
新地からいわきまで...南北200キロ、旅の道 浜街道トレイル開通
2023年10月01日 08時30分
約200キロの沿岸ルートがつながった歩く旅の道「ふくしま浜街道トレイル」=30日午前、相馬市・市道大洲松川線(ドローン撮影)
新地町からいわき市までをつなぐ全長約200キロの散策路「ふくしま浜街道トレイル」が30日、開通した。太平洋沿岸を南北に歩いて旅することができる散策路は、自然豊かな浜通りの魅力や、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の歩みを発信する。観光誘客や地域活性化の新たな軸として地元の期待が集まる。
浜通りの13市町村でつくる「うつくしま浜街道観光推進会議」がコースを設定した。新地町の磯山展望緑地を北端、いわき市の勿来海岸を南端に沿岸部の10市町を結ぶ。
コースには地域の自然や風土に触れることができる道が選ばれた。相馬市では太平洋と松川浦に挟まれ、雄大な外海と変化に富んだ入江を一望できる市道大洲松川線や、松川浦大橋が選定された。
開通式典とシンポジウムが30日、相馬市で行われた。1日には市道大洲松川線を含む相馬市―南相馬市の約20.7キロを歩く記念イベントが繰り広げられる。
「歩いて地域体験」
新地町からいわき市までを結ぶ散策路「ふくしま浜街道トレイル」(全長約200キロ)の開通に合わせ、相馬市で30日に行われた式典やシンポジウムでは、関係者が浜街道トレイルや沿線地域の魅力発信に向けて意見を交わした。青森県八戸市から相馬市まで延びる自然歩道「みちのく潮風トレイル」との連結に伴う相乗効果を期待する声も上がった。
シンポジウムではパネル討論が行われ、長距離ハイカーの長谷川晋(しん)さんが「200キロを歩くことで同じ福島でも変化が見えてくる。一歩ずつ進むことで違いが見えてくる」と浜街道トレイルの特徴を解説。大熊町で暮らし、地域コミュニティー支援に携わる佐藤亜紀さんは「じっくり見て、初めて分かる地域の魅力がある。歩くことで地域の歴史を体験できる」と語った。
県観光物産交流協会の守岡文浩理事長は、トレイルの活性化には地元の協力が重要だと指摘。「地域の方に理解していただき、自分たちの道だと感じてもらえれば(旅行者への)おもてなしや声かけが自然と生まれてくる」と述べた。
式典では開催地の立谷秀清相馬市長が「みんなでトレイルを大切にして、震災からの復興につなげていきたい」とあいさつ。みちのく潮風トレイル関係自治体協議会長の山田司郎宮城県名取市長が祝辞を述べた。
浜街道トレイルを歩いた福島市出身のタレントなすびさんは、総延長1025キロの潮風トレイルと浜街道トレイルが連結し、青森県―本県の1200キロに及ぶ1本のコースが誕生した意義を強調。「将来的に内陸のルートとつながれば、日本最長のロングトレイルになる」と期待した。
コースを設定したうつくしま浜街道観光推進会議は原発事故による帰還困難区域があるJR大野―双葉間を電車での移動とした。飯舘、葛尾、川内の3村にもコースを設定する予定だ。
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2023/10/01 12:01:15