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今日は梅雨の止み間、結構蒸し暑くなりました。
少し風があったのがせめてもの救いでした。
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【コメント欄、「やーまちゃん」さんによる状況解説をぜひ併せてお読みください】
大荒れのレースとなった、
バクー特設市街地コースでのアゼルバイジャンGP。
特に物議を醸したのが、セーフティカー解除時の
トップ二台、ハミルトンとベッテルの走り、
◆「ハミルトンにわざとぶつけたのではないか?」
◆「ベッテルに対しブレーキテストをしたか?」という疑惑です。
こちらで動画が見られます。
https://www.formula1.com/en/video/2017/6/Race__Vettel_and_Hamilton_collide_under_the_safety_car.html
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まずは(話題の中心の)ベッテルの疑惑。
設置カメラの正面からの映像では、ハミルトンの横に並びかけたベッテルが
進路を変更してハミルトン車に軽く当てたようにも見えました。
しかし車載カメラからの映像では、
ベッテルが「当てるために」舵を切るアクションを起こしたようには見えませんでした。
当方の見解では、
①怒りにかられたベッテルがハミルトンに並んだ際、二台が並行でなく、
進路が右に向いていることに気付いていなかった可能性がある。
②左手を挙げ、ハミルトンに抗議(と共にカメラに向けハミルトンの直前の行為をアピール)するのに気をとられ過ぎ、右手にも力が入ってわずかに舵が切れたのではないか。
(フォーミュラカーは乗用車と比べ、わずかなハンドル舵角で大きく反応する)
③当たった際のベッテルは、衝突を予期していたようには見えなかった。
以上の状況から察するに、
ベッテルは当てるつもりはなかったのではないか、と考えました。
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一方のハミルトンの疑惑。
メルセデスチームによれば、
「ハミルトンがコーナー出口ブレーキを踏んでいない」証拠データを提出したとのこと。
http://ja.espnf1.com/mercedes/motorsport/story/236953.html
では、「ブレーキを踏んでいない=減速していない」なのか?
現行車両規定でのF1は、回生ブレーキを使用しているため、
スロットル(アクセル)ペダルを戻しただけで強力に減速します。
(ドライバーによっては通常のブレーキの使用に違和感を生じるほど)
減速していなかったとしても、追突直前の映像では、
通常加速すべきコーナー出口で、少なくとも加速してはいなかったように見えました。
メルセデスチーム曰く「セーフティカーは150m前にいた」とのことで、
追いついてしまう恐れがあった、とのことですが、この区間であえて加速しなかったのは、
後ろがかなり詰まっている状況で無理があったようにも感じました。
また、「それ以前の周回と変わらない操作をしていた」とのことですが、
カーブを抜けたところでは生理的に加速してしまうので、
逆にハミルトンは加速に移るタイミングを、
許容範囲と思われる中で、意識してわずかに遅らせたのではないか?
というのが当方の考えたところです。
理由は、
◆「この時点ではなく、レース再開時(ピットレーン入口通過時)のセーフティカーとの距離を保つ」
◆「レース再開時、車間を開けて速度を乗せてくる可能性がある後続車を牽制する」
の二点です。
それにより、今回のように追突されるリスクはあり、
後続の車間がかなり詰まっていたことはハミルトンには誤算だったように思います。
言い換えれば、セーフティカーが遅すぎた、ということにもなります。
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昨2016年のチャンピオン争いで、速さではほぼ互角のニコとルイス、
一番の違いは「接戦でどこまできわどい走りを「自然に」できるか」だったように、
ハミルトンの走りは反則を取られない程度の”毒”を自然に含んでいるように思います。
過去4度の王座はチームメイト同士のバトルか、独走での戴冠だったベッテル。
レース中の無線が話題となるように、
普段は冷静ながら、時として激しやすい性格は、
シーズン終盤でのタイトル争いを分けることになるかもしれません。
◇ ◇ ◇
ここで思い出されるのが、2007年シーズン、
豪雨の中での富士での日本GPです。
アロンソのクラッシュによりセーフティカーが入り、
①ハミルトン②ウェバー③ベッテルの順位で走行中、
ハミルトンが減速したため、ウェバーにベッテルが激しく追突!
ウェバーとベッテルはその場でリタイヤとなったことをご記憶でしょうか?
ハミルトンとベッテルはどちらもデビューシーズン、
片や新人ながらポイントリーダー、
片や当時最年少ながら速さを見せつける驚異の新人同士で、
この件の後、セーフティカー走行中に先頭車両は極端なペースの上げ下げをしないよう
通達がされました。
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当方はこの二人による今回の件、ジャック ビルヌーブがコメントしたように、
https://f1-gate.com/villeneuve/f1_37308.html
明らかに速度の出ていない状況での感情的な場面は大きな見せ場であった、
と解釈したいと思います。
<追記>
最終的なFIAによる裁定はこちら。
https://jp.motorsport.com/f1/news/f1-ベッテルの-体当たり-事件に対するfiaの再調査についての声明全文-926346/?tp%5B0%5D=23&s=1