
はい、というわけで先週末に行ってきたBMWの試乗会のお話の続きでございます。
とんでもない豪華なクルマが並んだ試乗車の中で、ひときわオーラを放っていた、人気ナンバーワンのクルマ、それが
BMW M5
だったわけですが、いよいよ試乗の順番が回ってきたワタシはおそるおそる、1800万円もするクルマの革張りドライバーズシートにおさまったのでした。。BMWの新車、さらには本革シート仕様のクルマ特有のなんともいえない甘いような高貴なような、独特の香りに包まれつつ、助手席に座ってくれた「M担当の営業マン(別にいじめられるのが好きというわけではない爆)」に簡単なレクチャを受けます。
まずこのM5ってクルマは通常のBMWのようなATではなく、デュアルクラッチシステムのセミオートマっていうヤツが搭載されています。電気シェーバーみたいなカタチのあのシフトレバーではなく、丸っこくて、、形状的にも大きさ的にも現行プリウスのシフトノブみたいな感じの、小さなマウスみたいなシフトノブで操作するんですね。
まぁよくある感じの操作方法ですけども、マニュアルモードでシフトのアップダウンもできますし、当然ステアリングのパドルを使ってもOK。
そして面白いのは、シフトノブの後ろに付いてるダイヤル。オート時のシフトアップのタイミングを3段階に変えられるんだそうで。すなわち、早め早めにぽんぽんとシフトアップしていくのか、引っぱってからシフトアップするのかを調整できる、ってわけですね。
それから面白いことに、こんなすんごいエンジンを載せたパイパワーマシンなのに、
アイドリングストップ
なんてものがついてるんですわ(笑)まぁ燃費の対策のこともあって小排気量過給エンジンを載せている今のBMWシリーズですから、まぁついてないより付けてたほうがいいでしょ、ってことなんですかねぇ?(苦笑)
とりあえずシフトのやり方は分かった、あとはまぁ大丈夫でしょ、ってことでエンジンをかけます。540馬力のこのすんごいエンジンも、まぁイマドキのクルマです、プッシュスタートボタンを押せば簡単にスタート。
・・がしかし、
ごごごごグァンッ!! と目覚めたエンジンのその音の素晴らしさよ!(滝汗)もうこれだけでしびれちゃいます。
決してウルサくはないんですけども、明らかにヌケがよくて重低音を響かせつつも高音成分も混じったその精緻な排気音。。。試しにちょこっとアクセルを入れると。。
うぉあんっ!ボスッ!!
と、とんでもないカミソリレスポンスで吹けるんですよ(爆汗)あ、あのこのエンジンってフライホイールついてます??(滝汗)ってな感じ(笑)
あ、上の排気音の擬音ですけど、最後の「ボスッ!!」ってのは、バックファイヤしてる音なんですな(爆)
ヌケのいい社外品マフラーを装着したりとか、スポーツ触媒、あるいは触媒がない、みたいなクルマでエンジンをブリッピングすると、回転が上がりきって落ちるときに小さくバックファイヤすること、ありますよね? このM5ってのはブリッピングするとかなり盛大にこの音がするんですよ(汗)
まぁ純正状態でそんだけヌケがいいマフラーがついてる、ってことなんでしょう。。。4本出しってのは伊達じゃなく、マジに排気効率を優先させた結果ってことなんでしょう・・・そりゃこんだけいい音してるんだもん、そうでしょうなぁ。。
もうね、走り出す前からすっかりしびれまくってるワタシなのですが、本革シートもさすがにMともなるとけっこうタイトな感じです。皮なので表面がそれなりに滑ってくれるのですが、形状的にはかなりホールドしてくれるタイプ。
そして、ステアリングも小径気味なサイズで、ワタシがやる気モードでドラポジをセットすると・・なんかね、インプよりも囲まれ感が強いっていうか、まさしく
戦闘機のコックピットに収納されてる、っていう雰囲気になるんですよ(^o^)
運転席に座ってる感じでは、とてもじゃないですけども5シリーズの大きなボディを持ったクルマに乗ってる、なんていう意識がなくなってしまいますね。。それぐらいにタイトな演出を感じます。
もちろんシートを後ろに寄せてシートバックもそれなりに倒してやったらルーズな感じでも乗ることは可能なんでしょうけど(いちおうATですし)、やっぱりこのクルマではそういう乗り方は似合わない気がしちゃいますね(^^;)
さて、いよいよ試乗に出発です(^^)/
普通にDモードを選んでゆる〜くアクセルを踏んで道路に出ます。というか、このクルマはセミオートマのデュアルクラッチシステムなので、普通のATみたいなクリープって全然ないんですね(^^;) Dレンジでもアクセルを踏まない限りはクルマはまったく動きません。ゆるっとアクセルを踏み込むと・・・しずしずと走り出すM5。
まったく普通のおっきなセダンです。気むずかしいところなんて全然ありません。エンジン音も以外と普通。ある一定以上踏まなければ、重低音が響いてはくるけれどもそれほどこのクルマが超スペシャルなクルマだっていうことをムダに主張するようなこともないんですね。
しばらくは周囲のクルマの流れに乗って走っていたのですが、295なんていうとんでもないサイズの20インチタイヤを履いてるクルマとはとうてい思えない、とてもしつけの行き届いた乗り心地のいい高級セダンですよ、ええ(^^)
信号待ちで運良く先頭になったので、グリーンシグナルでちょっと盛大にアクセルを踏んでみたところ・・・意外にもキックダウンはDレンジだとカミソリのキレ味って感じでもなく、ふつうにワンテンポ置いてからシフトダウンが行われ、
あら、けっこう普通? ってうわぁぁぁぁっ!?(滝汗) と、まさしく後ろから思いっきり蹴り飛ばされたみたいにエゲツナイ加速をすんごい快音とともに開始しちゃったのでした(^^;)
ちょうど、少しだけ右に、そう、ホントに少しだけ右に緩く曲がっているところだったので、僅かにステアリングに舵角がついてたんだと思うんですが、フル加速を始めたとたんにリアがぶるっと一瞬だけアウトに揺れたのですが、すすっと元に戻ってきたような感覚がありました・・・加速をやめて巡行に戻ってから気がついたんですけど、あのとき揺れたのって
DSCが作動した
ってことなんだろうな、と(滝汗)普通に発進して途中からフルアクセルにしたので、ゼロスタートではなかったのですが、それでも情け容赦なく295サイズのタイヤを振り回しにかかろうとする540馬力のエンジン・・・こんなのFRじゃ電子制御なしでは怖くて乗れませんわ(涙)
しかしまぁなんて安定してるんだろう? 完成の域にあるFRハンドリングマシーンはまさしく
意のままに、自分の行きたいほうにすいすいとノーズを向けてくれます。これが5シリーズのでっかいボディをまとったクルマだなんて実感は全然ないです。感覚的にはろくむし号と同じぐらいのサイズとしか思えないんですよね。減速も加速もまさしく思いのまま、右足の加減ひとつです。
そうそう、MTモードでパドルシフトを使ってシフトダウンもやってみたんですけども、これまた意外にも、そんな瞬殺のイキオイでシフトダウンするのかと思ったら、できのいいトルコンATのパドルシフトとそんなに感覚的には変わらないんですね。無理矢理2段飛ばしみたいなシフトダウンをしてみましたけども、一撃でコンピュータがエンジンを煽って回転合わせをしてスパっとクラッチをミートする、みたいなのをイメージしてたのですが、実際には半クラッチを使ってクラッチミートをしてる、っていう雰囲気です。意外とジェントルなのね、って思ってみたりして(^^)
そうそう、アイドリングストップも試してみたんですけども、たしかに信号待ちで停車してそのままブレーキを踏んでいるとストンとエンジンは止まります。で、ブレーキペダルから足を離すと即座にエンジンがかかるんですが・・・なんせエンジンスタートの時の音が例の
快音だったりするので、なんとも存在感のあるスタートを演出してしまうんですよね(^^;) これはなんかエンジンの存在感があるだけに「違和感まったくなし」とはいかない感じですね(苦笑)
しかしまぁホントにこのエンジンにこのシャシー、そしてこの足回り・・・全てがもの凄く高いレベルで収束しているというか、見事にまとまって・・・統合されてM5っていうクルマの印象を形成してるっていうんでしょうか。
ほら、よく「まとまったクルマ」ってことで、エンジン性能もシャシーも足回りも、どこも突出してなくてトータルとしてよくまとまったいいクルマ、みたいなことを言うじゃないですか。
このM5っていうクルマ・・このクルマもね、よくまとまってるんですよ。。ただし、突出した部分がないのではなく、
エンジン、シャシー、足回りの
3つの要素が全部突出しまくってて、三すくみみたいにバランスが取れてる、とでもいうんでしょうか(爆)とにかくエンジンはおとなしいときには実にエレガントで従順なしつけのいい子ですけどもいざアクセルを開けたら手が付けられないぐらいにどう猛なモンスター、でもそれを受け止めるシャシーは、これがもう「これでどうだ!」っていうぐらいに見事に堅牢なんですよ。こんだけのエンジンのパワーを受け止めてもまったくミシリどころがぷるっと震えることすらない、運転してる側はどんなにエンジンが暴れてもシャシーがしっかりとそれを受け止めてくれてる安心感があるんですよ。ギャップを乗り越えても全ての震動は一発で収束。けっしてカドはなく、なるほど高級セダン、いや高級スポーツセダンの優雅な乗り心地を保っています。
足回りもすごく絶妙。こんだけ太くてロープロファイルな大口径ホイールとタイヤを履いてるんですから、もの凄く神経質なハズなんです。でもそんなことまったく感じません。硬すぎず、柔らかすぎず、かつダンピングもキッチリきかせてくれる、不快感ゼロなこの感覚はまさしく高級セダン。決してピュアスポーツのスピード命な
「いろんなものを犠牲にしても速さにこだわる」というものとはまるっきり違います。
快適性とステイタスをキッチリと保った上での圧倒的な速さ・・・1800万円という価格もナットクせざるを得ないのかな、と思うしかない、、、っていうのが実際に乗ってみた結論ですね。
もちろん短い試乗でしたので、ワインディングやら高速道路で走ったわけでもなく、M5というクルマのホントに一部しか味わってないんだとは思いますけども、それでもその片鱗は十分に感じることができたと思います(^^)
いや〜スゴい! スゴすぎる!!
結局、こういう結論ですよね(苦笑) そんなことしか言えないです。
最後に、M5から降りてろくむし号に乗って帰投するときにワタシが感じたことを。
GRBを運転してるはずなのに、もうね、体にはM5の運転席の感覚が染み付いてしまってて、あのタイトでありながらも快適で守られているっていうあの感じに、なんだかアタマがぼーっとしてしまってて、どこをどう運転して帰ってきたのか記憶が曖昧なほどなんですよね(苦笑)
こんなにも試乗で感激して感覚が体に残ったのって初めてじゃないかな? って思います。今までいろんなクルマに試乗をしてきましたけども、イチバン刺激的な体験だったのはGDBのC型スペCに試乗したときの感覚だったんです。
赤いスペCでフルスロットルをかましたときのあの驚きと激動の体験・・・それが直接のきっかけになってワタシはインプレッサをムリして購入し、GDBからGRBに乗り換えて今に至っているわけですけども、そのスペCの試乗体験ですら凌駕してしまった、という気がしますね、今回のM5試乗って。
それぐらいに圧倒的な体験でした・・・まぁ残念なことにどんなに刺激的で感動したところで、1800万円もするようなクルマを「これ欲しい!」なんていって買うわけにはいかないのが甚だ残念ではありますが(笑)
こればっかりは鬼ローンを駆使したところで自爆するのが目に見えてますしねぇ orz
そんなわけで、こんな珠玉のマシンに乗る機会なんて金輪際ないかもしれませんけども・・・いい体験ができたな〜って思います。世の中にはこんなクルマもあるんだな、ってことが分かっただけでも・・。
・・・とか思って無理矢理ナットクしてますけど、
やっぱり乗りたいぃぃ!!(ちゅど〜んっ!)
死ぬまでにこんなクルマを所有することができたらなぁ〜って思いますね(^^)
頑張ったら、ひょっとしたら買える?? ムリだろうなぁ〜(苦笑)