
今回の足セッティング作業は、BLアクセラのNAエンジン!1.5Lモデル!

軽量なBL5FWの良さは良く知ってるし、今やセッティング回数なら2Lエンジン車に結構負けないくらい積んできています。
いつもの5FWの方は後期型5FWですが、今回は前期型5FWです。
前期BL5FWというとウチで触ったことがあるというのではこれで2台目。
あの時は
タワーバーの取付がちょっと良くなかったのを見つけちゃって手直ししました。
今回は現物のセッティングだけでなく最初からフロントのバネを交換…ていうか、1発でほぼセッティング仕上げてしまいます。

車高調は去年カーショップにてお任せで組んでもらったラルグスの車高調。
設定は純正の今より低くなって車検に通る程度で…みたいなオーダーだったそうで。
作業時のデータシートがあるとの事で見せていただきました。
どれ…
フロントL -4mm / フロントR -3mm
リアL -10mm / リアR -10mm
……何故!?!?
車高調組んでーなわけだし、そんな数値にする意図が全く分からん。
ちなみにBLアクセラは基本的にフェンダーの隙間の話で言えば、フロントに拳が入る様な車高の高さです。

これが純正足の頃の写真。
なのになんで-4mmとかそんな下げ方なのか。
これは現物の設定値を探って読み解いていくのが楽しみですねぇ…
ラルグス車高調のBLアクセラ用はフロントバネレートが9k。
でもこれは言わばBLアクセラ汎用車高調キット。
だからフロント軸重が軽い1.5Lエンジン車でストリート向けだとちょっと硬い。
2Lだと程良くて、2.3Lだとちょっと足りない。
そんな真ん中、9k。
今回1.5L専用仕様にするのでバネレートは下げて8kにします。
バネの長さを示す自由長は標準だと160mm。
これは車高の下げ代を確保するという意味合いもあって160mmという長さにされているんですが、そこまでベッタベタに車高を下げないのであればその使ってない調整代はバネの長さに置き換えた方が許容荷重も増し、走り味としてもソフト寄りに行きます。
しかもラルグス車高調だったら直座アッパーマウントなのでバネの自由長が+20mmの180mmまで伸ばせるから伸ばしましょう(ブリッツだと180mmは長すぎて不可)
短いバネは反応の良さに優れますがそれ故にツンツンした乗り味になりやすく、長いバネは反応がまったりして乗り心地も良いし重い物にも耐えられやすくなり、バネの伸縮する幅も増やせます。
長いと反応は緩くなり、長くなった分バネそのものの重量も重たくなります。
メリットデメリットはそれぞれありますが、今回は目標に対して適しているのは長いバネです。
バネの銘柄ですが、今だったら断然オススメは
SSスプリング!って事で決定。
日常使いで乗り心地が少し悪いのを何とか出来ればというのと、フロントの車高の方がリアより高いのが気になる…という事でフロント車高に気になる部分を改善していきます。
まず試乗させてもらって思った事。
フロントとリアの動きがちぐはぐ。
フロントのプリロードが無駄に高い感じがする。
でもリアは収まりが良いので、リアを軸にフロントが頭を振ってる乗り味にずっとなってる。
この頭を振るのが微妙に減衰力が緩いせいで路面のギャップでぼーーんと結構上に長めに突き上げられる。
この突き上げはドカン!じゃなくて、ぼーーんって感じのフロントが上に放り投げられるみたいな。
マジでフロントの設定が悪い。
無駄なプリロードで硬くなって乗り心地悪くなってるのに減衰緩くしてますます抑えてなくて、悪さと悪さを足してる感じ。
これは確かに同乗者に、コーヒーが飲めないとか乗り心地が…って言われるよ!w
ただ、付いているパーツも問題を含んでいます。
この車高調の他に

FFW純正のブレイスバー。
これは現マツダ3乗りのあおヒゲさんがFFWに乗っている時に自分がBLMS用のブレイスバーと交換し、外したFFW純正ブレイスバーが余り、それが5FW前期→5FW前期…と渡り歩いていったものです。
懐かしいなぁ!w
これは良い塩梅のパーツなのでこれは良い。
それと、

タナベ製フロントタワーバー、そしてオートエクゼ製リアフロアクロスバーも付いています。
この組み合わせは過去にもやってます…
エクゼリアだけもあった、タナベフロントだけもあった、タナベエクゼセットもあった。
セッティングやる側の意見を押し付けるならば、社外補強は何も付けない状態が一番ボディはいいしなり方する。
足のセッティングが出れば出る程、コレの違和感に近い存在感が増してくるんです。
逆にセッティングが出てないと全体がぼやーーっとした印象になるからコレがどう作用してるのかが分かりづらい。
見えてないと、これが何となく硬くなって良くなった様に感じてしまう。
特にリアのバーは実際ボディの箱が変形しにくくなって、例えば高速の車線変更みたいな舵を入れた瞬間のそういう応答性が良くなるんです。
横一文字程度、鉄板の端と端を繋いだだけの物なんだけど。
浅い舵角では好印象になりやすいんですが、深い舵角になるとフロントは僅かによじれながら食ってフロントを捩じ込みたいのに、リアがしっかりした箱になってしまってフロントの動きを阻害する。
とはいえ、これ込みでセッティングした事もあるので今回もありきセッティングで行きます。
まず車高調分解する前に現状の設定値を拾っていきましたが…見立て通りプリロードがこのアクセラにはそんな要らないんですけどってくらいの設定値。
だからあの乗り味なんだよってのしかない。
こういうのは全部直します。
そして恒例?のフロントダンパーブラケット取り付け部の

ナックルのスリットに収まり回転止めするのとボルト抜けを押さえるトサカの変形。
前回作業のEFWアクセラと比べたら、こんなの

楽勝です!
新品バネは組む前に必ず全長の測定。

この通り、今回は表示規格より+3mmでした。
車高調の分解、洗浄清掃、注油を経て、

左側完成!
この日はかなり暑かったし、おしゃべりばっかりしてのんびりやってたのでここ一ヵ所だけでめっちゃ時間食ってましたw
ま、それが楽しいってのもあるよね!
一人で黙々自分のアクセラで研究やってるより楽しいのよこういうのがさ。

今回は作業が初なので1G締めもバネ交換してから同時にやっていきます。
前期型なのでフロント左ロアアームにも光軸センサーが付いてますね。
先に現車高データで1Gデータを採寸、そこから数字を見て設定値の決定。
最近この作業の影が薄かった気がするけど基本の基本、まずアームブッシュの基準を立てないとです。
作業しながらじろじろ目視するんですが、

フロント左フェンダーのここのクリップって何故か内側に潜り込みやすいんですよね。
今回もそうで、付け直しておきました。

アンダーカバーのボルトがないぞ?ってここをめくってみたらここの中身がまるっとなかった…
ちぎれた跡があったので…何かあってそうなったんでしょうね。
とりあえず取れそうな感じではなかったので今回はこのままで。
的確に安くやるなら、生きてる側の隣のボルト穴から横方向へステーを生やして、ステーにナッター打ち込んで同じM6ボルトで締められる様に、ってところ。
だとしてボルトは付くけど元の様に強度が出るかって言ったら、うーん?ですが。
アンダーカバーは大型樹脂部品という事でか値段が高いので考えどころです。
引き続きフロント右側。
こちらの方が左側より更に大変でした。
・ダンパーロックシートがトルク過大
ぜんっぜん緩まなくて車高調レンチにスピンナーハンドルでぐーーーーっ!と強トルクを掛けたら、すこん!と一気にロックが解けて、おっとっとーと転びかけた…w
叩きショックがいいパターンと、ぐーーーっと強トルクを掛けっぱなしにするといいパターンでこの時は前者がダメで後者で1発緩みでした。
・定番のフロントスタビリンク上側のナットが固着
いや左側も結構厳しかったけど何とかクリアは出来て。
ただ付いてたナットの程度が何か良くないみたいでかなり回りが悪かったのでフランジナットは2つとも新品にしました。
そしたらボルト側そのままでもクルクルーと回りが相当良くなったのでやはりナットが何か悪さをしてた模様。
右側スタビリンクに至っては下側は緩んだものの上側がマジで緩まない。
どうせこっちもナット新品にするから、ってナットに食い込ませてトルクを強く掛ける特殊ソケットを使っても無理。
ラチあかないから車高調ごと外してスペース作ってストレートメガネ一番長いの掛けて外します!
って事で、車高調単品にして転がした状態でやってクリアしました。
昔ほど苦戦と言う印象ではないけど、それでも何でこの部分は固着しやすいんだろう?と不思議に思います。
自分が組んで何度も自分で外してーってやってますが、一度も自分のは固着知らずなんですけどね。
で、ダンパーロックシートがマジでトルク過大でその時にぐに、っと少しダンパーが捩れてブラケット背面のトサカが

変形してしまいました。
組む時に下手こいて変形してることはまあまああるんですが、これは緩め作業の時にブラケットの向きが動いたのが見えたので強トルクに引っ張られてーの変形プラス、元の変形の状態。

可能な限り真っ直ぐに!
完璧真っ直ぐにするには曲げじゃなくて叩きが必要ですが、それやると塗膜落ちるからね…
とはいえ十分な修正具合なのでこれで組みます。

ああ大変だった!
無事綺麗に右側の車高調も組み上がりました。
左で出したデータを右側にコピーペーストなので楽ちん。
車高調のセット、それから1G締めも左と同じ様に行っていきます。
データって言えば、このホイールって18インチだけどサイズは?って気になってホイール裏面を見たら

純正サイズの7J+53でした!
これはタイヤサイズが225/45だからか、+53って見え方じゃなくて気づきませんでした。
何とはなし7J+48くらいかなって雰囲気なんだけどね。
フロントの足周りが出来たら、

タワーバーの調整も行います。
これも過去に数度やっているセットアップです。

ターンバックルはきっちり左右を

揃える!
今回もやはり左右揃っていなくてズレていました。
揃ってなくとも付くけど、揃える事に意味がある。
しなりを強めるパーツなのにしなり具合が左右で違ってて良い訳がないじゃないですか!
まずターンバックル部を最短にして、そこからバーを回して台座穴まで長さが合うところへ伸ばして合わせる。
タワーバー台座はアッパーマウントナット(車高調なのでナット。純正ならボルト)を緩めた状態にしておいて、バーを回して開き方向へテンションを掛けていきタワーバー台座のナット穴が当たった所とバーの向きが良いところでそれぞれ締め付ける。
ストラットタワーは内側へ倒れ込むのを防ぎたいのでそういう調整を施します。
やる事やるとステアリング特性がどっしりしてインフォメーションも増え、舵角に対しての応答感も良くなります。
これが出来てないとスカスカで補強されてる感が甘くなります。
ていうか、こういうのを付けるなら意味がある様にする。
出来ないなら外した方がマシ。
自分の作業はそういうスタンスです。
いよいよリアの作業に移ります。

っておい!?
ダストブーツお前…いつの間にそんな短くなったんだ!?
ラルグス車高調の新品購入は24年だそうですが…今売ってるやつはダストブーツすらここまで短くなったのか?
もはやバンプラバーの傘でしかありません。
ダンパーのダストパッキン部は普通に大分汚れていました。
丁寧に清掃したけど…ここまでコストダウンの影響が及んでるって事…?

リアも各リンクを1G締めしていきます。
リンク類は問題なく、新車時から緩められていないなという手慣れた手応えだったんですが、リアダンパーのロックシートがまるで歯が立ちませんでした。

フロント右のロックシートもですが、いくらなんでもあまりに過剰なトルクです。
左がダメだったので、右がもし緩めば左をもうちょっと頑張ってみましょうか!って事で先に右側アームの1G締めを実施。
が、右ダンパーもロックシート緩まず。
ダメだぁーー
車高調レンチもこのサイズ向けにもっとフック部を深く加工して作業性良くしたものを使っていましたがどうにもなりませんでした。
設定長だけ採寸してリアダンパー付け直しをして終了。
ホントさぁーー

こういう風にリアメンバー上の高さにロックシートが来る様に設計してくれよ!
リアキャリパー裏であちこち当たるわレンチがまともに掛けられるところが1ヵ所しかないわとか作業性が悪い!
でも、そういう作りの車高調の方が当たり前に多いんですよね。
何故なんでしょう…
って、リア右ダンパーと戯れてて気付きました。

ブリーダープラグのゴムキャップが付いていません。
というかブリーダーにシャシブラ掛かってるんでここ最近取れたとかじゃなくて結構前でしょう。
ちょい緩いけど、アストロプロダクツで売ってる汎用も付くので一番安いのだとそれかな。
確か200円くらい。

本日最後の作業です!
リアスタビリンクの長さ補整をします。
当初そこまで車高は低くないと思うんで要らないかなと思いましたが、リア足採寸したら数値的には普通にやった方がいいって状態だったのでリアスタビリンクのセット位置を補正します。
印象で決めちゃだめだね。
やっぱ測るの大事。
リアスタビリンクでまた最後に作業難航するかぁ?wとか思いましたが無事普通にクリア。
リンクの状態もまぁ癖は出てヨレヨレにはなっていましたが、コリコリだのガタガタだのではまだない。
今回5FWアクセラのコンディションを一通り見て、
ブレーキフルードの劣化(紅茶色になってる。エア噛みはそこそこだけど効きが悪い)
ブレーキパッドフロント5mm程度、リア3mm程度。交換時期が近い状態。
ローターも一度も交換してない事もありそれなりに摩耗は認められます。
タイロッドエンドのブーツが次の車検まではもたないかも、くたびれ感あり、いずれ切れるかも。
アライメント調整するのであれば、その時に同時に交換依頼をしてしまった方がアライメント取り直しとかないので同時作業がオススメではある。
他エンジンマウントやプラグは最近新品にした等で試乗した感じでも良い雰囲気でした!
あ、これ…ってのはなかった。
車高調整度合いで気になったフロント-4mmとか何でそんな微妙な…ってのは良い方向に察するとすればフロントのエアロをぶつけたりしない様にっていうそういう気遣いでしょうか。
減衰設定もとりあえず…みたいな設定でしたし何というか全てふわーーっとした設定具合だったので、これだと乗ったらまぁあんな感覚だよねってところです。
とりあえず少し車高下がって、足が硬くなっただけ、みたいな。
これを5FWに適したセッティングを仕込む事で、ちゃんと変わるわけ。
ところでこの5FW、マフラーが何と

現廃盤でちょっと貴重なナイトスポーツのマフラーなんですねー!
ってこれも、前5FWオーナーさんがこのマフラーを買うって話の頃から知ってる物なんですがリアバンパーのエンドの見た目もとても綺麗に付いてるんですよ。
でも、5FW後期の方がマフラーをこれにしたら何か妙にテールが寄るわカンカン干渉するわで。
1時間かそこらは格闘したのを覚えてます。
これ綺麗に付いてますよねーって話をしたら、でも走ってて音がすると。
まさか…って作業も終わったところでしたがまた腹下へ潜り込み、同じところなんじゃ…って見てみたら、

またここのステーの干渉が原因かー!w
全く同じだよ。
だとしたら対策も全く同じで止められるだろうけど…

分からせるっていうw
これはマフラーブッシュを新品にしてもダメで、硬度の問題ですから社外品で合いそうなものを探す方が解決には近い。
この時はその準備もなかったから分からせる手段で鳴らない様にさせましたが。
ステーの生えてる位置がちょっと悪いから車体側のと揺れて当たって腹下で鳴ってるのが響くんだよな…
これまた追々、ですね。
今回、必要な部品を交換調整し、現車のアームブッシュを整えました!
最後に実走して減衰力を合わせていきます。
って事でテストコースへドライブへ。
最初にフロントバネを交換した時点で減衰段数数え直して、従来より2段分硬くしました。
あの、ぼーーんってのからしたら硬くしないとダメだな、と。
ドンピシャ1発でその通り、って挙動に変わりました。
無駄に跳ね上がらず跳ねをバネとタイヤでいなします。
まーーフロントがバタつかない事!
これだよこれ。
これが他のバネよりよりしっかり出来るのがSSスプリングの強み。
でも全体が整った事で案の定というか、リアのボディの張りが気になり出してます…
頭は入る。
すーっと切れ込んでいこうとするんだけど、頑固な感じになってるリア。
うーん…
1.フロントの減衰力を上げてリアに合わせる
2.リアのフロアクロスバーを外す
3.バーはそのままにリアの減衰力を下げる
どれか。
でもリアは内張りの加工もないので今ダンパーの減衰力が容易に変えられません。
調整の為にはリアダンパーの取り外しが必要になってしまう。
この中だったら…すぐ調整出来るのでフロントの減衰を1段強めます。
で、やっぱり違和感があったバランスがちゃんと取れた。
今できる範囲でならこれが一番だと思います。
ただ、これで乗り心地がもうちょっと良く出来れば…というのであれば、やっぱりフロントは1段また弱めて、リアの方で根本の解決をすべき。
という事になりました。
どちらかというとややドライバーファーストな印象はあるけど、それでも朝方の作業前の状態のバラバラぼーんどたばたって感じと比べると、ちゃんとしたという感じがとてもある。
大体チェックできたのでドライバーチェンジ、運転してみてください!
とはいえ既に横乗りで揺れ方の違いを体感してたんですが運転し始めてから、
「段差を超える時にいつも揺れがくるのが分かってるから、アクセルを抜いて段差を超える様にしてたんです」
と話していて。
そのレベル!?
でも確かにあの、ぼーーんはまぁ普通に不快レベルだったよなと思います。
今では普通に段差とか端の繋ぎ目はタタン!って走り抜けられますのでそんな身構えも不要です!
ある意味、今が割と硬い方でここからもっとソフトにも。
ソフトな中でももうちょっと走りテイストを織り込んでーとかもセッティングで出来ます(リアダンパーの固着が直せれば…)

フロント車高の何とも言えない違和感もなくなり、フラットな姿勢にも出来ました!(リアからの写真だけどw)
セッティングの状態もしっかりとした基準が出来たので、じゃあ次はこうしましょうかというのが明確に出来ます。
まずは普段の馴れた道を走ってみて、どんな感じか感じ取ってみてください。
そして次にお会いできる5月の茨城マツダオフの際にまたたくさんお話しできたらと思います。
今回の長丁場、お疲れ様でした!
と、いう事でそのマツダオフの前日にもう1件、作業予定です。
もうちょい続く!