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そら007のブログ一覧

2008年11月15日 イイね!

あの夏の日 10

まいにち子供たちと遊ぶ。

太陽の下で一日中遊ぶ。


海、空、砂浜、赤茶色の村道、森、白いホテル、

そういった風景を僕は今でもはっきりと憶えている。

その日々は強く心に刻み込まれ、

いくつかのキーワードによって僕はその地に一瞬で戻る。

時間と距離を超えて一瞬で戻る。

波音を聞くことができる。

小さな手の感触もはっきりと憶えている。

目の前にその小さな手が見える。

僕には見える。

空間に浮かぶその手に触れることはできないけれど。


今でも海を見ると、、顔をくしゃくしゃにして笑う子供たちを思い出す。

今でもコーラを見ると、、子供たちと出会った日のことを思い出す。





日本に帰らなくてはいけない。

子供たちとアイスを食べているときにふと口に出る、、

I have to go back to Japan .....

きょとんとしている子供たち。

アイス売りのおじさんが子供たちに伝える。



「日本はどこにある?」と子供たちが言う。

僕は海を指差し、「あの向こうだ」と答える。

夕暮れ時の海をみんなで見つめる。

「遠い?」と子供たちが問う。

僕はうなずく。


明後日、僕は日本に帰る。



子供たちと遊ぶようになってから、僕に話しかけてくる大人が増えた。

良くも悪くもめずらしかったのだ、僕みたいなやつは。

その人たちにもお別れの挨拶をしてまわった。


ホテルのスタッフも別れを惜しんでくれた。

帰国前夜、子供たちも招いて、お別れパーティをホテルで開いてくれた。


Posted at 2008/11/15 17:04:03 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2008年11月12日 イイね!

あの夏の日 9

コテージ形式のホテルにして良かったと思う。

子供たちが僕の部屋までかんたんに来られる。

毎日、早朝から日が暮れるまで子供たちと遊ぶ。

さわり鬼、、ボールぶつけ、、森を探検、、釣り、、

ボート遊び、、海で泳ぐ、、大きなクラゲに大騒ぎ、、

“缶蹴り”これは理解がムズカしい、、、ルールがどんどん変わる。


子供たちと食べる果物が最高に美味しい。

僕はやがてここを去る旅人である。

高価なモノは控える。



何も日焼け止めを塗らずに、一日中太陽の下で遊ぶ。

首から肩、背中にかけての重度の日焼け。

でも、、

太陽の下で子供たちと過ごすことを僕はやめられない。

僕は本当に助けられていた。



笑い声がこだまする砂浜。

太陽と海と子供たちと僕。

顔をくしゃくしゃにして笑う子供たち。

僕に触れてくる小さな手の感触を今でも忘れられない。



そんな様子を見ていた大人たちは僕に興味を持ち、

やがて僕を認め、そして心の扉を開いてくれる。




楽しい日々はあっという間に過ぎ、日本に帰らなければいけない日がやって来る。
Posted at 2008/11/12 22:21:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2008年11月10日 イイね!

あの夏の日 8

空が明るくなる頃、ウトウトする。

ドアをノックする音。
一瞬で目が覚める。

時計を見る。
早朝。

ホテルのスタッフであるはずがない。

…警察?
、、、逮捕?

…もしかして、、、
ドアを開けた瞬間、やつらが雇った何者かに拳銃で、、、

窓から死角になる位置にそっと移動する。
大丈夫、冷静だ。

逃走経路を考える。
ハタチの僕は逃げ足だけは速いのだ、、


緊張。
耳を澄ます。


…聞き覚えのある小さな笑い声、、

子供たちだ!

ドアを開ける。
いたぁー。
ズラリと勢揃い。


みんなで海辺に出る。
子供たちの笑い顔が朝陽に輝く。
思わず僕も笑う。
硬くなった気持ちがとけるように緩む。


ほっぺを突っつく。
顔をくしゃくしゃにして笑う。

背中を突っつく。
身をよじって笑う。

おへそを突っつく。
砂浜を転げ回って笑う。


何をしてもみんなで笑う。




身振り手振りで“さわり鬼”を教える。
大騒ぎ。
「オニー!」、「オニー!」の声が砂浜にこだまする。


日本から持ってきたゴムボールで“ぶつけっこ”。
大興奮。
やっぱり、「オニー!」、「オニー!」の大合唱。

何でも最初に教えた“鬼”になっちゃう。


笑う。
みんな笑う。

興奮した子が泣きながら笑う。
ハナを垂らして笑う子もいる。
転んでも笑う。


僕も笑う。



すっかり大人になった今はよく分かる。
あの時、僕は子供たちに助けられていた。

助けに行ったはずの僕が助けられていた。


子供たちの笑顔に僕は助けられていた。
子供たちの笑い声に僕は助けられていた。

だから、、、
いつの世の中でも、
どんな時代になっても、
子供たちが笑って暮らせる環境であってほしいと願う。

心からそう願う。
Posted at 2008/11/10 23:42:17 | コメント(5) | トラックバック(0) | | 日記
2008年11月10日 イイね!

あの夏の日 7

夕陽。
一日の終わり。
空が朱色に染まる。
子供たちのおかげで僕は微笑むことができる。

部屋に帰ってシャワーを浴びる。
コテージになっているのでホテル本館に移動。
レストランのテーブルに一人座って食事をする。


さわいでいるグループがいる。
日本から来た年配の男性たち。
酔っぱらい。
声がでかい。
東京のどこそこの土地が一坪いくらだの、こっちじゃヘネシーが一本いくらだの、、そんなことばかり。
レストランのスタッフにも絡む。

ご馳走するからこっちにおいで、と僕を誘う。
丁寧に断る。


子供たちのことを思い出す。
お金ってなんだろう。
国ってなんだろう。
同じ星で暮らしているのにどこで線が引かれてしまうのだろう。


レストランを出たところで、騒いでいた男性たちと一緒になる。
一緒に遊びに行こうよ、と僕を誘う。
丁寧に断る。

奢ってやるよ、と僕を誘う。
丁寧に断る。

別の一人が身を寄せる。
オンナ買いにいこうよ、と僕を誘う。
断る。

赤ら顔で僕の肩に手をまわしてくる。
行こうよ、コドモみたいのもいるよ、と僕に言う。

こども?

ケンカになった。
ガラスが割れた。

我慢できなかった。
圧倒的な怒り。
拳を振る。

怪我をした。
怪我をさせた。

警察も来た。

ホテルのスタッフは僕をかばってくれた。


すっかり大人になった今はよく分かる。
確かに、軽蔑するに値する男性たちだった。
でも爆発したのは情けない自分への憤りだったのだと思う。

男性たちに対する怒りなど最初の一発か二発だ。
あとは、、堰き止められていた自分への怒りと喧嘩したのだと思う。
男性たちの振る舞いに対する怒りはただのきっかけに過ぎない。
そういう意味では謝らなければならない。


ぺしゃんこになって、部屋で一人、夜を過ごす。
Posted at 2008/11/10 00:08:06 | コメント(1) | トラックバック(0) | | 日記
2008年11月07日 イイね!

あの夏の日 6

乾いた赤茶色の道をどこまでも歩く。
隣村まで歩く。

一軒の土産物屋を子供たちが指差す。

ん? ここ?

手を引かれて店に入る。

竹細工の小さな人形。

竹で作られた人形の髪はツンツン。
僕の髪の毛もツンツン。

そういうことかぁー。

竹細工の人形を顔の横に持っていく。
似てる?

子供たちがうなずきながら笑う。
はじけるように笑う。





てくてく歩いて海辺に戻る。

コーラを奢る。
強い炭酸にビックリ。

一人の子がむせる。
鼻からコーラを噴き出す。
涙目で痛がってる。

それを見た子もむせる。
むせながらコーラを噴き出して笑う。

みんな大笑い。
僕も大笑い。
可笑しい。
お腹が痛い。


笑いながら、ふと気がつく。
この国に来て僕は初めて笑った。


日が暮れるまで子供たちと過ごす。


Posted at 2008/11/07 12:12:55 | コメント(2) | トラックバック(0) | | 日記

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