2023年05月04日
ガソリン直噴エンジンは「リーンバーン」から「ストイキ」へ
GWですので技術的なブログを…。
テーマは「ガソリンエンジンの直噴」です。
直噴のメリットは?
1.燃料の気化熱で筒内温度を下がるのでノッキングが抑えられる
2.ノッキングを抑えられるので高圧縮化できる→パワーアップ
3.直接燃料噴射するので燃焼を制御できる→燃費向上
直噴のメリットは大きいです。
しかし…デメリットもあります。
直噴のデメリットは
1.インジェクターや各パーツのコストがかかる
2.ススやカーボンが発生してNOxが増加する
3.排ガス性能が悪化
4.カーボンがエンジンを汚す
デメリットを見ると、恒常的に性能をキープできないような。
排気ガスが汚いのも困ります。
では、直噴の歴史を見てみましょう。
世界初の量産直噴エンジンは、1996年三菱からGDI(Gasoline Direct Injection)として登場。
GDIは希薄燃焼(リーンバーン)の直噴エンジンでした。
ピストンに空気を多めに入れて、ガソリンはプラグ近くに直接噴射。
ピストン全体は空気が多い状態ですが、プラグ近くだけ燃焼できる濃度になっています。
三菱はGDIで「燃料消費が-35%」と宣伝していました。
この時期、他メーカーも希薄燃焼(リーンバーン)直噴エンジンを発売します。
トヨタD-4、日産NEO Di、ホンダi-VTEC
しかし希薄燃焼(リーンバーン)直噴エンジンは以下の問題が発生しました。
1.耐久性
インジェクターにカーボンが付着して正常な噴射が不可。
ススが多く発生してエンジン不調。
2.排気ガス規制強化に対応不可
排気ガスを浄化する三元触媒は、排気ガス中の窒素酸化物NOxを浄化可能な空燃比があります。
希薄燃焼(リーンバーン)直噴の空燃比は、三元触媒では浄化できない空燃比。
窒素酸化物NOxを浄化不可。
上記は大きなデメリットでした。
2007年にGDIは終了。
トヨタD-4、日産NEO Di、ホンダi-VTECも終わりjました。
希薄燃焼(リーンバーン)直噴エンジンは市場から消えました。
しかし、直噴エンジンは復活します。
理論空燃比(ストイキ)直噴です。
1.希薄燃焼(リーンバーン)で多く発生したススがほぼ発生しない。
2.三元触媒で浄化できる空燃比なので三元触媒で対応可。
この特性によって以下のメリットがクローズアップしました。
1.ノッキングを抑えられるので高圧縮化できる→理論熱効率を向上
2.燃料の気化熱で筒内温度を下がるのでノッキングが抑えられる→ダウンサイズターボが可能に
一気に直噴エンジンは増えました。
ただ、以下のデメリットがあります。
1.PM2.5(粒子状物質)の排出量
ポート噴射エンジンより5~10倍以上多い
2.インジェクターが汚れやすい
完全に燃焼できなかったカーボン等がインジェクターに付着します。
色々とあった直噴エンジンは、技術革新もあってたくさんのメーカーから発売されています。
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Posted at
2023/05/04 19:07:15
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