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2025年07月17日

DUCATI SSの整備【72】走りを楽しむための整備(改題しました)

SSは随分調子が上がって、そろそろ整備は一巡に近づいてきた感があります。
残すは水平側バンク周辺からのオイル漏れと、クラッチの点検くらいでしょうか。

そこで総集編というほどでもありませんが、振り返って、
安全に楽しく乗るための必須整備項目をリスト化してみましょう。


①タイヤ空気圧の適正化。減ったタイヤの交換
→基本はメーカー指定の空気圧。磨り減って本来のプロファイル(断面形状)を失っている場合は残りの山があっても交換がお勧め。フロントダブルディスク車両はL字エアバルブに交換がお勧め。

②操作系可動部の整備・給油脂と位置・角度合わせ
→運転に集中するためにも、レバー、ペダル、スロットルグリップ/ケーブル、ハンドルスイッチ等操作部分はガタなく軽く作動し、操作しやすいことが重要。
分解清掃して、支点の穴と軸を磨いてグリスを塗り、適正トルクで締め付け。
スロットルグリップはホルダー内部のバリや、グリップと擦れ合うハンドルバーの表面の荒れやメーカー刻印による盛り上がりを修正し、磨いておくと動きが滑らかになります。
直接操縦性には関係ないが、使用頻度の高いウインカースイッチの動きが悪いのは非常にストレスになるので、面倒でも分解して必要な手入れをしておきたい。

③灯火系の点検整備、確実な作動確保
→特にブレーキランプは点灯しないと非常に危険。油圧スイッチより機械式スイッチがお勧め。
 ヘッドランプやブレーキ/テールランプはLEDバルブに交換すると、消費電力や発熱量を削減(反射板焼けやレンズ溶け対策)できるのでお勧め。

④前後ブレーキ、クラッチ液圧回路の正しい整備、徹底したエア抜き
→走行以前の問題として、当方車両の場合まるでブレーキが効かず、フルード交換含め長く手入れをされた形跡もなかったことに驚きました。
 キャリパー清掃潤滑、ピストン揉み出しをしても作動やタッチが悪い場合はオーバーホール必須。
ブレンボ異径4ポットの場合は国産メーカーからもキャリパーシールが供給されています。
 マスターシリンダーやリヤキャリパーはオーバーホールより新品交換がお勧め。
 エア抜きは一度で完全な状態は難しいので、折を見て納得行くまで行なう。

⑤ステアリングステムベアリングの整備=セルフステアの回復
→新車時のベアリングにグリスは最小限しか塗られていません。
 整備履歴がなければ、できるだけ早く分解してレースに打痕があれば迷わず交換。
 継続利用可能ならたっぷりグリスを詰め込んで、ガタがないギリギリに動きやすく締めなおすのが最善と思います。

⑥フロントフォークの組み付け適正化・平行出し・内圧復元=作動性適正化
→ステアリングステムを組みなおしたら、フロントフォークも正しく組み付けましょう。
 アッパーブラケットからの突き出し量はノギス等で測って可能な限り左右揃えます。
 アンダーブラケットの締め付けトルクはメーカー規定値で。締め過ぎは禁物。
 アクスルを締め付けた後、クランプを弛めてフォークを数回ストロークさせ、規定トルクでクランプを締めなおします。
 月に一度程度、伸びきり状態でフォークキャップを弛めて内圧を大気圧にあわせます。


⑦スイングアームピボットの整備、給脂=走行性能回復、耐久性確保
→ドゥカティの場合、雨ざらしにされていることは少ないと思いますが、スイングアームピボットを分解清掃し点検、給脂。
 スラスト方向のクリアランスをシックネスゲージで測定し、必要ならシムを入れて調整。

⑧ドライブチェーンの清掃、張り適正化=リヤサスペンション作動の適正化
→錆だらけや固着のあるチェーン、磨り減ったスプロケットは交換。
 900SSの場合、後輪側スプロケットは39~40Tのものに交換がお勧め。
 薄く灯油を染ませたウェスで丁寧に拭き掃除し、チェーンルブは回転内側から給油しふき取る。
 大半のバイクはチェーンを張り過ぎている様子。

⑨リヤショック上下エンドアイの整備=乗り心地改善とリヤタイヤ存在感アップ
→この部分も新車時ほとんどグリスは塗られていないようです。
 一度ショックユニットを取り外し、エンドアイのスフェリカルベアリング(ピローボール)を洗浄し、たっぷりグリスアップして、指定トルクでエンドアイボルトを締め付けます。

⑩燃料系・キャブレターの清掃、点検、整備
→エンジン始動性、低速での扱いやすさ、高速域までスムーズに吹け上がること
 キャブレター分解の際はリペアセットを用意してから行い、へたっているパッキン類やテーパー面に爪で触ってわかる接触痕や段差があるチェックバルブは交換。
 調整では特に適正フロート高およびバタフライバルブ同調は重要。
 アイドルアジャストスクリューはミクニTMR用のケーブル式に交換がお勧め(必須と思う)。

*************************************

●ドゥカティの場合、きびきびとしたレースバイク的反応が大きな魅力なので、
不調になってからや故障してから整備をするのでなく、
いちど各部を良い状態に整えてバランスさせて本来の状態を取り戻し、その上で調整で自分の好みやパフォーマンスの最適化に合わせていくのがお勧め。

足回り含めた車体、給排気系含めたエンジン、乗車姿勢や操作系といった要素は互いに影響しあっていて、どこかを変更すればバランスを取り直す必要があり、
良くも悪くもパフォーマンスにおいては相乗効果があるので、好循環のサイクルを回したいところ。
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Posted at 2025/07/20 01:14:26

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この記事へのコメント

2025年7月26日 8:01
お疲れ様です。
これ全部ショップさんに任せたら幾ら掛かるのでしょうか。。。

テフロン、もう少しで到着かと思います。。。
コメントへの返答
2025年7月26日 21:53
こんにちは。お気遣いありがとうございます。

店によっては車検整備や基本点検メニューに入れているところもあると思います。
コンディションをチェックした上で優先順位を決めて行うことも可能と思います。

昔から、レース車両のように「新車の慣らしが済んだら分解して組み直すのが最良」といわれていて、実行に移すオーナーもいるそうです。
なるほど走行距離の少ない段階で、見えない部分にこそ費用や手間暇を掛けて、機械としてあるべき状態に整えれば、長く良いコンディションで楽しめるのは尤もだ、と整備を楽しむ中で確信するようになりました。

いい状態で定期的に給油脂・調整をして走らせていれば、消耗品以外に部品代は殆ど掛からないので、一旦は費用が掛かっても一度きちんとした状態に仕上げることが重要と思います。

ユーザー側としては、雨ざらしにしないことと、乗った後は一通り掃除(水洗いでなく、絞った雑巾や灯油での拭き掃除)をすることを心がければ、水分混入による潤滑不良や発錆を防ぐことができ、かつ早目に異変に気付くことができると思います。

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「@パパンダ どこへ渡りたいのかが気になりますね(笑)」
何シテル?   08/16 12:08
灸太郎くん(キュウタロクン)です。 職業・思想・信条・立場など違えど 共通の話題で交流できるのは良いですね。 記述は残ることを意識しています。 ...
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