2013年10月26日
日本スピンドル
兵庫県尼崎市にあります「日本スピンドル製造株式会社」、この会社名をご存知の方は居られ
ますでしょうか?
今回の「良い話」はこの会社の方たちの話です。
2005年4月25日、JR福知山線で乗員・乗客合わせて107人の死者を出す大事故が発生します。
この「JR福知山線脱線事故」はマスコミでも大きく取り扱われ、過密なダイヤや運転士に対する
日勤教育の問題とともに、事故車両にJR西日本の職員が乗っていたにもかかわらず、救助活動
を行わなかった事や、連絡後に懇親行事がそのまま行われていた事なども問題視されました。
そんな中、事故現場の近くにあった、一つの会社がクローズアップされます。
日本スピンドル製造は、電車が激突したマンションから程近い場所に工場を構える会社です。
事故発生時、大きな衝撃音を耳にした社員達は、すぐに現場に急行します。
そして、大惨事の知らせを受けて現場を確認した当時の斎藤十内社長は、そのまま工場に引き
返し、すべての機械の操業をストップ。
300名近くいた社員を皆食堂に集めると、全力を挙げて救助活動にあたるように支持したのです。
製造業の方ならお分かりになると思いますが、工場の操業を止めることは、会社にとって大きな
損失だったはずです。
しかし斎藤社長は当然のように人命救助を優先しました。
励ましの声をかけ、バールやハンマーなど会社の工具を利用しながら負傷者を救出。
女子社員たちも制服を負傷者の血で真っ赤に染めながら救出介護にあたったそうです。
さらに救急車の到着が遅いことを知ると、社員達のマイカーや工場のトラックなどを使って病院へ
ピストン輸送しました。
彼らが救った人の数は130人以上といわれています。
その後、消防や警察のレスキュー隊が到着すると、専門家の足手まといになってはいけないと、
社員たちを速やかに引き上げさせたといいます。
それにしても見事な危機対応、見事な采配です。
現場で活躍した社員たちも、もちろん素晴らしいですが、私が注目したのはこの斎藤社長の決断
です。
リーダーたる者、その時その場で何をすべきか。 この方は本能的にわかっておられます。
先ず何といっても会社の利潤より人命救助を優先したことが素晴らしい。
実はこのあと、この会社の評判が広がり、受注数が増え、求人志願者が倍増し、株価も1.5倍
近くに上がったそうです。
斎藤社長の決断は、確かにその日一日だけを見れば、会社にとって損失でした。
しかし、トータルで見ればそれをはるかに上回る利益を会社にもたらしたのです。
事故に遭われた方々にとっても、早く救出されたことにより、命が助かった方も大勢いたはずです。
全てはトップの適切な判断によるものでした。
これがリーダーたる者の資質、昔で言う「徳」というものなのでしょう。
「人を守ってこそ自分も守れる。
己の事ばかり考える奴は、己をも滅ぼす奴だ!」
これは以前4月の終わり頃に紹介した、黒澤明監督の映画「七人の侍」の中に出てくる志村喬
さん演じるリーダーの島田勘兵衛の台詞です。
私の大好きな言葉なのですが、真の意味でもう一つ内容が掴めていませんでした。
しかし、今回のこの話や斎藤社長の振る舞いを見ると、おぼろげながら何か見えてくるような
気がします・・・。
う~ん、深いなぁ (笑)
以上。
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Posted at
2013/10/26 00:11:39
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