
たまにふいに再び観たくなる映画って何本かありません?
自分には何本かそんな映画がありますが、その中の1本(いや実際には2本か)が「ベルリン・天使の詩」と「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」です。
これはヴィム・ヴェンダース監督の作品で、ドイツのベルリンを舞台にした天使と人間の物語です。
「ベルリン・天使の詩」は1987年に公開、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」は1993年に公開されました。
舞台がベルリンで、この公開年数から、一定年齢以上の人はお分かりかとは思いますが、「ベルリン・天使の詩」はドイツがベルリンを境に東西ドイツに分断されていた時代、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」は冷戦終結後の統一ドイツになった時代の作品です。
映画としてはかなり有名な作品なので、知ってる人も多いと思うので、説明は不要かな。
両作品で象徴的な場所として、ジーゲスゾイレ(Siegessäule)があります。
日本語訳すれば「戦勝記念塔」ですね。これはティーアガルテンの中央部にそびえ立つ、高さ67メートルの石造の塔で、塔の頂上に金色の勝利の女神「ヴィクトリア」が立っていることで有名です。

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!のDVDのパッケージで金色の大きな顔が女神ヴィクトリアです。
自分は2013年に展示会の視察でベルリンを訪れたことがあるのですが、空港からホテルに移動するタクシーの中で、ジーゲスゾイレを見た瞬間に「あぁ、ベルリン・天使の詩の舞台に来たんだなぁ」と感動したのを覚えています。
残念ながらティーアガルテンは宿泊していたホテルから少し離れた場所にあったので直接訪れることはできませんでした。

Google MAPからの画像です。
金色の女神像はインパクトがありました。
ベルリンで女神ビクトリアといえば有名な場所はもう一つ、ブランデンブルク門ですね。

こちらは門の上にクアドリガ(四頭馬車)に乗った女神ヴィクトリアの像が立っています。
「ベルリン・天使の詩」ではブランデンブルク門はほとんど出てきませんが、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」では天使が門の上の像に寄り添ったりと、多くのシーンに登場します。
何故「ベルリン・天使の詩」では登場しなかったのか...それはブランデンブルグ門の西側に東西ドイツの国境線が敷かれ、門は東ドイツ領内にあったことに起因します。
wikipediaのベルリンの壁から画像借用

ブランデンブルグ門のある写真の左側が東ドイツ領、写真上下から門を囲うようにある壁がベルリンの壁です。
ということで「ベルリン・天使の詩」撮影時は、東西冷戦の共産圏のエリアだったことから、西側は立ち入りのできない場所だったわけです。
手持ちの写真の中にちょっと失敗撮影ながら、面白い構図のものがあったので掲載
女神像が神々しいかとw

東ドイツ時代には、ヴィクトリアの持つ杖の先は、今の鉄十字紋章からオリーブの枝に変えられていたそうです。
さて、そんな両作ですが、「ベルリン・天使の詩」に関してはWoWoWで放映される時に町山智浩の映画塾!で予習編と復習編の番組が作られ、Youtubeにその動画が上がっています。(探せばすぐに見つかります)
作品の解説に関しては、ほぼこの動画で事足りてしまいますが、実はデジタルリマスター版のDVDとBlu-rayにはヴィム・ヴェンダース監督自らのオーディオコメンタリーが入っていて、作品の解説をしてくれています。
が、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」はあまり解説されたものがなくて、未だに作品中のシーンや台詞、エンディングの解釈が人様々です。
ちなみに「ベルリン・天使の詩」は色々な方面に影響があり、同じ映画界では「シティ・オブ・エンジェル」(1998年公開)は本作の大幅なリメイク作品であるとされています。アニメ界では攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIGの第18話「天使の詩 TRANS PARENT」が本作をオマージュした作品とされています。
バトーがヴィクトリア像の肩の上に立つ姿は天使のそれと全く同じですね。長髪を後ろで束ねている所も同じですが、バトーのキャラクターデザインは最初から長髪を後ろで束ねていたので、偶然とはいえ驚きです。
本作の話に戻ります。
以前、2本の作品の中で、どっちが好き?という意地悪な質問をされたことがありますが、自分は天使カシエルに思い入れがあるので...というのが答えになりますw
天使は経験を持たない熟練者だ、という言葉があるそうですが、言い得て妙とはこのことかと。
俳優のピーター・フォークは作品の外でも、自分は天使だったと言っていたそうですが、実は私も元天使だったのですよねw
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Posted at
2020/07/05 03:09:31