「おこめ券」行政消極的 福島県内22市町村「配らず」 地域商品券検討の自治体も
2025/12/14 10:00
政府が物価高対策として活用を促す「おこめ券」について、福島県内59市町村のうち、少なくとも22市町村が配布しない見通しであることが、各市町村への取材で分かった。「配布する」と答えたのは1町にとどまった。コメどころの市町村では生産農家が多く、農家から直接調達する住民もいるなど、おこめ券による物価高対策への効果を自治体が疑問視している状況が浮き彫りとなった。
おこめ券は従来、主に贈答用として流通。販売価格は500円で、コメを購入できる440円分に経費や利益の60円が上乗せされている。発行元のJA全農、全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)は15円前後~23円程度割り引きして販売する方針だが、各自治体には発行や郵送に経費がかかる懸念がある。
コメ農家多い市町村、商品券の発行検討
おこめ券を巡る対応について、59市町村には「配布する」「配布する方向で検討中」「配布しない方向で検討中」「配布しない」「未定・その他」の5項目から選択してもらい、理由とともに尋ねた。13日までの集計で、5町村が「配布しない」、17市町村が「配布しない方向で検討中」と回答、配布しない見通しの市町村は合わせて22となり、県全体の4割弱を占めた。
主な理由として16市町村はコメ農家が多いため、おこめ券の配布は生活支援の効果が薄いと指摘、6町村はコメ以外にも使える商品券発行の有効性を挙げた。
「配布しない」と答えた5町村のうち、葛尾村は12日の12月議会で、村内で使える1人3万円分の商品券を支給するための関連予算を成立させた。平田、川内両村も地域商品券を配布する方針だ。「配布しない方向で検討中」とした各市町村は、生産農家が多いことから「経済対策につながるか疑問視している」(国見町)「使える世帯が限定される」(鮫川村)などと説明。多くが代わりにプレミアム付き商品券の発行などの対応を検討している。
「未定・その他」とした36市町村は、交付金額といった国の対応を見極めている状況だ。福島市は「市民の声などを集約している」、郡山市は「活用には慎重な検討が必要」と回答。東京電力福島第1原発事故で全国に避難住民がいる富岡町は「避難先の自治体が対応するのか返答がなく、結論を出せずにいる」とした。
「配布する方向で検討中」とした市町村はなく、磐梯町が唯一「配布する」と答えた。町は今秋、先行する形で独自のおこめ券を65歳以上の高齢者のみの世帯に配布。今後は18歳以下の子どもがいる子育て世帯に配る予定で、国の交付金をその財源に充てるという。
おこめ券を巡り、内堀雅雄知事は8日の定例記者会見で「地域の実情に応じて物価高騰に対応することが重要。引き続きコメの価格動向などを注視するとともに、国の経済対策について適時適切に対応していく」との見解を示している。
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