2013年09月08日
今回はある女性のお話です。
その女性は昭和14年のお生まれで、今年74歳になります。
彼女は、中卒で掃除のおばちゃんをしています。
けれど彼女は、あのビル・ゲイツ(マイクロソフト社、社長)と対等に話せ、招待される友人でもあ
ります。

彼女は、幼い頃ご両親を亡くされました。
ですから中学を卒業した彼女は、すぐに働きに出なければなりませんでした。
関西で育った彼女は、地元の大手百貨店に就職のための面接を受けに行きます。
けれど面接官の人は、彼女が孤児であることから、最初から冷たい。
自分を受け入れてもらえる事はない、と確信した彼女は、「私のような者に働き口を提供するの
も、あなたがたの仕事なのではありませんか?、これで失礼します」と席を立ちました。
自分ではどうすることも出来ない事で、自分が評価され、見下される。
14歳の彼女は、辛くて、悲しくて、涙が止まりませんでした。
いまから60年も昔の出来事です。
何年か後、彼女は結婚し、子供をもうけ、家計のためにと働きに出ます。
仕事は、掃除のおばちゃんでした。
出勤は早朝、時間は不定期で、土日も出社。 帰宅が極端に遅くなる日もあります。
けれど彼女は一生懸命仕事をして、いつしかマイクロソフト日本支社のビルの清掃責任者とな
りました。
30名余の部下を使い、みずからも清掃を行います。
ある日の事です。
男子トイレの清掃を終え、清掃用具を持ってそこから出ようとしたとき、背の高い外人と入口で
ぶつかりそうになりました。
その外人さんは、「アイム ソーリー」 と言いました。
おばちゃんは、おもわず 「ヒゲ、ソーリー」 と答えました。
日本語がわかるその外人さんは、笑いながら自分のあごの周りを撫でるふりをしながら 「ひげ
剃り?」 と笑いました。
おばちゃんも笑いました。
その外人さんが、ビル・ゲイツでした。
大の日本好きであるビル・ゲイツは、マイクロソフト社の中で、いつも作務衣を着ているそうです。
他の社員達は、重役も平社員も、皆背広にネクタイです。 ビルの中で、ビル・ゲイツひとりが
作務衣を着ています。
そして何処へ行くにも、常にビル・ゲイツには、二名のボディガードがついています。
トイレに行く時は、ボディガードは、トイレの入口に立つそうです。 ですからその時、ビル・ゲイツ
は一人でトイレのドアを開けて入って来たのです。
ほんの、ひと言ふた言の会話でした。
トイレで鉢合わせし、ヒゲソーリーと冗談を言ったなどというのは、誰でもすぐに忘れてしまうような
ほんの些細な出来事です。
ところが、それから間もなくしてあったクリスマスイブの社内パーティーで、おばちゃんは突然、
パーティーに参加するようにと内線電話で呼ばれます。
仕事中だし、他の掃除のおばちゃんたちもいるしと断ると、しばらくしてまた内線が掛かってきま
した。
「おばちゃんたち全員参加してください、ビル・ゲイツ社長からの直々の依頼です」というのです。
やむなくおばちゃんは、当日出社していたおばちゃんたち全員を呼び、みんなでパーティー会場
に行きました。
オシャレなんてしていません。
普段の作業衣のままです。
こわごわと会場に入って行くと、そこには大勢の社員達がいます。
重役達もいます。
そしてビル・ゲイツもいます。
普通の社員達だって、ビル・ゲイツと直接会話なんて、なかなか出来ません。
そのビル・ゲイツが、おばちゃんを見つけると、とっても嬉しそうな顔をして、よく来てくださいまし
た、とおばちゃんを抱きかかえんばかりに歓迎しました。
そして会場のみんなにも、このおばちゃんはすごい日本人で自分が大好きな人ですと紹介して
くれました。
一緒にいた他の掃除のおばちゃんたちにも、ビル・ゲイツが単なるおべんちゃらではなく、本気
でこのおばちゃんを尊敬し、親しみを込めている事がわかったそうです。
それほどまでにビル・ゲイツはおばちゃんを歓迎しました。
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この話を読んで、私は大変に感動しました。
掃除のおばちゃんたちというのは、会社の中ではいわば日陰の人です。
トイレで出会っても、廊下ですれ違っても、その存在自体が意識すらされない。
けれど日本びいきのビル・ゲイツは、どんなに汚い仕事でも、どんなに辛くても、何十年でもそれ
を誠実に行い、しかも 「ヒゲソーリー」 というくらい、ユーモアを忘れずに、堂々と自らの仕事に
精を出す。
そんな本来の日本人の典型を、彼女の中に見い出したのであろうと思うのです。
作務衣を着て、日本が大好きなビル・ゲイツは、彼女が誠実に毎日の清掃をしていること、自分
の仕事に誇りを持って生きていること、そして彼女が胸を張って堂々と生きていることを、瞬時に
見抜いたのではないでしょうか。
だからこそ彼の心の中に、彼女への尊敬の念が湧きおこり、トイレであったその小さな事件を忘
れず、パーティーに全員を招待した。
そういうことであろうと思うのです。
世界を知る大人物のビル・ゲイツが、日本でただひとりの信頼できる友人とまで称したこのおば
ちゃんは、今年で74歳になられます。
少し長くなりましたので終わりにしますが、 かつて昭和の時代、ある会社を訪問した際、トイレ
掃除をしていた作業着の婦人が、実は社長夫人だったとか、 会社の緑地帯で草取りをしている
用務員ふうのおっさんが実は創業者であり社長だった、 などという話はそれほど珍しくはありま
せんでした。
平成の世、さすがにそういう光景は目にしなくなりましたが、それでもお昼に社員食堂などで社長
が社員と同じ定食を食べるなどということは普通にあるのではないでしょうか。
外国では有り得ない事だそうです。
そもそもブルジョワとプロレタリアが同席すること自体無く、有るとすればそれは労使交渉の場だけ
だそうです。
少し話が逸れました。
資源の無い日本がどうして経済大国たりえるのか・・・
私はこの掃除のおばちゃんの話の中に、その理由が隠されているような気がします。
以上、ちょっといい話でした。
Posted at 2013/09/08 13:25:58 |
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