続々とベストカーオブザイヤーの選考が公開される中、ようやく当方も公開する運びとなりました。
当初、小型FRスポーツの復活として、86・BRZを取り上げようと思っておりましたが、小型FRスポーツの誕生を祝福する一方、あまりにもスピード狂に合わせすぎたクルマ作りや、メディアやユーザー達の取り扱い方に、何気なく違和感を感じていたのでした・・・。
そんな矢先に、ふもふもさくやさんのワーストカー選考において、まさに目から鱗が落ちるような思いで、その違和感を実感するに至ったのです。
当方としては、当初から脱スピード至上主義を提唱し、その一貫として身体機能に最も近いレイアウトとして、FRの良さを幾度に渡り説明してきました。
それを背景に、改めてベスト5選を紹介しようと思います。
【第1位】 BMW 3シリーズ
(画像)BMW 320dブルーパフォーマンス 2.0DT Mスポーツ 8速AT FR (514.0) 8.42(1550kg/184馬力)



デビュー当初、8速ATの煩雑さや直6エンジンの選択肢の減少・ボディサイズの拡大などで酷評することも多かった3シリーズですが、やはり小型FRスポーツセダンとしては外せない主力車種であるだけに期待値も大きく、強く愛するが故の苦言、即ち愛の鞭なのです。
それでもガソリン4発ターボのATのみの設定ならば、おそらく1位に選考することはなかったでしょう。
今回1位に選考する決め手となったのは、ブルーパフォーマンスなる新世代クリーンディーゼルエンジンとMスポーツサスペンション・スポーツATとのマッチングが絶妙で、走りの楽しさと低燃費とを高次元で両立させることに成功し、ガソリン320iのみに設定されている6速MTの必要性を感じさせないくらいだったから、なのです。
身体感覚に最も近いレイアウトとしてFRの良さを提唱しているのですが、その意味で言えば動質として非常に素晴らしいものがあり、ゆっくり流す走りも積極的にアクセルを踏み込んで走らせる楽しさとを兼ねており、それが結果として長く乗っても飽きずに長く付き合える要因である、と確信したからです。
確かに、純粋なシルキー6と言えるNA直6エンジンが廃止されたのは惜しまれるところですが、これまでの痛快な速さで「駆け抜ける悦び」を表現していた代わりに、低燃費でトルクフルなディーゼルエンジンによって、これまでとは違った穏やかな「駆け抜ける悦び」を打ち出したことは、新たなるBMWの伝説を作り上げた、と言っては過言でしょうか?
【第2位】 いすゞ コモ
(画像)日産 NV350キャラバン ロングボディ 標準ルーフ 2.5DT DX 低床 3/6人乗り 5速AT FR (266.3) 14.81(1910kg/129馬力)



画像が日産での代用となったのが惜しまれるところです。;;
3県4事務所のいすゞへ問い合わせしたのですが、デモカーの存在を見つけることが出来ず、NV350キャラバンと中身は全く同じであると解釈して、今回の選考となったのです。
では、何故コモか?なのですが、いすゞOEMだからという希少性もあるのですが、いすゞ版ではフルホイールキャップが省略され、鉄ホイール剥き出しとなり、それは最高額なプレミアムLGも例外ではなく、本家キャラバン以上にスパルタンな出で立ちとなったから。
そして、随所にキャラバンとの違いが明確で、本来日産マークが打刻される部分が加工前のままであるなど存在し、レア物件として自慢できる要素でもある、という理由からです。
そこでクルマ本体の魅力について説明すると、ハイエースと比べてどう?と言われると色々長点弱点はあり一概に言い辛いところですが、少なくとも今時の乗用車のように、軽量化低燃費と引き換えに華奢な設計になっているのとは反対に、頑丈な独立フレームの上に成り立ったボディ形態で、実際の乗り味もクルマからの情報量が豊富で動作一つ一つがゆっくりであり、クルマの操作を正確に行いやすい操縦性の持ち主であるのです。
しかも、新型になって5速ATになったのですが、ATの制御が巧みに進化してMT感覚でも違和感なく十分にスピード管理しやすいもので、あえてMTでなくても・・・と思わせるものです。
絶対的な速さは別として、運転が上手くなれるスポーツカーとして、むしろ86・BRZよりも素性がいいと思いませんか?
【第3位】 VW アップ
(画像)VW アップ 1.0 4ドア ハイアップ! 5速ASG FF (183.0) 12.27(920kg/75馬力)



FRこそベストと信じる当方も、スペース効率を徹底的に求めてストイックに実用車としてパッケージングされたFF車に対しては、非常に大きな敬意を示すところです。
その意味で、アップは3気筒エンジン専用設計とすることでエンジンルームを極限まで縮小し、バルクヘッドも限りなく前方にすることで、日本の軽自動車に毛が生えた程度の外寸でありながら、一クラス上の室内居住空間を確保しているのです。
それだけならば、オースチンミニや初代フィアットパンダといった過去の名車と変わりないのですが、そこは最新設計の車種だけあって、シート骨格やボディ剛性のレベルは上級のゴルフやポロに迫るものであるし、エンジンだって実測でリッター25~30kmを記録する低燃費であり、これらも最新の安全装備を当然のように装着した上でのことなのです。
しかも、そこには走りを我慢するという日本製エコカーのようなことはなく、シングルクラッチASGの癖はそれなりにあるけれど、低速からしっかりとトルクを発生させるエンジンで、カタログスペックとは裏腹の軽快な走りをします。
エコカーって、我慢して乗るクルマではない、と当方は強く思うのですが、いかがでしょうか?
【第4位】 三菱 プラウディア/ディグニティ
(画像)三菱 プラウディア 370VIP 7速AT FR (555.3) 5.29(1760kg/333馬力)



日産フーガのOEMと言えば面白くないですが、1987年10月にランサーEXが生産終了して以来24年9ヶ月振りの三菱FRセダンとして復活した!プラウディアです。
かつてのランタボがジャジャ馬のFRスポーツセダンだっただけに、今度のフーガ・・・ならぬプラウディアは、劇的に速く快適になった、プレミアムなFRスポーツセダンです!
と言っても、元々スポーツセダンとして売り出したのではなくて、あくまでも三菱グループ役員用に準備したショーファー仕様なのですが、それにしては後席が・・・という問題はあるにせよ、フーガにはない希少性と、ハイブリッド仕様にはないエンジンを回して楽しむ領域が多いことが、スポーツするFRとして大きく評価できるところです。
更に、欧州車ではダウンサイジングと称して、高級サルーンにまで直4ターボエンジンを搭載する時代になっていますが、ただ単に時代遅れであるとしても、今もマルチシリンダーエンジンを使い続けることで、エモーショナルなエンジンの愉しみを残す上で、非常に重要ではないか?と思うのです。
そこが、純実用車であるVWゴルフと、高級サルーンとの抜本的な違いです。
【第5位】 マツダ フレアワゴン
(画像) マツダ フレアワゴン 0.66 ISリミテッド CVT FF (125.5) 17.41(940kg/54馬力)



実は、マツダのフレアワゴン。来月には新型にFMCされて現行型はわずか半年のモデルライフで、来年のカーオブザイヤーでもノミネートされるという、ギネス級の価値?を持っているのです。
なので現行型は、わずか半年しか生産されなかったレアもの物件になること、間違いなしです。
というもの珍しさだけで評価するわけではなく、クルマとしての魅力もしっかりとあるからが故です。
速さこそ正義と信じてきたクルマエンスーとして、ある意味カルチャーショックを受けた1台でもあるのです。
というのが、先月日産のルークスの同仕様(NA)に乗った時に、勾配のきついコースで悲劇的な非力さであったにも関わらず、クルマを操る楽しさが十分にあって、非力なりにクルマを楽しめる自分に悦になった?くらいだったのです。
と言えるのも、基本的な操縦性がしっかりと設計されているからであり、ステアリング系統やサスペンション系統を、しっかりと安定させることを最優先にして設計された1台である、と認識したからなのです。
それに、ライバルNボックスよりも軽いこと、ワゴンRよりもシンプルなメカでクルマと対話しやすいこと、が起因しているのです。
もう1点、フレアワゴンの場合カスタム仕様がないので、クルマ全体のイメージとして上品になって、本家スズキや日産よりも、イメージアップしているのです。
と選考は以上なのですが、いかがでしょうか?
Cセグメント級は、欧州車との比較がどうしても入るので、フォレスター・アウトランダーなどは苦戦しました。
3気筒1.2に乗って、プジョー208本来の素性を見たのですが、クルマとしての完成度で要熟成でした。
スカイアクティブのマツダ勢は、3シリーズと比較すると隔たりは大きく、ハンドリングの味わいでも、まだまだ旧世代マツダ車を越えるものではありませんでした。
世間的には、86・BRZで盛り上がって間違いないでしょう。
ただ、来年の新型車がまた減るような傾向で、来年中に小型FRスポーツの対抗馬が出る気配はなさそうです・・・。
その中で期待が大きいのは、クラウンであり、レクサスISかな?と思ってます。
BMWは、2ドアの4シリーズでしょうが・・・。
FFだったら、ボルボV40・フォードフォーカス・VWゴルフ、たちはち1月にメルセデスAクラスですね。^^