たくちゃんとイチゴたま子さん その４

イチゴたま子さんを海に帰す気になった、たくちゃん。

キッカケは友だちの「カニって飼うのムズカしいよね。ただ飼うとなかなか長生きしない」という何気ない言葉でした。


そのことは始め知らなかったけれど、

突然、たくちゃんに「ペンギンを飼いたい？」と訊かれました。


ううん。空想することはいつもだけど、ホンキで飼いたいと思ったことは一度もないよ。


「あんなに好きなのに、なんで？」とたくちゃん。


僕たちの世界はゴミゴミしていて忙しくて厳しいから。彼らをこっちの世界に連れて来たくはないんだよ。生まれ変わったら、僕が向こうに行く。

うまく言えないけれど、、ニャンコやワンコは僕ら人間の世界のなかに自分の世界を作ることができるように感じる。一緒になにかを楽しむことができる。

でもペンギンが幸せに暮らせる世界と僕らの世界は違うと思う。


そのことについてマジメに何やら考える様子のたくちゃん。

そして、たくちゃんはイチゴたま子さんを海に帰すことにしました。


「水槽だと寂しいのかな」と僕に言うともなくこぼれた言葉。

波音がないからね、と僕。



たくちゃんから一緒に海に行くことを誘われていたのですが、昨日の夜になって「やっぱり一人で行きたい」と連絡がありました。

理由を訊くことはしませんでした。

分かるから。



今日、たくちゃんはお昼に大洗海岸に到着。

水槽を持ったまま１時間過ごし、、

イチゴたま子さんを海に帰すことなく(！) 帰路に着き、、、

海から40km走ったところで停車、、

また海岸に戻って、今度はイチゴたま子さんを海に帰したそうです。



夜10時、、

真っ暗な海岸の岩の割れ目にいる、イチゴたま子さんを想像してしまいます。

ふたたび、、

波音のある生活。


たくちゃんとキャベツの味をおぼえているのだろうか。