
先日、ウチの地区を管轄している、消防署から消火栓の見回りに消防車がパトロール
していました。随伴に救急車も居ます。
ウチのすぐ近くに消火栓があるので、傍で停車してチェックをしています。
私は何気なくその光景をボンヤリ見てました。
郵便受けに郵便物を取りに出て来た娘と話をしながら「大変ね消防って・・」
私「ああやって、消火栓のチェックをしたり、ここの路地は救急車やポンプが曲がれるか
確認したり忙しいんだ、何も火事ばかりじゃないからな」
数名居る消防士の人がこちらに歩いて来ました。マスクをしています。消防士「こんにちは」
(以下・・消)
私・娘「こんにちは、お疲れ様です」
消防士さんが「ご無沙汰してます、てうてう1さん」(はぁ?誰・・?)マスクを外しました。
私「え~と・・誰でしたっけ??」(解りません?)
消「ははは・・ですよね~?ホラ何年か前にこの近所でお年寄りが田んぼのあぜで倒れていて」
私「あ!あの時の救急の!失礼しました・・」
消「このお嬢さんですか?あの時に救急車の誘導してくれた人は!大きく成られましたね」
娘「私・・覚えてないです」
事のあらましを・・
今からずっと前の事です、娘は小学生・・多分4~5年生
初夏の夜の話です。ウチに近くのガソリンスタンドに勤務するK君が釣りの話に来ました。
話も終わりK君はスクーターで帰って行きました。ここまでは至って普通です。
ここからが違ってました。K君が血相を変えて戻って来ました。
K君「てうてう1さん田んぼの中で呻き声がするんですけど・・」
私「何言うとるの?どこで?」ウチから近くの田んぼです・・「ううう~ううう~」
懐中電灯を持って、声のする方向へK君と二人歩いて行きました。
そこで見たモノは!あぜ道に横たわるお爺さんです・・普段着で足にはサンダルを履いてます。
K君「おじさん!大丈夫ですかっ?」懐中電灯に照らされた顔色は紅潮している様に見えました。
私「おい!普通じゃないぞ!蛇にでも噛まれたか?顔色が変だ!赤いな!」
K君「ここから運び出しましょう!」(危険です!)
私「だめだ!動かすなっ!おっちゃん!おっちゃん?」明らかに危険な状態です!
K君「救急車呼びます!あれ?携帯・・あ!俺のバッグの中です~」(T_T)要するに不携帯・・
私「ウチから電話してもらってくれ!俺が居るからウチから・・タオルと薄手のゴム手袋2足頼む!」
倒れているおじさんは近所に住むHさんです、この時は入れ歯が外れて人相が変わって
見えました。少し嘔吐しています。
暫くしてK君が帰って来ました。タオルと薄手のゴム手袋を持ってます。
K君「今、救急車が出てるそうです、後10分か15分掛かりそうです!」
私「なにぃ?・・常備の奴らー!本署から回してくれんのか?」
家内と息子も来ました。騒ぎを聞きつけた近所の方も見えました・・
嫁「運び出さないの?道の脇の方が救急車も解るでしょ?」
私「ダメだ!動かすな!頭を打ってるし、顔色が赤い、多分頭の中だ!」
私はゴム手袋を嵌めて嘔吐物を口腔内から取り出します。周囲の人は毛布を掛けてくれます。
幸いな事に横向きでしたので、最悪の窒息は免れたようです。
息子「父ちゃん~救急車まだ来ない~おっちゃん・・どうなるん?」(不安そうです)
嫁「ウチには〇〇(娘)が居て電話番してる」
息子に家まで帰らせました、ココの状況、患者の状態を救急隊員に知らせる為です。
それに、この状況は子供にとってキツイ現実だと判断しましたので・・
異様に時間が長く感じられました。まだ来ないのか!出場しないのか?
痺れを切らした近所のおばちゃんが言いました。「ウチのワゴンで病院行こう!待てんわ!」
誰からともなく「まだか?救急車は!」苛立ちの声が発せられます。
患者の顔色は紅潮していますし、唸り声を出しています「うううううう・・・」明らかに、くも膜下出血
・脳卒中などの疑いが見られます。動かす事は極めて危険です。
遠くからかすかに救急車のサイレンが聞こえたような気がしました。「来たか!」
田んぼの現場には20人位の人が集まってます。
倒れているおじさんの奥様も来られました(お年寄りなので、耳が遠くて電話も解らなかった
そうです)
救急車の到着です。すぐさま処置と搬送に移ります。発見者と時間、状況、バイタルを説明
受け入れる病院を探しています。誰からともなく「早ぅ行けぇ~」「何しとんじゃ!」
罵声とも取れる言葉が浴びせられます・・
「救急車通りま~す」ピーポーピーポー到着から約7~8分でした。
後日談ですが、消防士の方が、「電話で救急車の誘導してくれた女の子はお幾つですか?」
と聞かれました。
私「小学生ですが、何かありましたか?」
消「そうでしたか?普通は子供さんの場合は慌ててしまって応対に困るんですが、この子は
凄くわかりやすくて、落ち着いていましたよ。ご協力ありがとうございました。」
結果的に、この倒れていた方は2日後にお亡くなりになられました。残念です。
その時に来て頂き、電話で対応した消防士さんでした。あれからもう時間が経過しているのに
ちゃんと覚えていてくれたんですネ・・(お嬢・・照れてました)
いつも笑いを振り撒く娘ですが、こんな事もあったんですよ・・
私はいつものキャラですがネ・・家内の一言「あなた・・見直したわ・・」m(__)m