰に身を隠した。
穴に再び潜り込もうという考えすら湧かないほど慌てていたし、瞬間的な出来事であった。
モグラさんが体を隠せただけでもラッキーなのである。

戦車の片方の車輪がモグラさんの石に弾かれて宙に浮き、車体が傾いた。
石が弾けた時の勢いでモグラさんは穴の中に激しく突き落され、ねじ込まれた。
それでも、戦車の突進する勢いは収まることはなかった。

いつまでも続かない幸運を、望まないままに多発してしまう黒田大尉がお約束の通りに戦車の驀進する先に居た。
不幸を呼ぶ黒田大尉だが時には幸運も呼ぶ。
突っ込んでくる戦車がモグラ石に弾かれて大きく傾くと同時に方向も微妙に変化した為、僅かながらの隙間が出来て大尉の体を逸れたのである。
擦れた痛みが背中をヒリヒリさせるが、ラッキーがラッキーを呼んだようであった。

背を弓なりに逸らせ、刺股の長い柄を抱き込むようにして、何とか突進してくる傾いだ鉄槌戦車を黒田大尉は避ける事が出来た。
モグラ石が無ければ、鉄槌戦車が体勢を崩していなかったらば、黒田大尉は身を躱す事は出来なかった。
だが、腰を据えて強固に構えていた黒田大尉の石のような構えが、鉄槌戦車の突然の変化に対応する為に取ったその咄嗟の動作で足の位置を変えてしまい、見るも無残な不安定な姿勢になってしまった。
再び、足元を固めようとして足の位置を変えているとその手で持つ刺股に違和感を感じた。
ピクリともしないのである。
その動かざるは岩に刺さった聖剣エクスカリバーの様で微動だにしないのである。

ベンとハーは黒田大尉を掠めて去り行く戦車を眺めていた。
これで暴君コナンが乗る戦車を引くという屈辱的な強制労働は無くなるだろうと甘い夢を抱きつつ、舌をペロリと出したベンとハーであった。
だが、繋がっている手綱がピーンと張った時、ベンとハーはそれが甘い夢である事に気が付いた。
同時に回避すら出来ない悪夢の始まりが始まった。

王者コナンが戦車にベンとハーの手綱を結わえていたのだ。
ベンとハーがピンと張る手綱を見てそれと気が付いた時にはもうすでに遅かった。
戦車が引っ張る力にベンとハーは一時も耐えらずに、引きずられていった。
戦車にぐいぐいと抗う事も出来ずに引っ張られる途中で、互いの手綱が絡み合い、二匹は何度も互いに頭突きをし合う結果となって意識を失い、勢いの収まる気配のない戦車に仲良くいつまでも引きずられていった。

ベンとハーが左右に逃げて引き手の居なくなった戦車の中で王者コナンは飛び降りるタイミング見計らっていた。
飛び降りてあの逃げ隠れする卑怯な強者の前に立ちふさがるのだと考えていた。
車輪がモグラさんの石に弾かれた瞬間、身を宙に翻した王者コナンであった。
空中で王者コナンは猫のように身軽に刺股の先端を避けて刺股の側に着地する。
着地した王者コナンは刺股先端の根本部分を左腕でガッシと掴んでいた。

刺股を握る黒田大尉の動きが、刺股の柄から伝わってくる違和感を感じて停止した。
刺股がまるで何かに凍り付いたかのようにピクリとも動かないのである。
普通なら微かな手の揺らぎにも追従して動くのだが、自分の意思に反して1ミリも動かないのであった。
目で掴んでいる物が愛用の刺股である事を確認し、試しに軽く力を込めて横に倒そうとするが、刺股は聖剣エクスカリバーの如く微動だにしなかった。
その原因を掴もうと目を上げると、刺股の先端に王者コナンが仁王立ちしていた。
黒田大尉は体勢を変えるが、王者コナンに左手で掴まれた黒田大尉愛用の刺股はほんのチビリとも動かない。

「化物か?」と思いつつも、主導権を自分が握るべく黒田大尉は刺股を掴む両腕に力を籠めて、同じ刺股を左手で掴む王者コナンごと宙に持ち上げようとした。
地面に刺した柄頭を支点にして、「ふんぬっ!」と掛け声を上げる。
腰が入らないので力が十分に発揮されないと黒田大尉は思ったが、てこの力を利用しての力づくの行動で自身があった。
だが、聖剣エクスカリバーは、やはり聖剣エクスカリバーである。
黒田大尉はこの足の配置で完璧に腰に力を入れられないと判断して、足場を固める為に足の位置を変える。
その間も王者コナンはニヤニヤしながら黒田大尉を眺めている。

黒田大尉が再び、てこの原理も利用して、力一杯に腰を入れて持ち上げようと試みるが、王者コナンが左手で掴む刺股は微動だにしなかった。
黒田大尉の額から一滴の汗が流れただけであった。
変わって、刺股を左手にする王者コナンは黒田大尉を漫然とそれらを眺めながら口元に皮肉な笑みを漏らしている。

黒田大尉の正面に立ち互いが握る刺股の柄を伝って黒田大尉の思惑を感じた王者コナンは「なんと、力比べをしたいのか。」
と呟き、しからば「お相手しよう」と宣言する。
王者コナンは「ふんぬっ!」の気合の一声をあげ、左腕に満身の力を籠めた。

尚、ここで何度も「左手で」と書くと、統計学もしくは確率論を踏まえた論理を飛び越し、つまりショートカットして「利き腕ではない。」と結論するかもしれない。
だが、王者コナンはサウスポーである。
強者のトップを君臨する王者コナンのスキルであった。

黒田大尉の足元が泳いでいる時に、王者コナンは左腕手首を捩じる。
その途端、刺股の柄が大きく撓みながらも黒田大尉の体を宙に浮かせた。
足が地から離れてしまった黒田大尉は唯の質量だけという存在となり王者コナンの成すがままになってしまう。
王者コナンはさらに刺股を持ち上げて、あっという間に直立させた。
刺股先端に黒田大尉はしがみ付く格好となった。

刺股先端から周囲を眺めると仲間の姿が蟻の様に見えた。
大佐や一兵卒、古参兵に新参兵など沢山の兵が混ざって、互いの階級や待遇を争っている様に見えるが、どの姿も同じように見えてしまう黒田大尉であった。
そう思ってしまうのも自分が階級や待遇を重視しているからなのかもしれない。
既に王者コナンに負けてしまっており、この先も想像できる。
しかし、黒田大尉は気を取り直した。まだまだ諦めるのは早い。
自分は「大尉」なのだから。

王者コナンとの力比べに負けて宙に持ち上げられたが、黒田大尉はそれでも刺股の柄を手放さなかった。
一発圧逆転を狙って意地でも愛用の長柄刺股をの柄をしっかりと掴んで手放さなかった。
逆に王者コナンは簡単に手放した。
張扇一筋の王者コナンにとって棒きれなどに用は無いという心持である。
持ち上げる勢いを利用して刺股ごと黒田大尉を王者コナンは遠くに放り投げていた。

愛用の長柄刺股と共に黒田大尉が宙高く飛んで行く。
その勢いは全村初の宇宙遊泳に果敢に挑戦しているような勢いであった。
だが、いくら王者コナンであってもその高度までは投げ上げられない。
上昇する垂直方向の初速エネルギーを空気抵抗に奪われつつも、その全てを位置エネルギーに変換してしまうと、黒田大尉は中空で止まった。
止まったように見えた。
水平方向の速度エネルギーはその半分を有したままなので、黒田大尉は飛行している。
G。
存在を無視できないG。
○○ラではない。
重力であり、黒田大尉の飛行にも強く影響している。

ハインネケル大佐・モデル中佐・カン親分の三強よりも、より高く舞い上がった黒田大尉の打上ロケット線香花火を見た「ヒホンコー部隊+」の新米村民兵が物足りなさを感じつつもやんややんやの喝采を適当に上げる。
それに合わせて北方蛮族や芝狸がやんややんやとお付き合いで喝采を上げたのでその相乗効果で一応大喝采になった。

この貧弱な大喝采を耳にした王者コナンは「ふんっ」と一息鼻を鳴らして、自慢の張扇を抜き放って、高々と天を刺し貫くポーズをとって得意気になった。
そのおかげで普通の大喝采となって鳴り止まなかった。
もう片方の手も上げてみる。
前腕を肩と水平に伸ばし、上腕を垂直に曲げて上腕二頭筋を膨らませてそこに力瘤を作る。
大喝采は勢いを増し鳴り止まず、王者コナンはさらに得意気になる。
片足を上げてみる。
大喝采は期待のこもったとんでもない大喝采となった。
それに合わせて囃子声も大きくなる。
そこには調子に乗った王者コナンが両足を上げるという期待があった。

ここで両足を上げてしまえば転んでしまい、演者は誰が見ても阿保である。
有頂天になっているとはいえ王者コナンはきっと常識を持っているはずである。
しかし、喝采や囃子声は収まらない。
その真ん中で、何とか残った片足を上げようと、片足ピョンピョンして努力する王者コナンがあった。

黒田大尉の飛行ルートは予測できた。
従って、黒田大尉の墜落する先にはSS(スペシャルソード)親衛隊がそれぞれ工夫を凝らした卑怯卑劣凶悪な得物を手にして待機している。
各隊員はそれぞれが得物を振り回したり、お手玉の様にポンポンと跳ね上げたりして、特異で得意な武器をこれ見よがしに見せびらかしている。
その親衛隊員の影には偽親衛隊員である「金」の玉の芝狸達が潜んでおり、本物同様に得物を持って手ぐすね引いて待っている。
親衛隊と共に黒田大尉の自画自賛する「ヒホンコー部隊+/-」も改造ピコピコハンマーを持ってその集団の中に混ざっていた。
元々、付け刃の新米村民兵達である。
軍隊にもその階級にも拘る村民ではない。
楽しければよいのである。
しかるに、SS親衛隊とは敵同士のはずだが此処ではしっかりと手を結んで共闘している。

黒田大尉は大きくクォーターサークルを描き、暫く天頂で浮遊した後、地面に向かって残りのクォーターサークルを描いて大地に帰還した。
墜落した黒田大尉を待ってましたとばかりにSS親衛隊、ヒホンコー部隊+/-、「金」の玉の芝狸の雑魚キャラが群がる。
北方蛮族達も忘れてはならない。

ここに黒田大尉の野望は終焉を迎え、一時の儚い夢が戦場に消えていったのである。

-- 灰色猫の大劇場 その23 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
野良猫オッドアームズが柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前に野良猫の速やかなる完全退去を懇願するハムスター達が居た。

ハムスターは王様である灰色猫に「僕らの長年の夢であるユートピアを建設したいのです。」と願い出ていた。
小さな小さな土地を望んでいるだけなので、退去は可能だとハムスターは主張している。
その為に小さな土地を望んでいるだけなので、猫の大将様である灰色猫の御言葉一つでオッドアームズ率いる野良猫達の退去が穏便におこなわれるのですと、兵色猫の権力を持ち上げながら説得した。
ハムスターは地球の大陸を塗りつぶした地図を背に隠している。

オッドアームズは灰色猫が請願を効けば右腕で灰色猫の喉笛を、却下されれば左腕でハムスターを捌いて始末するつもりであった。
ハムスター達が小さな両手を合わせ、後ろ足で立ってお辞儀する姿を想像して欲しい。
「かわいい」である。

灰色猫はその姿におっとりとし、ハムスターに何度も願わせていた。
いつでも、どちらの結果になろうとも、寸秒で始末できるように両腕を構えて待っている為に、両脚だけで柱にしがみ付くオッドアームズである。

ハムスターの請願が長引くにつれオッドアームズの両足が痺れ始め、柱にしがみ付くのもやっとであった。
灰色猫の鈍感な脳細胞がやっと「飽きる」という機能を叩いた。

灰色猫は王座の肘を叩いた。もちろん、それはハムスターの請願を却下する為であった。
だが、肘を叩くと同時に柱の影で音が響き、驚いて言葉が続かなかった。
柱の下には両足を引き攣らせたオッドアームズが泡を吹いて倒れている。

灰色猫はおもむろにオッドアームズを指さし、ハムスターの請願に答えた事を伝える。
目的とは全く違うものの灰色猫の癇に障っては大変だと、ハムスター達は大層有難がって、いつまでも何度も頭を下げてお礼を述べる。

小さな頭の中では、長々とお礼の文句を連ねながらも土地の話を出すタイミングを計っているハムスター達である。
しかし、したたかなハムスター達も気が付かなかった。
刻々と灰色猫のお昼ごはんタイムが迫っている事を。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2021 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2021/10/22 23:29:52 | 物語A | 日記

プロフィール

「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/6 >>

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

愛車一覧

ホンダ フリードスパイクハイブリッド ホンダ フリードスパイクハイブリッド
フリードスパイクハイブリッドに乗りました。
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation