今日の五選
6・29

6・26

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’95 マツダ アンフィニMPV 3.0 タイプR FR 4速AT


① 成り立ち
80年代に、世界に先駆けてミニバンのジャンルを築き上げて、今や定番商品となった、クライスラー・ボイジャーを、日本のマツダ流に解釈し、正に正統派ミニバンと呼べる1台が、初代MPVです。
1990年に発売開始され、当時のマツダの5チャンネル化に翻弄され、一時アンフィニブランドになるものの、再びマツダブランドに戻る経緯を経て、1999年に2代目に引き継がれるまで君臨していました。
今回乗った車両は、アンフィニブランド時代のものでエンジンはV6の3L・OHC。
グレードは、セカンドセパレートシートが初採用されて、ルーフレールやルーフスポイラーが装着されたタイプRの他、同じくセパレートシートながらスポイラーやアルミホイールが省略されたタイプBツーリング、そして前モデルから継続のセカンドシートが右寄りベンチシート(これだと端の席にしか3点式シートベルトが装着されない・・・)のタイプBの3グレード構成でした。
1995年当時は、ホンダのオデッセイのヒットを受けて、直4・2.5Lエンジン搭載のタイプCシリーズも別に用意されていました。
そして、この年1995年の秋には、4駆・ディーゼルもラインアップされ、外観を大きく変更するビックMCが行われたのですが、確かに4駆の魅力などはあるものの、従来モデルに比べて所帯じみた佇まいになってしまったな、という印象があります。
その意味で、今回乗った仕様は、最もMPVらしくて安全装備がある程度揃ったもの、と言えます。
② 運転環境
正に、ミニバンの王道を行く、脚を直角に曲げて、上体を起こした姿勢で座ることを前提に設計された運転環境です。
その意味では、初代エスティマも初代オデッセイも素晴らしいけど、このMPVを前にすると、まだまだセダンの感覚が残ってるな、と思うほどです。
そこに、本場アメ車のように、柔らかくてコシのある、ゆったりしたシートの出来で、シートの調節機能はスライドとリクライニングのみのシンプルな構造で、十分に満足できる環境にあると言えます。
ただ、大方のユーザーはそう考えず、セダン感覚で違和感ありと評価してしまい、後のモデルのようなメーター・ステアリングコラムが低くて、寝そべった姿勢が前提な設計へと変わってしまったのですが…。
③ パッケージング
初代MVP発売当初は、セカンドシートが右寄りベンチシートで、左側の席が2点式シートベルトになってましたが、この仕様になって2列目セパレートになって、左右どちらも3点式シートベルトが装着されるようになり、前席に見劣りしない居住環境に仕上がっている部分が、非常に評価できる部分です。
ただ、さすがに3列目はゆったりとはいかないものの、今時の日本製ミニバンで、果たしてこれを上回るクルマが果たしてあるか否か、と思うと、いかに日本のミニバンの安全性への配慮が行き渡りきれてないか、が垣間見える現状です。
④ パワートレイン
昨今のエコカーブームで大排気量車が嫌われる傾向にあるのですが、多人数乗用車にこそ、余裕のトルクが必要で、ある程度の排気量が必要なのです。
その意味では、V6・3L・OHCは下からトルクが太く、多人数乗車時での燃費面やドライバーの疲労軽減の意味で、無駄ではなくて必要な大排気量と言えるのです。(それでも、高級サルーンのことを思うとカツカツな動力性能なのですが…。)
さらに、このMPVの素晴らしいところは、一人で乗っててもドライビングが楽しくて、乗りがい味わいがいがあるのです。
具体的に、パワートレイン面で言えば、カタログ数値の馬力に惑わされず、低速トルク重視のエンジン特性にしたことで、オートマの変速制御が気にならずに、落ち着いて乗れる乗り味に仕上がっている、ということなのです。
⑤ ハンドリング
ミニバンに、いわゆるスポーツカーの価値観を持ち込めば、ロールが大きくて単に鈍臭いクルマにしか映らないでしょう。
そんな大方のユーザーによって、今のミニバンが形成されているのですから…。
それとは反対に、ミニバン本来のハンドリングのあり方に注目すれば、このMPVの特性の方が安心して長距離ドライブに対応でき、結果的に充実したドライビングになるのです。
今回乗った仕様には、ツーリングサスペンションが標準装備され、初期型の本皮仕様に比べると、本場北米臭が薄いかもしれないですが、日本の高速道路や峠道を考慮すれば、この脚の方が合ってるかも…と思いますね。
⑥ 判定
:文化遺産
今のMPVも、例えばの話トヨタ製に比べたら、相当真っ当なミニバンですよ。
確かに、快適便利で見た目華やかだけど、NAのMC前後に乗った印象からすると、無味無臭で華がない乗り味に感じてしまうのですね。
その点、この初代だと本場北米のカントリーライフが見えてくるのです。
そして、味のみに留まらず、ミニバン本来のあり方そのものでもあったのです。
その部分を理解しようとせず、中途半端にスポーティーにしたことで、結果的に所帯じみたつまらないミニバンにしてしまったことを、できるだけ多くの人たちに気付いてもらいたい、そんな思いでこのクルマと接した気がします。
そして、当方としては、運転環境面で社外シートに頼る必要がないことからして、同じマツダ車でもRX-7やロードスターよりも、スポーツカーである、と断言いたします。
2010年01月13日 加筆訂正あり
マツダ MPV 23S ユーティリティパッケージ FF 5速AT (282.6)



初代の和製アメリカン味からすると、ありきたりで面白みが欠けた現行3代目MPVですが、国内市場専用でデコレーション過多になったアルファード・エルグランドからすると、ミニバンらしい背もたれを起こした姿勢をとりやすい運転環境で、価格も150万円程安く、非常にお買い得感に満ちたLサイズミニバンとして、今も健在です。
CX-5の電動PSにフィールが・・・とか、内外装のコストダウンが…とかが気になって、スカイアクティブの技術の高さは理解できるけど…という方には、むしろ2000年代の旧世代マツダ車は一押しです。
CX-5のディーゼルの低速からトルクフルな余裕の走りからすると、2.3Lガソリンエンジンを搭載するMPVではパワー・トルク共に不足気味で、上り坂ではMTモードを駆使する必要があるのですが、基本的なパワートレインの仕上がりぶりはさすがで、スピードコントロール性に優れたものです。
モデル末期で新車購入するには勇気がいるところでしょうが、アルファード・エスティマの中古車探してて、予算と程度と年式が合わない非エンスーな方々には、是非とも候補に入れて欲しいMPVに思いました・・・。
Posted at 2012/06/29 17:47:50 | |
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