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2020年08月27日

MF308の思い出

MF308の思い出 唐突に思い出話です。

ネットを探索していたら面白い写真を見つけ、記憶が蘇ったのでメモ代わりに記録しておきます。

冒頭写真は無限のV8エンジン「MF308」です。
F3000とかフォーミュラニッポンの初期に活躍したレーシングエンジンで、レース好きな方でなければ型番さえ知らないと思います。

90度バンクのV8エンジン、排気量は3000cc、いずれのレースでもレギュレーションで上限回転数は9000rpmに制限されていました。
なので、冒頭写真のように、吸気管がとんでもなく長いです。

私は20代前半に、このエンジン用のECUを設計していたので、MF308には色んな意味で思い入れがあります。
AP1のS2000に拘って乗っているのも、レブリミットが同じ9000rpmだからという理由です。

記憶を思い出すきっかけになったのはこの写真↓

これはエンジン前方側(フォーミュラマシンのバルクヘッド側)の写真です。

クランク軸の位置に4枚羽根のプレートが付いているのが分かります?


別の写真の...


拡大したこの部分

これがクランクセンサーとセンサープレートになります。
このセンサー信号を元に8気筒の各シリンダのタイミングを知り制御を行います。

この4枚羽根のセンサープレート、制御のうえで絶妙な形状になっているのです。


90度バンク角のエンジンなので、360°の円盤の90°毎に切り欠きを付け、そこを上死点に合わせると各シリンダの上死点(TDC)を知ることができます。

プレートを設計するうえでは45°毎に切り欠いて4枚羽根のプレートを設計したくなります。
が、実は写真をよ~く見ると、切り欠きの山の部分と谷の部分って等しくないのですよ。山の部分が僅かばかりに長くて、谷の部分が短いです。


図にしておこすと、こんな感じ。

実は山の↓エッジは上死点後5°に位置して、↑エッジは上死点前45°に位置するようになっています。
シンメトリーに作れば、山と谷は等しく45°分の長さになるのですが、実際は山の部分が50°分、谷の部分が40°分の長さになっています。

エンジンを組む際はプレートの山の↑エッジが上死点前45°になるよう取り付けします。
制御の基準点は上死点前45°になります。

何故基準点を上死点(TDC)である0°にしないのか?
それは高回転時の点火時期が上死点前にくるからです。
普通に考えると上死点より前にプラグに火花を飛ばして点火してしまうと回転を止めることになると思いますよね。
プラグに火花を飛ばした後、火炎が広がるまでには時間がかかります(これを火炎伝搬時間と呼びます)から、自ずと少し前に火花を飛ばすことになります。
これが高回転になってくると火炎伝搬時間に対する1回転の時間は短くなるので、点火時期は自然と上死点より前に前にと進角します。
さらにもう一つ、モグラ叩きのモグラがピョコっと飛び出してきた時にハンマーで叩く行為を想像して欲しいのですが、モグラを思いっきり叩く時って
①モグラが頂点を越え降りて行く時
②モグラが頂点に達した時
③モグラが頂点に達する手前
この①~③のどの時に叩くのが一番モグラを強く叩けると思います?
③なんですよね。
なので、高回転で高トルクを得る点火時期って、自ずと進角するのです。

そしてここで制御の観点から考えると、上死点前で点火をさせるということは、タイミングを取るポイントはそれより前が好ましいですよね。(詳しくは今度説明します)


さすがに上死点前45°よりも前に点火をさせたいということはなく、例えば上死点前20°が点火ポイントだとすれば、45°の位置から25°過ぎた所で点火をさせるという制御を行います。

ここで問題になってくるのが、始動時や始動直後の低回転時です。
始動時や始動直後って回転ムラも多く、上死点前に点火してしまうとエンジンを止めてしまいます。
なので確実に上死点後に点火を行いたいのですが、何かよい手はないものか...そう!プレートの↓エッジが上死点後5°の位置にあるので、始動時や始動直後の一定回転数以下では、上死点前45°のタイミングから制御を行わず、上死点後5°の↓エッジで点火をさせるように制御します。

このプレートって、そういう目的のためにきちんと設計されているのです。

という設計者の意図を知らず、低回転から高回転まで全て上死点前45°の↑エッジを基準に全て制御をしようとして、なかなかエンジン始動できなかった制御屋がここにいます。(滝汗

今となってはいい思い出ですが、当時はエアスターターを何個も壊し、本当に冷や汗をかいたことを思い出します。

なんでうまくいかないんだろうねぇ~と、プレートをしげしげと眺めて「ハッ!」とプレートの山谷の差に気が付いたのは数日後。

詳しいお話は、機会があったらまた今度...

※クランクの回転方向は逆だったかもしれません(なので↑エッジ方向も逆かも)TDC-45°が基準だったのも、確かそうだったと思うけど...遠い目
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Posted at 2020/08/27 02:04:43

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この記事へのコメント

2020年8月27日 18:54
今回のブログ 中々難解でしたが楽しめた(気がする?)内容でした 

話も変わりますけど この頃何故だか車の年齢が若返り傾向にあります 気にして運転してると 機関、足廻りの「技術者は眠って無い!」のがよくわかります 

国民車、黄色いナンバー 内装の質感が貧乏くさくなっていくのは残念ですけどね(笑)
コメントへの返答
2020年8月28日 5:26
内容が車関係なので理解してもらえたか...な。
本件、以降はテクニカルな話題になっていくので難解になりがちですが、分かりやすくなるよう努めますw

そそ、増車おめでとうございます。
増車宣言を見て、てっきり昭和の車を買われたのかと思ってたら、黒の新しめのMT車だったので驚きました。

機関、足廻りに関しては進歩していますよね。私も新しい車が欲しいけど、今以上に増車は...

某H市に本社のあるSな名前のメーカの車といえばテールランプの片方がよく切れているのを見かけていたのですが、最近のLED化のおかげか減ってきています。
古いのはあいかわらず切れてるのを見ますけどねw
2024年9月1日 20:35
過去記事へのコメント失礼いたします。私もZA2には思い入れがあったので(笑)

30年ほど前ですが機械場で加工してましたよ😅
コメントへの返答
2024年9月4日 5:36
過去記事でもコメント大歓迎です。ありがとうございます。

プロフィールを見ましたが、中の人...だったのかな😅
私は加工されたエンジンを制御する側でしたが今となってはいい思い出です。

プロフィール

「今夜はこれでした、私たちが光と想うすべて」
何シテル?   08/02 23:03
今のところメイン使用であるS2000と、その他車や自転車、ガジェット類諸々を話題に。 リーフ契約を機に、みんからを始めました。しばらくはリーフ関連の話題が中心...
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