
御存じの様に、ケイマンのリアサスペンションはトランスバースリンク付きストラットで、911の様にマルチリンクではありません。(注:写真は997ターボのマルチリンクです)
マルチリンク式サスペンションは、一般的にダブルウィッシュボーン形式にアームを追加した様な構造
(911の様にダブルウィッシュボーンベースで無いものもある)になっており、仮想キングピン(仮想転舵軸=物理的な転舵軸で無く、複数のアームでハブを保持する事で仮想的な転舵軸を構成する)を持っています。
この仮想キングピンを軸としてホイールの動きを、理想的な位置に近付けるための構造です。
メリットはホイールの動きを最適化する事で接地性の向上、NVH対策、姿勢安定化等が有ります。
タイヤの接地を最適化出来るので、ロードホールディング性が高くなり、限界を高める事が可能になります。
デメリットとしては構造が複雑になるので場所を取る事、重くなる事、アームが多い為にブッシュ類のへたりによる性能低下が著しい事等が有ります。
それではストラットが全くダメかというと、そんな事もありません。
ストラットでもアーム長を長く取って、対地キャンバー角の変化を少なくする等、ジオメトリ変化を抑える方策を取れば、かなりのパフォーマンスを発揮出来ます。
実際ケイマンのストラットは、ダブルウィッシュボーン等でもアームの短いクルマと比較すれば、限界は低くないと思います。
とは言え、リアタイヤの後ろに低くエンジンをマウントしている911と比較すれば相対的にトラクションは低く、更にマルチリンク化されている911は対地キャンバー変化や前後の動きに対するトーの変化をより精密に制御出来るため、結果的に素晴らしいスタビリティを発揮します。
しかし、限界が高いという事はそれだけ破綻した時のリカバリーが難しくなります。
ケイマンは911より限界は低いかもしれませんが、限界を超えた場合の挙動が穏やかで、FRから乗り換えてもそれ程違和感無く対処出来ます。
より万人向けで、気軽に楽しめるケイマンとしては、今のストラットも悪くないと思います。
アバタもエクボですけど(笑)
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Cayman S | 日記
Posted at
2011/05/20 14:29:37