
装荷線輪用櫓(そうかせんりんようやぐら)って知ってます?
こちらの写真のコンクリート製の四角い柱の櫓(やぐら)がそれです。
恐らく全国的に見かけるものではなく、ごく一部の地域だけにあって、さらに近年姿を消しつつあるので、見かけなくなってきていると思われます。
装荷線輪用櫓は昭和3年(1928年)に東京~神戸間(609km)を装荷長距離ケーブルで結んだ日本最初の長距離電話設備で使用された音声電流の減衰を抑えるための設備になります。
逓信省の標準設計になっていて、同じ形の物が東京~神戸間に遺構として残っています。

こちらは逓信省の長距離電話網計画図です。(東京神戸間長距離電話「ケーブル」工事の概要、昭和3年逓信省工務局発行)

実線部分が昭和3年度末に敷設された電話線。
この線長に数キロ毎に置かれていたのが装荷線輪用櫓です。

電話線が電柱の上を伝って、装荷線輪用櫓がこんな具合に中継しています。

櫓の上の装荷線輪がこちら。
私が生まれ住んでいる静岡県三ヶ日町は丁度この長距離電話線が町内を東西に通過していた地域で、町内に何か所かこの装荷線輪用櫓が立っていました。
昭和40年~50年頃の子供だった頃にはすでに設備としての役目を終えていたと思いますが、遊んでいてみかん畑や田んぼの中にこの櫓があって「これ何?」と思ったものです。
当時はみかんや米を計量するためのものかな?🤔と想像していましたが、大人になって調べてみたら違った😅
三ヶ日町内でも数基あった装荷線輪用櫓ですが、今では数を減らし1基を残すのみです。
現存するものの記録を残しておこうと、自転車でこれらを巡ってみました。
まずは静岡県西部版です。

と言っても現在残っているもので把握しているのはこの3箇所だけ😖

①細江(ほそえ)町気賀(きが)地区
みかん畑の中ににょきっと立ってます。
Googleストリートビューからも確認できます。

道路から

ちょっと失礼してみかん畑の中に入って近くから撮影。
次は②の細江町寸座(すんざ)地区になるのですが、ここは道路からは確認しにくい...

写真中央に櫓の頭の一角が写っているのが判るかな?
Googleストリートビューではもっと分かりにくい💦
夏は緑豊かになるので森に隠れてしまうのですよね。

ズーム

最後は③の三ヶ日町都築(つづき)地区...いやここは野地(のじ)かな?
Googleストリートビューでも確認可能。

近くに寄って撮影。
自然の景色の中にいきなり人工物の遺構があると少し不気味にも見えますが、
小さい頃に遊んだ景色の記憶の一角にこの遺構が入り込んでいるので私には懐かしい気分になります。
また、この設備があって長距離電話が可能になっていたと考えると感慨深いです。
三ヶ日町内ではここから西に行った日比沢(ひびさわ)地区にも少し前まで存在していましたが、撤去されてしまいました。
東京~神戸間でも、老朽化や宅地開発などでかなりの数を減らしていて、今では珍しい存在になりつつあるそうです。
そもそも逓信省という古い戦中戦前の省庁の名前の設備だから仕方ないか...

今では郵便局というと、こちらのマークが浸透しつつありますが...

昭和生まれの私には、まだこちらのマークが定番です。
この「〒」マーク...逓信省(ていしんしょう)の「テ」の字が元になってると知ってる人も今後は減っていくんだろうなぁ😅
Posted at 2023/01/14 21:19:13 | |
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