ペダル踏み間違いが原因とされる事故、先日の池袋での痛ましい事故に続けて、昨日も市原で起きた事故が報道されていますね。
保育士の方が取られた咄嗟の行動に因り園児には怪我が無かったものの、保育士の方は重傷を追われたとの事。
保育士の方が一日も早く快方に向かわれる事を願ってやみません。
報道を見聞きして、『同様の事故が起きたばかりなのに、また起きたのか!』と思った方もおられると思いますが、それは正しくありません。
少し古い資料(出典は
こちら)になりますが、ペダル踏み間違いに因る事故は6,500件/年程度起きています。
一日当たりにすると約18件にもなります。
報道されるのは単にマスゴミがセンセーショナルと判断したが故であって、実際の事故件数とはなんら関係がありません。
つまり、『踏み間違いの事故がまた起きた』ではなく、『報道に値するセンセーショナルな事故がまた起きた』だけなんです。
日常的に起きているペダル踏み間違いに因る事故。
詳細分析した結果が
こちらにあります。
読み込んで見るとなかなか興味深いです。
高齢ドライバでの事故が多い理由も納得出来る物が有ります。
ただ、この分析結果から『高齢ドライバは悪だ』とするのは解決になりません。
割合の大小は別にして、誰にでも起きる可能性がある訳ですから。
人は間違いを犯す生き物ですから、間違いを減らす事は出来てもゼロにするのは不可能です。
人が犯す間違いに対してどう対処するのかが安全工学の考え方です。
こういう考え方での改良というのは、既に車にも多数採用されています。
例を挙げると、こんなのがあります。
昨今の車には100%で採用されていますね。
※画像の出典は
こちら
フールプルーフ(fool proof)・・・間違いが起きない様に規制する事
・シフトロック (ブレーキを踏まないとシフトレバーがPから抜けない)
・エンジンスタート規制 (P,Nで且つブレーキを踏んで無いとエンジンスタートが出来ない)
フェイルセーフ(
fail safe)・・・間違いが起きた時に、常に安全側に制御する事
・パワーウィンドウswで閉側がプルアップ (間違って押しても開側になるので挟まれない)
・リモコンキーで解錠後、一定時間内経つと施錠(御操作等で解錠したままな事を防ぐ)
ペダル踏み間違いに対してはどうでしょうか。
元々、AT/CVTはアクセルもブレーキも右足で踏むという同じ操作なのでフールプルーフの考え方に反していますし、アクセルを踏まずとも走るクリープ現象があるのでフエイルセーフにも反しています。
安全工学の観点で見ればありえない事で、ドライバがミスをしたら事故になるのは当然な訳です。
フールプルーフ・・・・間違いが起きない様にアクセルとブレーキの操作法を別にする
・日産の
ワンペダル(アクセルを離すとブレーキがかかる
但し間違ってアクセルを踏む事は回避出来ないので効果は限定的)
・
ナルセワンペダル(アクセルは右押し ブレーキは踏込み)
・左足ブレーキ(アクセルは右足 ブレーキは左足で踏む ブレーキを両足で踏むのも可)
・MTに乗る(発進時はクラッチ操作が必要なので両足操作 停止時は右足のみで可)
フェイルセーフ・・・・間違ったペダル操作をしても発進・加速しない様にする
・トヨタの
サポカーSや
ペダルの見張り番等(アクセルを踏んでも発進・加速が抑制される)
・ブレーキオーバライド(アクセルとブレーキが同時に踏まれた時にはブレーキが優先される)
・
ナルセワンペダル(ブレーキは操作が簡単な踏込み側 アクセルは右押しなので操作難)
ここからは私見ですが、ペダル踏み間違いに対する必要性や確実性は、フールプルーフ>フェイルセーフだと思うんですね。
基本構造がフェイルセーフに反している為に、電子制御で対応する他無いのですが、これが100%確実に動作するとは言いきれない。
実際、『機能には限界があります』といった逃げ口上が書かれていますからね。
対してフールプルーフは構造的な規制なので、確実性ははるかに上です。
ナルセワンペダルは構造的に踏み間違いのリスクはゼロですし、左足ブレーキも下図にある様に事故に繋がるリスクはゼロです。
※画像は
こちらから拝借いたしました。踏み間違いに対する基本的な考えも同じです。
フールプルーフの採用が進まない最大の理由は、ドライバーに操作法変更という負担を強いるが故でしょう。
ナルセワンペダルは費用的な負担も大きいですし、費用負担の小さい左足ブレーキも、慣れ親しんだ操作法を変えるのはかえって危険なのでやるべきでないという意見もあります。
が、確実性は電子制御のフェールセーフに比べて圧倒的に高いのも事実。
これから免許を取る又は取ったばかりでAT限定免許の方は、左足ブレーキでスタートするのもアリというか、出来ればそうして欲しいなぁと思います。
私自身、AT/CVTを運転する時は両足ブレーキです。
(マイクラはMTなので踏み間違いのリスクは無し)
きっかけは、ペダルの踏み間違いを経験してしまって怖くなったから。
15年程前に代車を借りた際、既にエンジンが始動していた車に乗り込んでシフトをP→Dとする時に、ブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでしまった為。
幸いPレンジでのアクセル全開でしたから暴走する事は有りませんでしたが、踏み間違いは自分にも起きるという事を思い知らされた瞬間でした。
将来的に愛車がMTで無くなった時は、ナルセワンペダルへの変更を想定しています。
フールプルーフとフェールセーフが両立出来ているのが最大の理由。
20年以上前に体験した事が有るのですが、大きな違和感無く操作する事が出来ました。
代替案としては先日みん友の
super-cubさんが挙げられた
クイックブレーキもアリだなと思っています。
ペダル踏み間違いに対して、『間違わない様に努力しましょう』は掛け声だけで効果無し。
フェイルセーフが無い、又は有っても100%の信頼性が無い以上は、なんらかのフールプルーフが必需というのが、この問題に対する私の見解です。