福島県「医療非常事態宣言」 病床6割超、BA・5対策強化も
2022年08月13日 08時00分
福島県は12日、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、県内の医療体制が危機的状況にあるとして「医療非常事態宣言」を発出した。県民に適切な受診に対する協力などを要請する。併せて感染者を減らして医療の負荷を軽減するため政府が新設した「BA・5対策強化宣言」も発令。現在取り組む「県感染拡大警報」を強化し、9項目の対策を要請する。
コロナ新たに1635人
県内では新たに1635人の感染が確認された。11日現在の入院者は重症4人を含む過去最多の467人で、病床使用率は62.3%と約1年ぶりに6割を超えた。療養者数も計1万8659人と最多を更新、県民の約100人に1人がコロナで療養している状況だ。今週は2度にわたって1日の感染者数が過去最多を更新しており、患者が大幅に増加。外来や病棟で対応する医療従事者が感染したり濃厚接触者となる事例も増え、予定していた入院・手術の延期や、救急患者の受け入れを断らざるを得ないケースが生じている。
このため県独自の医療非常事態宣言を出し、医療の負担軽減を図る。症状が軽く、65歳未満で透析などを含む基礎疾患や、妊娠中でなければ、救急外来を受診せず平日の診療時間内での受診を求めるなどの協力を要請する。
BA・5対策強化宣言に伴い県は31日まで、県民や事業者に9項目の対策を訴える。7月に出した「感染拡大警報」で訴えてきた8項目に、事業所での感染対策を加え、感染や濃厚接触者となった従業員の休暇取得や勤務再開に証明書の提出を求めないよう要請する。9項目に強制力や罰則はないが、特別措置法に基づく要請と位置付けられるため、県は「法に基づき、より重みを持った要請となる」としている。
政府は12日付で本県をBA・5対策強化地域に指定した。県が発令したのに伴う措置。これにより県が対策を円滑に進めるための支援が受けられるようになり、県は近く、必要な支援や対策について国と協議する。
内堀雅雄知事は12日の県感染症対策本部員会議で「医療の現場が限界に近づきつつある」と述べ、医療負荷の軽減に協力を求めた。
県内8月感染2万人超 専門家「BA・5流行ピーク」
県内で今月確認された新型コロナウイルスの感染者は計2万917人に上り、10日余りで2万人を超えた。月別で最多だった7月の2万1708人に迫る勢いで急拡大が続いている。
今月に入ってから1日の感染者数は連日千人を上回り、このうち5日間は2千人超。4度にわたり過去最多を更新している。11日現在の人口10万人当たりの療養者数は1017.86人と初めて千人を超え、医療体制の逼迫(ひっぱく)が続いている。入院者に加え、自宅療養者も1万7762人と最多を更新。宿泊療養者は430人に上る。
県アドバイザーの仲村究福島医大准教授は「県内の陽性者が過去最多を更新し、病床使用率も6割を超えるなど医療機関の逼迫が続く。医療機関でも毎日のように多くの陽性者がみられ、医療スタッフは連日対応に追われている」と指摘。「(オミクロン株の派生型)BA・5の流行がピークを迎えていると考えられる」と述べ、県民の生活や医療体制を守るための対策強化の必要性を訴えた。
県内の感染確認は延べ10万9385人となった。12日発表の1635人の内訳は、いわき市447人、郡山市398人、福島市236人、須賀川市61人、会津若松市51人、白河市47人、二本松市38人、伊達市33人、会津美里町30人など。保健所の医師の判断で感染とみなす「みなし陽性」は3人で、計2437人。
県は784人の療養を解除した。
Posted at 2022/08/13 11:21:44 | |
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