
少し間が開いてしまいましたが、装荷線輪用櫓(そうかせんりんようやぐら)の続編です。
装荷線輪用櫓は昭和3年(1928年)に東京~神戸間(609km)を装荷長距離ケーブルで結んだ日本最初の長距離電話設備で使用された音声電流の減衰を抑えるための設備になります。
前回は私の住んでいる静岡県西部地域にある装荷線輪用櫓を何か所か訪れて紹介をしました。
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装荷線輪用櫓(1)
今回はお隣の愛知県にある装荷線輪用櫓と、それに関連した設備の話です。

紹介する場所は①~⑤
まずは①の静岡県と愛知県の県境にある本坂峠(ほんざかとうげ)です。
東京~神戸間を結んだ逓信省の装荷長距離ケーブルは静岡県三ヶ日町と愛知県豊川市を通っていましたが、県境にある湖西連峰を越える必要があります。
山の上を架線で通すのには無理があることから、旧国道362号線本坂峠の本坂遂道を使って地下ケーブルで山越えをしていました。
地下ケーブルを使っても、音声電流の減衰を抑えるための設備は一定間隔で必要になります。
空中の架線に装荷線輪を設置するのが「装荷線輪用櫓」ですが、地下ケーブルに装荷線輪を設置するための設備を「ケーブルハット」と呼ばれています。
本坂遂道の西側(愛知県側)には、このケーブルハットが設置されていました。

こちらです。
コンクリート製の建物に鉄の扉。
周囲の雰囲気も相まってちょっと不気味な存在ですが、この建物の下を地中ケーブルが通っていて建物の中には装荷線輪が設置されていたそうです。
実はこのケーブルハット、2020年前後に撤去されてしまいました...

こちらは2012年6月のGoogleストリートビューの画像。
本坂遂道の愛知県側坑口を見た画像です。
遂道手前右側にケーブルハットがあります。

こちらは2021年9月の画像
見事に無くなってます😖
Google MAP上では
ここ。
貴重な遺構だったのに残念。
とはいえこの不気味な建物が装荷線輪用櫓と同じ目的の設備だと知ったのはつい最近のことです。
岡山県にはケーブルハットが残っている模様
さて次は②の嵩山(すせ)にある装荷線輪用櫓
掲載する写真を撮りに出かけたところ撤去されているのを確認😭

こちらがありし日の装荷線輪用櫓です。

2020年10月のGoogleストリートビュー

2022年8月のGoogleストリートビュー
無くなってます。
近くの柿畑で作業している方に声をかけて話を聞いてみたところ、2022年夏に撤去されてしまったそうで、その方も残念がっていました。
Youtubeで動画を撮って紹介している人がいました。
撤去されて残念ではありますが、実はこの西の方にも装荷線輪用櫓があるのを知っています。

お~、こっちは残っていた。
これは③下条東の装荷線輪用櫓です。
※残念ながら2025年1月末頃に撤去されました。2025年3月追記

ここも農作業の邪魔っぽい感じなので、そのうち撤去されてしまうかなぁ🤔

枯れた蔓がそのままなのが、大事にされていない雰囲気で心配な存在です。
ちなみに①~③は豊橋市になります。
さてお次は④の西豊。
ここからは豊川市です。

こちらの建物が目的の物になります。

なんとこちらは、旧逓信省 豊川電話中継所です。
現在は株式会社トヨテックの本社社屋になっています。

有形文化財建造物として登録されているので、壊されることはないでしょう。

こちらの図にある豊川の中継局がこの建物です。

右側にある倉庫も中継局時代の倉庫がそのまま残っているそうで、トヨテックでも倉庫に使われているとか。

いつまでも残って欲しいです。
さて最後は⑤の野口にある装荷線輪用櫓。

今までの場所とは違って、ここはしっかりと綺麗に整備されています。
愛知県道31号線の交差点すぐ脇にあるので、車で停車している時にふと横を見ると、この装荷線輪用櫓が目に飛び込んできます。
Googleストリートビューでは
ここ。

こちらも文化財登録されているので、撤去される心配はなさそうです。
そう考えると豊川市ってこういった遺構をしっかり残す努力をしていて感心します。
私が知っているのは静岡県と愛知県のこれら設備になりますが、東京~神戸間で今も残っている設備はまだあるのだろうか?
あるのであれば訪れて記憶に残しておきたいです。
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Posted at
2023/03/15 05:11:46