
ダイハツ ミラ トコット、今年3月に販売終了したミラ ココアの実質的後継車として発売された軽自動車です。
久し振りの座っただけの試乗記はミラ トコットと行きましょう。
ミラは本来乗用5ナンバー/商用4ナンバーで、ちょっとスペシャルティな派生車としてミラ ジーノとミラ ココアがあったのですが、乗用5ナンバーはミラ イースがとって代わり、商用4ナンバー主体のミラは今年3月に販売終了(4ナンバーミラの営業車需要は一定量あったはずだが今後はどうするのだろう)、モデル自体古くなったミラ ココアの代替として、少しコンセプトを変えたのがミラ ココットのポジションです。
ミニのそっくりさんだったミラ ジーノ(1999-2004 2004-2009)、ほんのちょっぴりアドベンチャーワゴン感覚を取り入れたミラ ココア(2009-2018)とは打って変わって、どちらかといえば女性向けエントリーカーとして価格を抑えた、極めてオーソドックスな5ドアハッチバックです。ミラ ココアよりも以前のエッセ(2005-2011)に近い印象がありますが、エッセほどコストダウンした感触ではなくて、ベースになった現行ミラ イースと同等のレベルに見えます。

オーソドックスの極み、特徴のないハッチバックスタイル。セルボモード(1990-1998)や2代目キャロル(1989-1995)など1990年代に多かった。

リヤスタイルもシンプルといえばいいが、2018年のニューモデルとはとても思えない。

LEDヘッドランプ、オートライト/オートハイ&ロービーム、自動消灯システムが全車標準装備、これはいいことです。ミラ ココアではベースモデルの古さから遅れていた運転支援装備も、ミラ トコットではスマートアシストⅢがほとんどのグレードに標準装備となり時流に追いつきました。

インテリアは、プラスチックの質感では軽自動車の水準を抜いたダイハツだけあって、エントリーモデルでも見た目の上質感では抜かりはありません。ミライースよりインストルメントパネルのデザインは上かも。

シートもクッションをブラウン、バックをベージュに色違いとして、パイピングまで施してあります。実際に汚れやすいのはシートクッションだし、上部が明るい方がより室内を広く見せるのでこれはよいアイデアです。
リヤシートは最近のトレンドで後方にセットされてレッグスペースは十分。トランクスペースはそのあおりを受けてかなり小さい。室内はハッチバック軽自動車の標準レベルです。

上位グレードはコーナーセンサーが標準装備。日産が流行させたパノラマモニター対応のアップグレードパック(ディーラーオプションのナビが必要)も、女性エントリーユーザーに優しいという謳い文句に合っています。また、クオーターピラー以外のピラーは細く、ガラス面積もまあまあ広くて視界がよろしい。最近軽量化のためにガラスをケチって穴倉に閉じ込められたような視界の悪いクルマが多い中、これはほめてもいい。

ボディカラーは8色。カタログに登場するセラミックグリーンメタリック(G61)、サニーディブルーメタリック(B64)、ジューシーピンクメタリック(R73)は、ミラ トコットに用意された新色です。最近ダイハツはマイカ系の新色が少ないが、これはコストダウン(マイカよりメタリックの方が製造原価が安い)のためでしょう。

上位グレードには、メーカーオプションでデザインフィルムトップで2トーンカラー風にすることが出来ます。これはアイボリーカラーのキャンバス地調のフィルムを、フロントバンパー、ルーフ、バックドアアッパーに貼り付けるもの。現行コペンでもルーフにカーボンシートを貼ることが出来ますが、同じ系統のドレスアップです。
グレードは基本的に3種類。各グレードに2WD/4WDが設定されます。エンジンは現行ミライースより少しチューンの高いノンターボでミッションはCVTの1種類。
メーカーお仕着せのアクセサリーとして、アナザースタイルパッケージが3種類あります。

スイートスタイル。パールホワイトのアクセントを散らしたのは、ピンクと組み合わせると、アルトラパンによくある取り合わせ。

エレガントスタイル。メッキを多用したのは、ミラ ココアのアクセサリーカタログにもあったっけ。

クールスタイル。ブラックを散らしたモノトーン調は、このクルマなら結構合うかも。

アクセサリーカタログには、タントでおなじみのディズニーキャラグッズが。

熊のプーさんもあります。ホンダはバービーやバーバパパなどコアなファンにしか受けないキャラクターばかりだけど、いち早くキティバージョンやディズニーキャラクターを取り入れたダイハツの方が商売上手だと思いますね。
総論として、ミライースとの差別化は出来ているが、先輩のミラ ジーノ、ミラ ココアと比べるとあまりに特徴が無さ過ぎ。量販を主としなくてもいい、ちょっとスペシャルティなポジションなのに、このスタイルは無いと思います。
ミラ イース、ミラ トコット、キャストとダイハツには同種ハッチバック軽自動車が3種類もあるのだから、それぞれをもっと差別化しないといけないでしょう。
上位グレードでも120-130諭吉と、装備に比べれば比較的価格が安いのは評価出来ます。しかし、私がいつも書くようにダイハツ車は5年目くらいから交換を要するパーツが加速度的に増えて整備費用が掛かります。
その理由から、軽自動車がほしいという人に私はダイハツ車を勧めることはしませんが、敢えて推すならば、クルマに趣味もこだわりもない女性には、3年か5年で乗り換えるという前提ならば買うことに反対はしません。しかしうちの子供のような青少年がこのクルマにしたいというなら、「もっと他に選択肢がある」と別のクルマを勧めるでしょう。
それにしても不思議なのはアルトがターボRS、ワークスで軽ホットハッチを復活させてそれなりに人気を集めているのに、ダイハツが追随しないことです。
まあ、東京オートサロンではそれなりのコンセプトモデルは展示しましたが、なかなか市販されないのは、ミラ イースのシャーシーではターボパワーに耐えられないのかと勘繰りたくなります。
だったら、設計が新しいだけ多少は融通が利きそうなこのクルマを利用して、
「ミラ ココット TR-XX」とか、「ミラ ココット ターボ アバンツァート」という
スポーツグレードはどうでしょう。
こういう古臭いスタイルは、過激なデザインのエアロパーツでも案外似合ってしまうので、まあまあ受けそうな気がするのですがね。でもそんな展開にはなりそうもありません。
あくまでゆるいキャラクターで通すなら、デザインフィルムトップなんてケチな事をいわず、キャンバストップを設定してほしいですよ。安全対策のためか、どのメーカーもサンルーフの設定がありませんが、1車種くらいそういうのがあってもいいでしょう。
軽のトップメーカーを自負するならば、類型的だけでなく他にはないようなポイントを持つ車種を作ってほしいものですね。
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Posted at
2018/06/30 23:00:15