
GWはカレンダー通りなので、昨日も本日も私は仕事です。
なので、先日のブログアップ後に何か作業が進んでいたりするわけではありませんが、Moddoreのコントローラボックスが完成した(はずな)ことを受けて、改めて
電気系の設計をまとめておこうと思います。
失敗と試行錯誤と継ぎ接ぎ要素が多分にあって、情報がブログ各所に散在しているため、改めてまとめてみようかなということです。
なおこれは、自分向けの
備忘録と
各ブログへのポータルを兼ねています。また、今回は電気系のみでメカ系は含みません。
まず、いろいろあった挙句の最終形の電気系最終回路図がこちらです。
これの各所を参照しながら、採用部品などの説明をします。
そもそもの原点に立ち返ると、Moddoreでやりたいことは、
(1)
排気ガス排出ノズルを車で出発後に壁際に
自動で引き寄せて元の位置に戻したい
(2) 排気ガス排出のための
一連の操作に壁の送風機も連携動作させたい
という2点です。
(1)のための電気系の基本要件は、
(1)-1 パラレルリンクで引き寄せるために根元のリンクを開く
モーターを動かす
(1)-2 引き寄せ終えたら、Moddoreの
電源を落とす
(1)-3 スイッチONで引き寄せ指示をした
所定時間後に引き寄せ動作を開始することとし、その開始までの
所定時間を設定できるようにする
(1)-4 モーターの回転力のパラレルリンクへの伝達・切断を切り替える
ソレノイドを動かす
(1)-5 電源ON時に、次の引き寄せ動作の準備のために
モーターを逆回転で回す
(1)-6 センサーを使って
所定の回転位置でモーターを停止する
となります。
(2)については、具体的には、
(2)-1 Moddoreの
電源ONに連動して、送風機の電源を入れる
(2)-2 Moddoreの
引き込み動作を開始するときに、送風機の電源を切る
ということになります。
これらの要件を満たすために、以下のように設計・製作しました。
【A】 まず、(1)-1, 5で使うモーターとしては、減速ギヤが一体となっていて
2rpmという遅い回転速度で回せる12Vモーターを使っています。

アリエクで641円でした。このモーターを使うことが、電気系の設計の出発点ともなっています。買ったのはなんと半年前ですね。如何に製作に時間がかかっているかが窺えます。
【B】 モーターが12Vなので、
全体を12V系で作ることにして、安くて小さいスイッチング電源を使っています。

アリエクで326円のものです。
最初はこれ単体で全体を動かすつもりだったのですが、完成間近で容量不足が発覚し、この電源を2個使っています(2個目は327円)。それについては後で補足説明します。
また、当初、Moddoreを電磁クラッチで作ろうとしていたとき(
クラッチが滑ってNG)には、電磁クラッチが24V駆動のものであったため、24Vのスイッチング電源を使おうとしていましたが、電磁クラッチが使えないことがわかった後、12V系にすることにしました。
【C】 (1)-1, 5にある通り、モーターを双方向に回す必要があるため、モーター駆動用に
DPDTリレー(双極双投リレー)をもつドライバ基板を使うことにしました。
何かちょうどいいものはないかとアリエクで探して見つけたものです。399円でした。
当初、電磁クラッチで作ろうとしていたときには、モーターは一方向にだけ回すつもりだったので、この類の部品を使うつもりはありませんでした。物理的な棒で力を伝達することにしたために逆回転が必要となったために、後から探したものです。
DPDTリレードライバ基板のK1にトリガーを入れるとモーター順回転開始、SW1で順回転停止、K2で逆回転開始、SW2で逆回転停止ができます。順回転中にK2にトリガーが入っても逆回転開始します。使いやすいI/Fになっていると思います。なお、
信号としてはローレベルがトリガーです(最初勘違いしていました)。
【D】 (1)-2は、リンクがベース側に引き寄せられたときに、両側それぞれにマイクロスイッチを仕込んでおいて、
両方が同時に押されたときにAC電源が切れるようにしました。

このマイクロスイッチはアリエクで1つ55円、2つで110円でした。
元の位置に戻ったときには、根元のAC電源レベルで電源を切る設計です。12V系でのモーター停止の方が自然な設計だと思いますが、停止後に待機電流を流したくなかったのと、自作の電気系を完璧に
信用してはいけない気がするので、根元から電気を遮断することにしました。
【E】 (1)-3には、デジタル遅延タイマーを用いました。これを見つけたことが、自分の中で
Moddore製作を後押しすることにもなった重要部品でもあります。
たいへんに安いものですが、動作電圧範囲も広くてかなりな高負荷まで使え、かなりいろいろな設定ができる優れものです。

アリエクで、わずか155円でした。7セグメント3桁の表示器だけでそれくらいしてもおかしくないと思いますが、この形のコンポーネントになっていてこの値段です。
設定した所定時間過ぎた後に、(1)-4のソレノイドをONにするとともに、(1)-1のモーター回転を開始するために使います。
この部品は、明確に何か作りたいものがなくても、
これで何か作るものがないかを考えてしまうという逆転現象が起こるレベルの部品だと思います。車でもそのまま使える電圧ですしね。ただし、少し思いを馳せましたが、今のところこれぞというものは思いついてはいません。
また、電磁クラッチで作ろうと目論んでいたときには、
電気駆動・制御系はほぼこれのみで完結できるものでした。電磁クラッチの失敗で電気回路が複雑になりました。
【F】 (1)-4用に買ったソレノイドもアリエクで見つけたものです。

モーターの力を受ける方向とは直交する方向に
軽いアルミの棒を押し引きするだけなので、パワーはあまり必要ではありません。
小さくて消費電力の低そうなものを適当に選びました。203円でした。
【G】 (1)-5の電源ON時にモーターを逆回転を始めさせるため、電源ON後に若干の安定を待ってから回転開始信号を入れたかったため、
シンプルな遅延タイマーリレーを使うことにしました。

上述のデジタル式とは異なり、基板上のポテンショメータで時間調整するタイプのものです。
アリエクで130円でした。
【H】 (1)-6には、金属近接センサーを用いることにしました。モーターの回転力を伝えるためにアルミ棒を使うことにしたので、
直接的にその棒の位置を検出することにしたためです。

アリエクで179円でした。
【I】 DPDTリレーへのトリガー信号がローレベルであることと、それに入れる信号は一時的な短時間でいいということから、信号反転付きワンショット回路をディスクリートに組んで作りました。2か所あります。(1)-5の電源ON用と、(1)-3のスイッチON所定時間後の引き寄せ動作開始用です。
それぞれ、通常は12Vのハイレベルを出力していますが、前段がON(ハイ)になったタイミングから
約0.8秒間だけローレベル(0V)を出力する回路です。
ネットで勉強して、
ワンショット信号の作り方、信号反転、12Vに適した定数の検討、
保護ダイオード追加等をして設計しました。
【J】 【I】の後者の方の引き寄せ開始については、デジタル遅延タイマーの出力(load)を
他と共通のアースにすることができなかったため、
フォトカプラで絶縁して信号を繋ぐことにしました。
【K】 (1)-3のスイッチで引き寄せ指示をしたことがわかりやすくなるように、スイッチを押したときに
ブザーを鳴らしてアンサーバックするようにしました。
使ったブザーはこちらです。

アリエクで326円でした。
ブザーは、
極短時間(具体的には20ms)鳴らすのが良さそうだったので、違う定数でここにもワンショット回路を組みました。ここにはNOT回路は入っていません。
【L】 【I】【J】【K】のディスクリート回路は、1枚のユニバーサル基板に実装して作りました。この基板から出る配線が多くてごちゃごちゃしていますね。
最終的な部品の配置と配線を示す図がこちらです。
【M】 以上の部品を接続して(1)-3の動作テストをしていると、ソレノイドとモーターの
同時駆動(始動開始)が、電源容量的に厳しいことがわかりました。そこで、【B】で採用した
同じスイッチング電源をもう一つ使って、
モーター専用に割り当てることにしました。
容量の大きな電源に取り換えるのでもいいと思いますが、サイズが小さいもので良さそうなものを見つけられず、同じ電源を2個使いしています。
モーターに専用の12V電源をあてがうことにするならば、モーター以外を12V系にした意味が薄れます。例えば、電子工作ではよく使う5Vとかにすることもできます。が、すでに12V前提で全体の回路を組んでいるし、またソレノイドも12V駆動のものなので、そのままにしています。
【N】 (1)-3の動作開始指示を出すスイッチについては、Moddore本体に付けたプッシュスイッチだけではなく、
離れたところからリモコンでもスイッチを押せるようにしました。単純に本体のプッシュスイッチとRfリモコンリレーとを並列に繋いでいます。

これはアリエクで探して264円でした。
【O】 次に(2)です。これには、AC電源をリモコン化するリレーを使うことにしました。AC電源のスイッチを入切するリレーモジュールは、
Moddoreの回路図には出てきません。完全に分離して別のところに設置するものです。

Moddoreの回路図には、その
リモコンだけが登場します。リモコンのONボタン、OFFボタンに使われているスイッチ両端を外に引き出して、それぞれ必要時に繋げば、外部のACを制御できるというわけです。
AC電源リモコンリレーはアリエクで、508円でした。
実は最初に買ったものが初期不良で動作しなかったため、買い直したものです。リモコン2個付きを最初に買って、後からリモコン1個付きのものを買ったので、
リモコンだけ3個になりました。アリエクで高額なものを買ったことがないのですが、少なくともこの手の安いものが初期不良であった場合、返品なしの返金での対応となります。対応はめっちゃ早いです。
【P】 (2)-1は、(1)-5のために作った通常ハイ、0.8秒間だけローとなるトリガー信号で、リモコンのONスイッチ両端を繋げばいいことになります。それには市販のリレーモジュールをそのまま使うことができるのですが、
箱のサイズ(後述する嵩上げすべき厚み【S】)を間違えていて、用意した
リレーモジュールが入らないことが発覚、できるだけ小さいサイスでディスクリートに回路を組むことにしました。
そのために、まずは信号を反転させて0.8秒だけハイになる信号を作りだし、それを使ってフォトカプラ内の入力側LEDを点灯させることにして、フォトカプラの出力をそのままスイッチに平行に繋ぐ
回路を組みました。
なお、フォトカプラの前段部の2個のトランジスタを1個にもできますが、通常時に10倍以上の電流を流すことになってしまうので、LED駆動を別トランジスタにしてスイッチングすることにしています。
【Q】 (2)-2は、入力信号に(1)-3のためのトリガー信号を使うということと、リモコンのOFFスイッチの両端に繋ぐということ以外は、(2)-1と一緒です。
【R】 【P】【Q】の回路も、別のユニバーサル基板に実装しました。かなりサイズを小さく作れました。
これの部品の配置と配線を示す図はこちらです。
さて、【L】と【R】で使った電子部品は、アリエクとマルツオンラインで買いました。
アリエクで買ったものは、300ピース入りで180円の抵抗、180ピース入りで241円のコンデンサ、100本入りで47円のダイオード、100個入りで125円のトランジスタです。
マルツオンラインで買ったものは、電解コンデンサ1個25円(x5個)、フォトカプラ1個70円(x3個)、22kΩカーボン抵抗100本入り120円です。
その他、コネクタや導線なども買っています。導線には、壊れた体組成計を分解したときにゲットしておいた線や、Etherケーブルの切れっ端なども使っています。
【S】 そうそう、電気系を収める箱(プラスチックケース)もアリエクで買ったものです。
当初、電磁クラッチで作ろうとしていたときの底側と、最終形で穴開けをし直した蓋側の"ニコイチ"で一つの箱ができています。それぞれ、326円と372円です。
最終形では蓋の穴開けをし直しただけではなく、電磁クラッチで作ろうとしていたときから電気系が肥大化して入らなくなってしまったため、単にニコイチにしただけではなく、
MDF板で底側の壁を嵩上げする加工もしています。
そのために蓋の固定ができなくなってしまったので、箱の外側から
ロックラッチで固定する方法に変えました。
これで使ったロックラッチはこちらです。

アリエクで115円でした。
以上、電気系の部品を表にまとめると、こんな感じですね。
全部で、6,504円かかっています。
これ以外にも、失敗して使えなかった部品、使わなかった部品もあるので、8千円くらいだと思います。さらに送料もそこそこかかっているので、その1.5倍くらいかなと思います。
ざっくり1万2千円くらいですね。できる範囲で安い部品を選んでいますが、塵も積もればなんとやら‥‥コントローラはそこそこの値段になりました。
この電気系の製作時間はめっちゃかかっています。基本設計、失敗リカバー、設計変更検討、それらのための試行錯誤等々含めると、
ざっと100時間くらいはかかっていると思います。もしも工賃を含めて考えると、超々々安めの3千円/hだとしても30万円‥‥普通に計算するととんでもないことになりますね。部品代はもはや誤差です。
でも、仕事でやっているわけではなく(
そもそも仕事クオリティでもないし)、趣味として楽しみでやっているわけですから、むしろ、
掛かったお金を製作時間で割って、趣味に費やしたお金にする方が自然ですね。そうだとすると、
120円/hで楽しめる遊びだったということです。
ドライブしたときのガソリン代よりも安く上がる趣味ということですね。
そして、できた上がったものが実用的にも役立つというオマケつき。
以上、電気系まとめでした。続きを作りたいところですが、しばらくあまり時間がとれないかも。
《つづく》