本社から、クルマで3分ほどの所にテクノプロテクニカルセンターがある。ここは、主にアライメントテスターを使用したアライメント調整他、各種整備を行っている。
コペンから降りて来たメカさんが開口一番「ちよっと右側のキャンバーが左側より多くついていると思いますよ」たったあれだけの距離を走っただけでわかるのか? クルマが、アライメントテスターにセットされ、まず現在のアライメント状況を計測する。コペンのアライメント調整は、フロントのトゥ調整のみ。リアは、キャンバー&トゥは固定となっている。テスターが設置され正面のモニターに一瞬にしてアライメント数値が映し出された。そうすると確かに右側前輪のキャンバーが、左より多くついているのではないか。恐るべしテクノプロメカさん。
測定結果。
左前輪キャンバー0°03′、キャスター3°37′、トゥ0°07′。
右前輪キャンバー -0°16′、キャスター3°32′、トゥ0°08′。
左後輪、キャンバー -0°27′、トゥ0°04′
右後輪、キャンバー -0°23′、トゥ-0°04′だった。フロント&リア共にトゥは限りなく0に近い状態だった。
引き続きセッティングだが、
テクノプロ社長にキャンバーとトゥの数値をどのあたりに設定すれば良いかをアドバイスしてもらう。サスペンションのコンセプトが「ストリートから鈴鹿南を主体とするミニサーキットまで」という事なので、サーキットに特化したキャンバー角を付けたのではストリートで影響がでる。コンセプトを考慮に入れキャンバー角は1°とする。トゥも、FFという事やサーキット走行を考慮して、トゥアウトの方向もあるが、トゥ0°とし、ステアリングレスポンスを重要視するセットとした。
調整後の数値は次の通り、
左前輪キャンバー1°06′、キャスター3°41′、トゥ0°00′。
右前輪キャンバー -1°06′、キャスター3°33′、トゥ0°00′トータルトゥ0°00′。
アライメント調整直後の感じは、キャンバーを付けた影響かステアリングの操舵感がどっしりとし、コーナリング時にタイヤが内側に引っ張られる感が減少した。帰路、ダンパーの減衰をF&R共、フルHARDにセットした。アライメント調整とフルHARDのセットは、高速道路では路面がフラットだと突き上げもなく、全く問題無し、ただ路面がうねっている場所は路面のうねり方に応じたピッチンクグが発生。しかし、それは直ぐに収まるので気になるほどでもなかった。
フロントに入れられた4kgのバネとフルHARDのセッとは、4kgのバネの伸縮とダンパーのHARD側減衰のセットが合っているようで、フルSOFT時よりフロントの動きがしなやかであった。おそらく、ダンパーの減衰セッティングを4kgに合わせている事によるもだと思う。
よく言われる、サスセッティング時、「ダンパーの減衰が強くゴツゴツした乗りごこち、バネが勝っていて突き上げが激しい」等のコメントが聞かれる。速く伸ばしたり、遅く縮めたりバネの伸縮スピードをダンパーがいかに制御するか? それがダンパーの命題でもある。
CRUXダンパーは、減衰の初期の立ち上がりが素晴らしく良く、減衰調整時に於いて、その変化は顕著に感じられる。しかし、他メーカーと違い、減衰SOFT側からHARD側に至る中でバネとのマッチングは、全ての減衰域で制御出来ている感じだ。現在、装着しているプロトタイプダンパーは伸縮同時減衰調整式となっている。
この場合、バンプ(縮み)側とリバンプ(伸び)側の両方の減衰が同時にSOFT側に調整すると減衰が弱くなり、HARD側にすると強くなる。通常、バンプ側に対してリバンプ側の方が強く設定されている。他メーカーダンパーの場合、減衰をHARDにしていくと同時にバンプ側も強くなって行くので、ダンパー減衰が勝っている状態での突き上げ感が増大しストリートでは乗れたものでは無い足になっている。その点、CRUXダンパーは、減衰をHARDにしていっても伸縮同時調整でありながら、リバンプ側が変化していき、リバンプ側の変化率に比べ、バンプ側の変化を極めて少なくしている。なので、減衰を調整しても乗り心地の変化は少なく、それでいてコーナリング時に於いては、しっかり踏ん張れる足になる。これが、「ストリートでもCRUXダンパーの乗り心地は素晴らしい」と言われる要因だ。
ただ、たまにCRUX製レース用N1ダンパーを装着し、あまりに固く公道では乗れたものでは無いという話しがある。これは、減衰をレース用マシン、使用するタイヤ、レースに出るサーキット等で細かくセットしている、いわば、レースでの使用を前提としたサーキット専用スペシャルダンパーだ。それをわからず装着した事で上記のような間違った話しが出て来る。
実際、私も、以前、雑誌の取材記事を書くため、某メーカーが製作したスーパーセヴンに公道&ミニサーキットで試乗した。そのクルマには、レース仕様のフォーミュラ用CRUXダンパーが装着されていた。販売しているショップからミニサーキットまでの道中は、まさに舌を咬んでしまうほどの路面からの突き上げに苦しめられた事を今でも記憶している。しかし、ミニサーキットに到着し、サーキットでの全開走行では、バンピーな路面にかかわらず、4つのタイヤは路面を掴み、ボディのピッチングは皆無、ロール量は良く制御され、ブレーキ踏力により荷重移動は意のまま、リアタイヤのトラクションも増大だった。まさに「絹足」。公道とサーキットでは全く別ものの顔を見せたCRUXダンパーだった。その「絹足」が、ストリートでも再現される事が今回のテストでわかり、世間ではCRUXの間違った評価がなされている事も同時に理解できた。
明日、1/31日いよいよ鈴鹿南コースでCRUXダンパーを試す。
フォトギャラリー
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テクノプロさんでは、コペンオーナー向けに、ピロアッパーを装着している車高調取付け車に限りフロントキャンバー&トゥのアライメント調整を15.000円で調整してくれる。ピロアッパーを装着し、キャンバーを付けたい貴方はテクノプロにGO!
テクノプロ http://www.technopro.jp/
Posted at 2009/02/06 10:54:13 | |
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