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MORSCHEのブログ一覧

2021年06月10日 イイね!

987ケイマンSの事:その⑥

987ケイマンSの事:その⑥今回は987ケイマンのウリだったモノが実際どうだったかについて書こうと思います。










987ケイマン発表当時のウリは、

①クローズドボディ化に伴うボディ剛性の大幅な向上
②ミッドシップ2シーターとして最大級のラゲッジスペース
③電子制御可変サスペンションPASM
④電子制御車両制御システムPSM
⑤スポーツクロノパッケージ
⑥バイキセノンヘッドライト

辺りでしょうか?

PCCB(ポルシェ・カーボン・コンポジット・ブレーキシステム)もウリの一つでしたが、ウチのクルマには付いていないのと、サーキットでの耐久性に問題が有るので、ここでは割愛します。







①クローズドボディ化に伴うボディ剛性の大幅な向上

これは言うまでも無く987ケイマンの最大の武器です。
オープンボディとして設計されたBoxsterをベースに、クローズドボディを与えたのですから悪かろう筈が有りません。
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実際に乗った感じでも、987Boxsterだと不整路面でAピラーがブルブル震える事が有るのに対し、987Caymanのボディは全くそう言う事は有りません。

Type997の911と比較しても、リアハッチの開口部が大きい、バルクヘッドが1枚少ないと言う不利な点が有るにも関わらず、それ程劣っている感じはしません。(リアボディの強固さは987ケイマンを大きく凌駕しますが、全体的にはそれ程差を感じません)
この強靭なボディは987ケイマンの大きな武器だと思います。

ちなみに981系では更に剛性がUpし、ホイールベースが伸びたにも関わらず、オープンボディのBoxster系でも不整路面でAピラーがブルブル震える様な事は無く、とても強固になりました。







②ミッドシップ2シーターとして最大級のラゲッジスペース

フロント150ℓ、リア260ℓと言う、ミッドシップスポーツとして望外のラゲッジスペースを持つ987ケイマン。
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実際、これ程荷物を積めるミッドシップスポーツも無いのでは無いかと思います。







987ケイマンはエンジン高が低い水平対向エンジンの特徴を活かして、そこにリアラゲッジルームを設けているので、特に天地方向にスペースが有るお陰で、ドライバーを抜いて別に置けば、ゴルフバッグ2個を積む事も可能でした。
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981系になってからはエンジン高が少し上がって天地方向がかなり薄くなってしまい、ゴルフバッグは斜めに1つ搭載するのがやっとです。

それでも、ケイマンは2シーターのミッドシップスポーツとしては望外のラゲッジスペースを持っており、思いの外ユーティリティは高いです。

ただ、残念な事にリアタイヤはフロント/リアのラゲッジスペースには収まらないので、予備のタイヤを運ぶとしたらルーフキャリアでも付けない限り不可能です。







③電子制御可変サスペンションPASM

スポーツクロノパッケージとのセットオプションだったPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)。

BILSTEINの電子制御可変ダンパー「ダンプトロニック」を使用した電子制御可変サスペンションです。
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各種のセンサーからの情報からリアルタイムに減衰力を調整すると言うのがウリのシステムで、スポーツモードにしていても路面のμが低くなると自動的に減衰力を柔らか目にしてトラクションを稼ごうとするなどの機能が有り、乗り心地と運動性能を両立させようとするものです。

PASM装着車は車高が10mm下り、それにも関わらず良好な乗り心地を維持しています。

実際の所、PASMを「SPORT」に切り替えるとかなりダンピングレートが上がった感じになり、ロールが抑えられます。
但し、“あくまでも公道レベルの速度域なら”と言う前提条件でのハナシです。

サーキットレベルになると、そもそもバネレートが3kg/m台と決して高く無いので、いくらダンパーが硬くなっても思いっきりロールします。

またバネが柔らかいままダンパーが硬くなるので、サーキットで縁石を踏む様な状況下では飛び跳ねてしまい、却ってトラクションに悪影響を与えます。

「公道での良好な乗り心地を最優先し、たまにワインディングを気持ち良く走りたい」と言う方には持って来いですが、サーキットレベルを求める方の場合は足回りの交換が前提になるので、あまり必要性は有りません。

但し、“スポーツクロノパッケージとのセットオプション”と言うのがクセモノで、「SPORT」モードはサスペンションだけで無くエンジンのスロットル制御などにも関わって来るので「SPORT」モードは欲しいので、結局これも付いて来てしまいます。(987ケイマンS発売当時)

これはあくまでもGT系では無いケイマンのハナシなので、981系や982のGT4の場合はそもそも脚周りのジオメトリからバネレート、ダンパー減衰力など全て異なり、且つノーマルで車高調が付いているので、ノーマルのままでもFSWで1分50秒代前半位まではフツーに行けてしまいます。(ウデさえ有れば)

GT系に乗るとPORSCHEと言うメーカーの本当の凄さが分かります。







④電子制御車両制御システムPSM

PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネジメント)は987系から標準装備され、スイッチでOFFに出来るものの、完全にOFFにする事は出来ません。
(ヒューズを抜けばOFFに出来ますが、速度計も表示されなくなり、ABSも機能しなくなるのでオススメしません)
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PSMの機能は実際かなり優秀で、個人的にはジムカーナーやミニサーキットなら兎も角、大きなサーキットでは基本的に切らずに走っています。

但し広場トレーニングなどで定常円旋回などをやる時は、OFFにしないとテールスライドが始まった途端にスロットルを閉じられてしまって失速するので、そいうい場合はOFFにします。

PSMは闇雲にテールスライドを抑えるものでは無く、有る程度のテールスライドは許容してくれます。

厳密にどの位かと言うのは不明ですが、私の感覚ではゼロカウンターの状態ならほぼ介入して来ません。

ジムカーナの様な場合は介入されまくってしまってハナシになりませんが、高速サーキットならプロドライバーレベルの方々を除いては切らない方が身の為です。

一度切った状態でFSWを走りましたが、感覚的には氷の上を走っている様な感じで、自分のウデでは却って遅くなってしまうのでヤメました。

公道でも大雨の時などはPSMが介入する場合も有り、事故らない為のお守りみたいなモノですね。







⑤スポーツクロノパッケージ

日本仕様では只の“ダッシュボード上のお飾り”に過ぎませんが、本国仕様ではGPSに連動してサーキットでラップタイム計測が可能になっていた様です。

(987系のスポーツクロノと違って、981/982系のものは時計としても機能します)







日本仕様ではステアリングコラムに有るスイッチでスタート/ストップしてタイム計測する様になっています。

ちなみにこのスイッチはボードコンピューターの操作のスイッチでも有ります。







大事なのは、これを付けないと「SPORT」モード切り替えスイッチが付いて来ないと言う事です。

「SPORT」モードはECUの制御でスロットル制御で、より高いレスポンスを実現し、PASM付きの車両ではダンパーがHARD側に設定され、可変エキゾーストシステム装着車の場合はエキゾーストの経路が切り替わります。
AT車の場合はシフトプログラムもより高回転まで引っ張る仕様に変わります。

この「SPORT」モードが無いと、有る程度踏む/戻すしないとスロットルは動かず、敏感に反応しません。
安全と言えば安全ですが、とてもスポーツカーとは思えないネムイ感じになります。

「SPORT」に切替えた時のレスポンスは、俊敏なレスポンスに切替り、アクセルのミリ単位の操作に反応する様になります。

なので、“時計なんて要らないから「SPORT」モードだけ付けて欲しい!”と思いますが、残念ながら日本仕様ではセットでオプションなので付けざるを得ません。

ちなみに981/982系のGT4の場合、時計を付けても付けなくても「SPORT」モードが標準装備なので、何十万もする時計は要らないと言う人は付けない事も有る様です。

それでも987系のスポーツクロノと違って、981/982系のものは時計としても機能するので、まだマシですね。







⑥バイキセノンヘッドライト

これも当時オプションでしたが、スポーツカーに明るいヘッドライトは必須なので、大抵のクルマは付けていたオプションです。

光軸自動調整機能付きで、ブレーキングや加速で光軸がズレた場合に自動で補正してくれます。

ヘッドランプウォッシャーも付いていますが、これを使うと周囲に人やクルマが居ると飛び散りまくって大変なので、使った事が無いです。

これで20万円と言うのはどうなんだろう?と思いますが、HIDが欲しかったら選ばざるを得ないオプションです。

しかし新車価格800万円近いクルマで、総支払額は約1,000万円近いのに標準装備がハロゲンとか国産車では考えられない仕様でした。

ちなみにエアコンも標準はマニュアルでしたが、競技用でも無い限りマニュアルで買う人は居ないんじゃ無いかと思いました。







987ケイマン最大のウリ

しかし987ケイマンの最大のウリは、何と言ってもそのパッケージングそのものだと思います。

水平対向6気筒のエンジンを限りなく低い位置にセットし、その搭載位置は911の呪縛に囚われない理想的なミッドのポジション。

PORSCHEのヒエラルキーの呪縛でパワーは抑えられ、サスペンションも4輪ストラットだったとは言え、トランスバースリンク付きのアーム長の長いストラットサスペンションは、4輪Wウィッシュボーンでもレイアウト上の制約でアームが短いクルマより余程タイヤを理想的に接地させる事が可能でした。

重心位置が低い故に、SW20のMR2やロータスエリーゼ/エクシージ系の様にエンジンが振り子の様に作用してリアから回ってしまう現象とも無縁で、トラクション的に有利且つ重心位置も最適に近い事で、乗り易く破綻し難いのが身上です。

唯一、ミッドシップ故のシビアな限界特性は持っていますが、それも初代NSXなどと比べればとてもマイルドで、個人的にはPSMのお陰も有ってプロ並みのウデが無くても乗れるのが一番のウリでは無いかと思います。
(プロが乗ったら鬼に金棒ですが)
Posted at 2021/06/10 17:33:09 | コメント(1) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記
2021年06月08日 イイね!

987ケイマンSの事:その⑤

987ケイマンSの事:その⑤今回は987ケイマンに乗ってみて不満に思って改善した点について書こうと思います。











まず987ケイマンに乗って最初に不満だったのは右斜め後方の視界が絶望的に悪い事です。
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これはAUTBAHN製のワイドミラーを装着した状態ですが、ノーマルのミラーだとこの写真に写っている白い車は映らず、バイクがギリギリ見える程度です。

首を振って右斜め後方を見ようにも、助手席に人が乗っていると全く見えず、ノーマルミラーでは死角が大き過ぎて車線変更や合流などの場面で危ない目に遭う確率が非常に高いです。

AUTBAHN製のワイドミラーを装着して、死角を少なくすると共に、面倒でもリアウィンドウ越しに後方を確認すれば車線変更や合流は劇的に安全になります。

ルームミラーをワイドにすると言う手も有りますが、ミラーが大きくなっても窓の面積は変わらないので、個人的にはAUTBAHN製のワイドミラー+目視による後方確認にしています。







次いで気になったのが夜間のリアガラスの視界の悪さ。
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987ケイマンに限らず、ドイツ車は日本車の様なプライバシーガラスが許可されていない為、フィルムを貼っているケースが多いです。

つい先日購入したBMW X1 xLine xDrive 18dもプライバシーガラスが無いので、リアウィンドウ及びリアドア、クォーターウィンドウにはフィルムを貼っています。
ウチのケイマンも買った時には既にフィルムが貼られていました。

しかしケイマンのリアガラスはかなり角度が寝ていて、熱線式リアウィンドウデフォッガのお陰でどうしてもフィルムに凹凸が出来てしまうので、夜間に後続車のヘッドライトが当たると光が乱反射して非常に後方視界が悪化します。

特に雨の日は絶望的に後方視界が無くなるので、どうせ後ろに人が乗る訳でも無いのでフィルムを全て剥がしてもらいました。







続いてはシート。
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ノーマルシートは普通に乗っている分には何の不満も有りませんが、ショルダーサポートが全く無い上に、ヨーロッパ人の体格を基準にしているので、当然のことながらサーキット走行時には体がブンブン振られて、ドアとセンターコンソールに足を踏ん張って体を支えなければなりません。

当然Gが掛かった状態で正確な操作をする事は不可能です。
そこでウチのケイマンにはRECAROのRS-G(ASM-Limited)が装着されています。

PORSCHEの純正シートはRECARO製で、かなり低く搭載されており、フルバケのRS-Gを装着してもシート高はそれ程低くはなりませんが、サポート性は圧倒的に向上するので、サーキット走行での操作の正確性が上がり、疲労度が格段に下がります。

ちなみにPORSCHE純正でもオプションのスポーツシートはショルダーサポート付きですが50万円以上しますし、カーボンバケットシート(リクライニング有り)に至っては100万円以上するオプションです。







ちなみに外したノーマルシートは、邪魔なので脚を付けてデスクチェアにして使っています。
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が、今やゲーム用に買った24インチモニターと共に神様の在宅勤務用になっています…(泣)😭。







お次はCayman Club Japanの事務局に代々伝わる純正クイックシフト。
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ノーマルのシフトだと、フルバケットシート+4点フルハーネスの場合、5速に手が届きません。

結局体をズラして無理やり5速にシフトしなければならないのですが、FSWで5速に入るポイントはストレートのコントロールタワーの先のタイムが表示される辺りで、シフトアップ時は200km/hを超えています。

そのスピードでシフトアップで体がズレるとステアリングにも影響してラインがブレてしまいます。

しかしズラさないと今度は5速にシフトアップしようとして3速に入れてしまうと言うシフトミスに繋がってしまい、最悪エンジンブローの危険性も有ります。

クイックシフトにする事で、シフトストロークが大幅に短くなるので、フルバケットシート+4点フルハーネスでも全く問題無く5速にシフトアップ出来る様になります。







お次は機能には全く関係ありませんが、見た目が気になるフォグランプの色。
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これはLEDバルブに交換した後の状態ですが、ノーマルのハロゲンバルブだとHIDのヘッドライトに対して色味が違い過ぎてイマイチカッコ悪いです。







そうなるとリアのコンビランプも古く見えてしまうので、LEDに換えたくなります。
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と言う訳で、LEDテールランプにしています。
たったコレだけでも、古い車が多少は新しく見えるから不思議です。







ノーマルのケイマンだと、リアの内張を剥がして、バルクヘッドにボディを支える骨組みが通っており、そこにシートベルトを巻いて装着します。
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これはCayman Club Japan事務局長mizpeaさんから受け継いだ、特注のカーボン仕様のハーネスバーです。

シートベルト取り付け用のボルトを使って固定する様になっており、ボディ補強+4点式シートベルトの取り付けが可能になっています。







お次はこれも987乗りに代々伝わるIPDプレナム。
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最初は伝説のケイマン乗りであるANYOKiNGさんによって装着され、その後iicyan3に引き継がれ、iicyan3が987ケイマンを降りる際に譲って頂いた品です。

IPDプレナムにはノーマルスロットル対応の74φと、GT3のビッグスロットルとセットで交換する必要が有る82φが有り、ウチのケイマンに付いているのはノーマルスロットル対応の74φの方です。

987ケイマンSは、PORSCHEのヒエラルキーの縛りが有って出力を抑えるためにスロットル径が絞られており、且つインテークマニフォールドの形状も吸気抵抗が大きく、ノーマルだとかなり極低速トルクが細くなっています。

IPDプレナムを装着する事によって、ノーマルスロットル対応の74φでも極低速トルクは劇的に改善され、全域でトルクアップの効果が体感出来ます。

ピークパワーも若干上昇する様ですが、ウチのケイマンはECUがノーマルなので、多分良くて300PS位でそれ程向上していないのでは無いかと推測します。

82φ+GT3ビッグスロットル+ECUセッティングまで行えば、ノーマル295PSに対して325PS程度まで向上するそうです。




不満が有って後付けしたものの多くは、本当は最初から付けておいて欲しかったものが多いですが、PORSCHEは信じられない様な装備が標準では無い(標準ではヘッドライトがハロゲンだったり、エアコンもマニュアルだったりします)ので、それも戦略の一つなのかな?と思います。

実際BMWでもちょっと前までエアコンはマニュアルが標準だったり、ACCもオプション、電動リアゲートや電動パワーシートもオプションだったので、プレミアムカーはオプションで儲けるビジネスモデルなんですかね。
Posted at 2021/06/08 18:21:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記
2021年06月06日 イイね!

987ケイマンSの事:その④

987ケイマンSの事:その④今回は987ケイマンを購入するに至った経緯と、自分の感じた事について書こうと思います。













987ケイマンの発売当初のキャッチフレーズは「Instantry Porsche」でした。
"インスタント"と聞くと日本ではラーメンやカメラを彷彿とさせますが、いずれにしても「お手軽」と言うイメージが拭えず、正直「安かろう悪かろう」とか「チープ」な感じがします。

しかしこの「Instantry Porsche」と言うキャッチフレーズの真意はもちろんそう言ったものでは無く、「即ち(すなわち)ポルシェである」=「ポルシェ車としての真髄を持っている」と言う意味で「Instantry Porsche」としたのだと思います。







1997年当時、毎日深夜まで働く日々で、お金は貯まるものの使う時間が無くて、クルマでも買おうかと考えました。

「サーキットの狼」世代なので、真っ先に頭に浮かんだのがこのクルマでした。
当時発売されたばかりのロータスエリーゼS1です。

当時の輸入元だった「アトランティックカーズ」に連絡を取り、一度試乗させて貰いました。

1.8リッターで120PSのローバー製K型エンジンは、官能的でも無くごく普通の量産エンジンでしたが、そのボディーの軽さゆえに驚異的なトルク感に感じました。

アクセルを全く踏まなくても普通に発進出来、加速感も120PSしか無いとは思えない程でした。

ハンドリングはクルマと言うよりほぼゴーカート的で、クイック且つソリッドで、これまた目が点になりました。

もの凄い衝撃を受けて、早速注文を入れたのですが…
何の因果か当時の「アトランティックカーズ」が倒産し、当然予約もパァになりました…😭







それで発売になったばかりのトヨタのALTEZZAを衝動買いしました。
それなりに手を加えて乗っていましたが、そこでふと疑問に思いました

(当時乗っていたALTEZZA)

当時車両価格300万円弱で買って、イジるのに同じ位の金額を掛けましたが、「良く考えたらこれだけお金掛けたらもっと良いクルマ買えるんじゃ無いか?」と思う様になりました。







「一度はポルシェに乗ってみたいよな〜」と言う良く有る動機で987ケイマンSの中古車を探していた所、当時の「ポルシェセンター浜田山」に該当するクルマが有ると言うので行ってみました。

確かに希望通り「コバルトブルー」のケイマンSだったのですが、前のオーナーが余程ポマードベッタリ系だったのか、運転席のヘッドレストに染みが出来ていて、しかも喫煙車だった様で、これはパスしました。

その時、丁度素のケイマン(2.7リッター)の試乗車が有って、乗らせて貰いました。

黄色いケイマンでしたが、そのステアリング剛性の高さとブレーキの凄さに目が点になりました。(自動車評論家の福野礼一郎さんによれば、これでもステアリング剛性はそれ程高く無いのだそうです)

また987の前期型2.7リッターのエンジンは3.4リッターよりも音は良く、元気に回るエンジンで、それにも驚きました。

何よりも驚いたのは、恐ろしく運転し易かった事です。
それまで本格スポーツカーに乗った事はあまり無かったので、スポーツカー=運転し難いクルマと言うイメージでした。

ロータスヨーロッパやランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ328GTSなどは運転した事は有りませんがシートに座った事は有り、これは運転し難いな〜と思っていました。

ところが、987ケイマンはフロントウィンドウが若干縦に短いので信号に近づき過ぎると信号が見えなくなるのと、右斜め後方の視界が絶望的に悪いと言う2点を除いては、恐ろしく運転し易いクルマでした。







その後も何箇所かポルシェセンターを回りましたが、色が違ったり仕様が合わなかったり(6MTでPASM付き、スポクロ付き、HID、コバルトブルー、禁煙車)と縁が無かったのですが、ある日「ポルシェセンター浜田山」の担当さんから電話が有り、「ご希望のクルマが見つかりました!見に来られますか?」と言うので行ってみたのが今の愛車です。

(2010年に納車当時のウチのケイマンS)

今でも思いますが、兎に角PORSCHEは運転し易いのが身上で、930ターボでも964でも、997GT3でも991でも運転のし易さはやはり変わらなかったです。

今まで乗った事の有るどんなスポーツカーよりも乗り易く、それは981・982世代になっても、911のタイプ991でも変わりません。

どんなに良い車でも、乗り難いクルマはイジってもやっぱり乗り難いままなので、最初から乗り易いクルマと言うのはとても重要です。

自分にとってポルシェ車の一番大事な性能は、「運転がし易い」と言う事だと感じています。
Posted at 2021/06/06 20:03:28 | コメント(2) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記
2021年06月05日 イイね!

987ケイマンSの事:その③

987ケイマンSの事:その③前回は987ケイマンSの長所を書いたので、今度は987ケイマンSの弱点について書こうと思います。













まずは内装のクオリティの低さ。

プラスチックの質感の低さや、ダッシュボードのシボ付きのパッドの質感は国産小型車はおろか軽自動車をも凌ぐチープさです(笑)。

また当時の外車によく使われていたプロテイン塗装は5年も経つといわゆる加水分解でベタベタになり、最後は剥げてしまいます。

ウチのクルマは7年前にスイッチを塗装し直して、レーザー加工で「TEMP」などの文字も再加工してもらっています。







そしてこれもあるあるネタの、色のついた内装が剥げる現象。

プロテイン塗装で無くても水性塗料で塗ってあるので、良く触る部分や当たってしまう部分は塗装が剥げます。

これもウチのクルマは7年前に塗り直しを実施しています。







カラーの付いた内装も塗装の品質が低いのですぐ剥げますし、アルコールなどで拭いてしまうと見事に落ちてしまいます。

ステアリングのホーンパッドに前オーナーのボールペンの跡が残っていたので、アルコールで拭いたらご覧の通りです…(当然後でリペアしました)

ちなみに話は変わりますが、個人的にこのスポーツステアリングでは無いステアリングもお気に入りポイントの一つです。

空冷PORSCHEの930ターボや964、993系の911のステアリングは、スポーツカーらしく無いデカいホーンパッドの付いた4スポークのステアリングで、スーパーカーブーム真っ只中に少年だった自分のイメージは正にアレです。

なので、スポーツカーらしく無いこのステアリングがとても気に入っています。
ちなみに981以降のケイマン/Boxsterはそもそもスポーツステアリングだけになり、この様な形のステアリングは無くなってしまったので、とても貴重です。







そしてルーフライニングの垂れ下がり。

これはPORSCHEに限らずBMWなどのドイツ車では定番の現象です。
この年代のドイツ車のルーフは、ルーフライニングにスポンジが貼ってあり、その上からファブリックが貼ってある構造なのですが、経年劣化でスポンジがボロボロになり、ファブリックが垂れ下がって来るのです。







続いてはエンジン回り。

最初にトラブルが出たのはプラスチック製のプーリーがバラバラになって、ベルトが落ちてクランクプーリーに巻きついた事件。


これは購入して2年後の2012年に起こりました。
2007年式なので丁度5年目の出来事ですが、5年でプーリーが加水分解でバラバラになるという、国産車ならリコール確実の信じられない現象です。

どうやらこの辺りの年式のヨーロッパ車やアメ車に良く有る現象らしいです。
対策は車検のタイミングでプーリーに傷や亀裂が無いかどうか確認するほか有りません。

ウチのクルマはサーキット走行が多かった分、早めに来てしまった様です。







続いては、これもケイマン/ボクスター定番のダイレクトイグニッションのひび割れ。

これは987でも981や982でも起こる現象です。
これもプラスチックの品質が良く無い事と、水平対向エンジンの宿命でダイレクトイグニッションのすぐ横をエキゾーストパイプが通っている為、プラスチックが劣化してひび割れし、コイルから漏電して失火します。

ECUのログを見ると失火のエラーが出るのと、タイヤを外してコイルを抜いてみると分かるので、これも車検毎にチェックして貰った方が良いです。







続いてはこれも987系で定番の、パワステポンプ死亡。

981以降は電動パワステなので存在しませんが、987系は油圧パワステのため、エンジンにオイルポンプが付いていますが、これが大体5万km辺りを超えると壊れます。

ちなみにウチのケイマンは3万kmちょっとで壊れましたが、サーキット走行が多くてパワステポンプに負担が掛かっていたからかも知れません。

パワステポンプだけで無くステアリングラックのパワステオイル系統が壊れる事も有ります。

その場合、パワステポンプよりも遥かに部品代が高いです。
ちなみにパワステポンプはリビルドで6〜8万円、ステアリングラックは15〜20万円位します。

ちなみに同時期に良く壊れるものとして、ウォーターポンプも有ります。
これも大体5万km辺りを超えると壊れる事例が多いです。

またウチのクルマの場合、同時期にスターターモーターも御臨終になりました。







続いては、これは当たり外れの要素が大きいキャタライザー。

特徴としてはパーシャルスロットルで流している時に、いきなりエンジンチェックランプが点灯します。

ECUのエラーを調べると、片側のキャタライザーが機能低下している旨のメッセージが表示されます。

これはキャタライザーの問題の様なのですが、厄介なのは見た目や走行距離では分からないという点です。

私は当初、ラムダセンサー(O2センサーとCOセンサーなどの集合センサー)の不具合を疑って交換しましたが、完治しなかった為、中古のキャタライザーを入手して交換しました。

ちなみに新品だと両方で50万円位するので、万が一この現象が起きた時は中古のキャタライザーを入手する事をオススメします。

なお、987ケイマンはシャシーNoによってラムダセンサーや触媒が細かく違うので、中古品を購入する際は、出来ればシャシーNoを照合して正しい品番か確認した方が良いです。







続いては987に限らずPORSCHE車に定番のフューエルフィラーキャップのストラップ切れ。

PORSCHE車のフューエルフィラーキャップには、古いクルマは別として落下防止のストラップが付いていますが、これが経年劣化で切れます。

これは部品を取り寄せれば自分でも交換可能です。
ちなみに私はフューエルフィラーキャップ毎交換しました。

キャップという観点では、ケイマンの場合リアハッチを開けた所に冷却水のラジエターキャップがありますが、アレも経年劣化でヒビや割れが生じて水が噴出する場合が有ります。

車検時に確認してもらって、ヒビや割れがあったら交換する事をオススメします。







最後は特殊事例ながら、ツインリンクもてぎサーキットで、200km/hオーバーから減速中にシフトダウンの際にクラッチがバラバラになった事件。

200km/hオーバーでクラッチがバラバラになり、シフトチェンジ不能になって5速のままグラベルに一直線に落ちて、ブレーキのみでコンクリートウォールをギリギリで回避しました(汗)。

クラッチのダイアフラムが何らかの原因で折れて、それが他のダイアフラムを破壊してしまい、クラッチが斜めになって常時半クラッチ状態で固定されてしまいました。

ツインリンクもてぎサーキットから水戸まで、信号で止まる度にエンジン停止、信号が青になるタイミングでスターターで押し掛けしながら走りました。







後でクラッチを開けてみた所、ダイアフラムが1/4ほど無くなっていましたが、幸いフライホイールは無傷で、SACHSのOEMのクラッチプレート&カバー交換だけで済みました。

多分コレは自分が回転を合わせ損ねたせいだと思いますが、クラッチがヒューズの様な働きをして、エンジンに影響が出ない様に壊れたっぽいです。

ちなみに、定番の故障箇所としては、ハブベアリングも有ります。
ベアリング自体は911系と同じ様なのですが、足回りの構造の違いのせいなのか、何故か986/987ボクスターやケイマンのハブベアリングは壊れ易い様です

足回りからゴロゴロ言う様な異音が出たら、ハブベアリングを疑った方が良いかも知れません。







という訳で、今回は987ケイマンのウィークポイントでした。

987もクラッシックの領域に入ってきている為、部品代が高騰してきている様なので、マメにメンテナンスした方が良さそうです。
Posted at 2021/06/05 18:33:40 | コメント(1) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記
2021年06月04日 イイね!

987ケイマンSの事:その②

987ケイマンSの事:その②今日は987ケイマンSについてその②です。












987ケイマンの良い所は、スタイリング的にも、シャシー性能的にも偶然に生まれたものだと思います。

個人的には斜め後方から見たスタイリングが一番気に入っています。

987の特徴的なリアゲートは、平面ではなくハッチとガラスが少し角度がついています。
そしてルーフラインから繋がるラインよりハッチは少し低いので、ルーフライン側にエッジが立っているのですが、そこがとても綺麗です。

987Boxsterを元にリアハッチとルーフを追加した際に、偶然に近い感じでこうなったのでは無いかと思います。

981以降のケイマンはリアハッチとガラスは平面で、987よりリアフェンダー部分にエッジが立っており、ルーフラインとハッチがシームレスにつながっています。

デザイン的な洗練度は明らかに981/982系に軍配が上がりますが、偶然出来た個々の部分に光るものが有るのが987ケイマンです。







987ケイマンの真骨頂はその俊敏性です。

高速サーキットでは決して速い車では有りませんが、ミニサーキットや峠での敏捷性は明らかに981/982ケイマンを上回ります。

しかしノーマルの987ケイマンのサスペンションには大きな問題が有ります。
それはフロントのネガティブキャンバー角が殆ど付けられないと言う事です。

車高調に変えても、リアは2度ほど付けられますが、フロントはアッパーマウントの調整範囲では0.5度程度しかネガティブキャンバー角が付けられません。

ほぼ直立した状態なので、コーナリングでクルマが傾くと、タイヤの接地面積が小さくなります。

その結果、接地性が高く幅の広いリアタイヤに比べて細いフロントタイヤは当然リアに押されて流れ出します。

つまりノーマルではアンダーステア傾向になってしまいます。
残念ながらこれは車高調に変えても改善しません。

車高調だと足が硬くなり、車高が下がるので少しマシにはなりますが、アンダー傾向と言うクセはそのまま残ります。

メーカー製のクルマとしては、安全を考えると当然のセッティングなのですが、PORSCHEでも911のGT系などはかなりネガティブキャンバーが付いており、キャスター角も大きくなっています。

つまり911のGT系はコーナリングフォースが大きくなる様にセッティングされています。







実は、997系の911GT3のフロントロアアームは調整式になっており、形状は987系と全く同じです。

という事で、私の987ケイマンには997GT3系のフロントロアアームが移植されています。

これでフロントはネガティブキャンバー角が2度ちょっと付き、リアとのバランスが大きく改善されました。

しかし、問題も有って、ネガティブキャンバー角を付けるとキャスター角もどんどん付いてしまって倒れ過ぎになります。
するとちょっとした事でハンドルが取られやすくなります。

なので、少しトーアウトにセッティングする事で、この問題を解消しています。

このフロントロアアームの変更と車高調の組み合わせで、足回りはほぼ理想的になりました。(あくまでも95%は一般道、5%サーキットと言う自分の使い方での場合です)

加えて、機械式リアLSDを装着する事により、トラクションも向上し、タイトコーナーや左右でμが異なる様なシチュエーションでも安定した駆動力を確保できました。







とは言え、基本的な特性は大きく変わっていないので、987ケイマンの俊敏性は天性のものだと思います。

この敏捷さは986Boxster〜987ケイマンまでは有るのですが、ホイールベースが伸びてフロントトレッドが広がった981以降のBoxster/ケイマンには無くなってしまいました。

私が987ケイマンから乗り換える気にならないのは、この部分が非常に大きいです。
Posted at 2021/06/04 20:01:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | Cayman S | 日記

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