ノーベル賞授賞式 坂口志文さんと北川進さんにメダル授与
2025年12月10日午後2時06分
(2025年12月11日午前4時49分更新)
ノーベル賞2025
ことしのノーベル賞の授賞式がスウェーデンのストックホルムで行われ、生理学・医学賞に選ばれた大阪大学の坂口志文さんと、化学賞に選ばれた京都大学の北川進さんがスウェーデン国王から記念のメダルと賞状を受け取りました。
目次
3項目
坂口志文さん「人生で特別な日に」
【授賞式の様子を詳しく】(1時間13分)
授賞式はスウェーデンのストックホルム中心部のコンサートホールで日本時間の11日午前0時から始まり、坂口さんと北川さんはほかの受賞者とともに入場しました。
授賞式では化学賞の選考委員が北川さんら3人について「化学における画期的な発見を成し遂げた。人類の利益にとって偉大な業績だ」と述べました。
そして、ファンファーレが鳴り響くなか、北川さんはともに受賞するリチャード・ロブソンさん、オマー・ヤギーさんと一緒に名前を呼ばれるとスウェーデンのグスタフ国王から記念のメダルと賞状を贈られ、握手を交わしました。
続いて生理学・医学賞の選考委員が坂口さんら3人の業績について「免疫システムが体を守る仕組みを明らかにした研究は、免疫の病気やがん治療、さらに臓器移植への応用に新たな道を開くことになる」と述べました。
坂口さんはともに受賞するメアリー・ブランコウさん、フレッド・ラムズデルさんと一緒に、グスタフ国王から記念のメダルと賞状を受けとり、握手を交わしていました。
坂口さんと北川さんはこのあと日本時間の11日午前3時すぎからストックホルム市庁舎で行われる晩さん会に出席し、スウェーデン王室の王族やノーベル賞の選考委員などおよそ1300人と一緒に食事をすることになっています。
坂口志文さん「人生で特別な日に」
坂口志文さんが、授賞式直後にメディアの取材に応じました。
授与された記念のメダルについて聞かれた坂口さんは「結構重たいものですが、本当にありがたいと思っています」と述べました。
そして「皆様から拍手を頂いて光栄でした。本当に私の人生で特別な日になると思っています。うれしいです」と喜びを語りました。
【授賞式の様子を詳しく】(1時間13分)
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晩さん会 開かれる
ノーベル賞の受賞者を祝福する晩さん会は、受賞者のほかスウェーデン王室の王族やノーベル賞の選考委員などおよそ1300人が参加して日本時間の11日午前3時すぎからストックホルム中心部にある市庁舎で始まりました。
北川さんはビクトリア皇太子を、坂口さんは経済学賞を受賞したアメリカのジョエル・モキイア教授のパートナーのマルガリットさんをそれぞれエスコートしながらホールに続く階段を下りました。
晩さん会では地元産のきのこを使ったスープやヒラメの一種を使った料理などがふるまわれることになっていて、2人は中央のメインテーブルに座り、ほかの受賞者やスウェーデンの王族と歓談していました。
晩さん会は日本時間の11日午前7時ごろまで続く予定です。
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ノーベル生理学・医学賞に坂口志文さん
過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」という細胞を発見するなど免疫学の分野で優れた業績
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ノーベル化学賞に北川進さん
「多孔性金属錯体」と呼ばれる極めて小さい穴を多く持った材料を開発 材料科学に新たな分野を確立
《坂口さんと北川さん 授賞式までの様子》
授賞式リハーサル会場に到着
ホテルを出発する坂口志文さん
大阪大学の坂口志文さんと京都大学の北川進さんが、授賞式のリハーサルに参加するため、会場に到着しました。
このうち坂口さんは日本時間の10日午後6時20分ごろ、手袋とコート姿で青いマフラーのようなものを首に巻いて、ノーベル財団の職員に連れられてゆっくりとした足取りで会場に入っていきました。
また、黒いコートを羽織った北川さんもそのあとすぐに到着し、財団の職員に傘をさしかけてもらいながら、リラックスしたような表情で会場に入っていきました。
坂口さんと北川さん 授賞式で着るえんび服を試着
坂口さんと北川さんは、ストックホルム市内にある紳士服店で、授賞式と晩さん会で着るえんび服の試着を済ませました。
ノーベル賞の授賞式とその後の晩さん会の招待者は、男性はえんび服に白色のタイ、女性はイブニングドレスといった正装で出席します。
ストックホルムの中心部にある老舗の紳士服店では、ことしの男性受賞者全員分に加え、授賞式に出席する家族の分などおよそ200着のえんび服を用意しました。
化学賞に選ばれた京都大学の北川進さんは12月5日に、生理学・医学賞に選ばれた大阪大学の坂口志文さんは8日に、それぞれ試着に訪れ、シャツやベストのサイズを調整したり、ボタンの留め方を練習したりしたということです。
試着した北川進さん
店に用意されたゲストブックに北川さんは、大事にしてきたことばとして、講演などで紹介することの多い「無用之用」と記していました。
また、坂口さんは英語で「サイズを合わせてくれてありがとうございます」とメッセージを記していました。
えんび服を試着した感想について、坂口さんは「私の体にあうように少し直すなどしましたが、格式高い服装ですので、なんとか形になるようにして授賞式に臨みたいです」と話していました。
ノーベル博物館 日本からの受賞者寄贈の記念品など展示
授賞式を前に、ストックホルムにあるノーベル博物館は多くの観光客でにぎわっています。
博物館には歴代の各賞の受賞者がパネルなどで紹介されているほか、受賞者が寄贈した記念品などゆかりの品が数多く展示されています。
このなかには、2012年に生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんが寄贈した「ピペット」と呼ばれる実験道具や、2002年に物理学賞を受賞した小柴昌俊さんが寄贈した、ニュートリノの観測に使った施設「カミオカンデ」の部品など、日本の受賞者からの記念品も並んでいます。
小柴昌俊さん寄贈「カミオカンデ」の部品
博物館の職員、ヴィベニウス・あゆ美さんは「科学や文学に詳しくない人も、受賞者が挫折したときにどう乗り越えたかを展示から知ることができます。ことしの受賞者の展示もあるので、多くの人に訪れてもらいたいです」と話していました。
高市首相 SNS投稿 “基礎研究への投資 大幅拡充など検討指示”
高市総理大臣は、旧ツイッターの「X」に「日本人として、日本国の総理大臣として、両先生の受賞を大変誇らしく思います。坂口先生、北川先生、両先生のご家族、ご一緒に研究された方々など関係の皆様に対し、心からお祝い申し上げます」と投稿しました。
そのうえで、「優れた科学技術力、そしてイノベーションを興す人材は、強い経済の基盤です。先日、来年度からの『第7期科学技術・イノベーション基本計画』の取りまとめに向け、国立大学法人運営費交付金など基盤的経費や、基礎研究への投資の大幅な拡充を検討するよう関係閣僚に指示しました。高市内閣は『新技術立国』の確立に向けた戦略的支援を通じて、坂口先生、北川先生に続く人材の輩出を推進します」としています。
Posted at 2025/12/11 07:11:43 | |
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