
震度6強 気象庁が初の「後発地震注意情報」 備えの確認を
2025年12月9日午後0時03分
(2025年12月9日午後0時28分更新)
北海道・三陸沖後発地震
8日夜、青森県東方沖を震源とする地震があり、青森県で震度6強の激しい揺れを観測したほか、岩手県では70センチの津波を観測しました。この地震で気象庁は、千島海溝・日本海溝沿いでは巨大地震の発生の可能性がふだんより高まっているとして、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表していて、日頃からの備えを確認してください。
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北海道・三陸沖後発地震注意情報とは
対象地域の確認はこちらで。
防災対応が求められる自治体は、北海道と東北、関東の7つの道県の計182市町村です。
8日午後11時15分ごろ、青森県東方沖を震源とするマグニチュード7.5の地震があり、震度6強の激しい揺れを青森県八戸市で、震度6弱の揺れを青森県おいらせ町と階上町で観測しました。
このほか、震度5強や5弱の揺れを北海道や青森県、岩手県、宮城県で観測しました。
その後も地震活動は続いていて、午前11時までには震度1以上を観測する地震が13回発生しています。
この地震で津波が北海道から東北にかけて到達し
▽岩手県の久慈港で70センチ
▽北海道の浦河町で50センチを観測しました。
気象庁は一時、北海道から東北にかけて津波警報や注意報を発表していましたが、午前6時20分にすべて解除しました。
一方、この地震で、千島海溝・日本海溝沿いでは、巨大地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。発表は2022年の運用開始以来、初めてです。
情報の対象となるのは、北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の計182市町村です。
この情報が出ても必ず巨大地震が起きる訳ではないため、事前の避難は求めていませんが、今後1週間はすぐに逃げられるように、非常用持ち出し袋を準備することなどを求めています。
また、避難場所や避難経路の確認、家具の固定や、食料や水、トイレなどの備蓄品の確認など、日頃の備えも改めて確認するよう求めています。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、北海道から岩手県にかけての沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」、それにその周辺でマグニチュード7クラスの地震が起きた場合、その後の巨大地震の発生に注意を呼びかける情報です。
情報が発表された場合
▽避難場所や移動経路の確認
▽すぐに逃げられるよう非常用持ち出し袋の準備
▽家具が倒れないよう固定
▽食料や水、トイレなどの備蓄品の確認
など、日頃からの備えの確認が求められます。
避難は求めず、呼びかけの期間は1週間です。
発表される条件は、北海道の根室沖から東北の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域とその外側のエリアで、マグニチュード7以上の地震が起きた場合です。プレート境界かどうかは問わず、想定震源域の外側で大地震が起きた場合、発生した地震の規模によって情報を発表するかが決まります。
地震発生からおおむね2時間後をめどに、内閣府と気象庁が発表します。運用は2022年12月16日から始まりました。
【対象地域は】
対象となるのは、3メートル以上の津波や震度6弱以上の揺れなどが想定されている、太平洋側を中心とした北海道と青森県、岩手県と宮城県、福島県、それに茨城県と千葉県のあわせて182の市町村です。
【情報の確度は】
国は「情報が出されたからといって、必ず巨大地震が起きるとは限らない」としています。世界的な事例ではマグニチュード7クラスの地震のあとに8クラスの巨大地震につながる例は100回に1回程度とされています。9クラスになると、さらに低いとされています。
一方、国はこれまで、過去の地震の履歴から「後発地震注意情報」の発表は平均すると2年に1回程度と頻繁に出されるとする見通しを示していました。
専門家「20~30年間隔で繰り返し発生」
専門家は「今回の震源域周辺では、マグニチュード7クラスの地震が2、30年間隔で繰り返し起きている」と指摘したうえで、後発地震に備えて日常生活を送りながらも、適切に避難ができるようにしてほしいと呼びかけています。
東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授によりますと、青森県東方沖では、これまでもマグニチュード7程度の地震が20年から30年ほどの間隔で繰り返し起きていて、今回の地震もその活動の一環だとみられるということです。
近くでは、1968年の十勝沖地震が起きていますが、震源がやや離れているため、関連があるとは考えにくいとしています。
また、南に離れた三陸沖では先月9日にマグニチュード6.9の地震が起きるなど、地震活動が続いていますが、震源が離れていることから、直接の関係はないとみられるということです。
今村教授の研究グループが、地震のデータなどをもとに今回の地震で津波がどのように伝わったかシミュレーションを行ったところ、地震発生直後には青森県や岩手県のほか北海道の南部付近に第1波が押し寄せている様子が再現されたということです。
今回の津波について、今村教授は「第1波の到達が早く、津波の周期が短いことが特徴だ。周期の短い津波は流れが速くなる傾向があるため、強い流れで養殖いかだや漁船が被害を受けた可能性がある」と指摘しています。
その上で、後発地震への備えについて「対象地域に住む方は日頃の生活を送りながら津波が発生した場合は迅速に、適切に避難できるように備えてほしい」と呼びかけています。
Posted at 2025/12/09 12:33:43 | |
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