
昨年公開されたのに日本だけちょっとしたゴタゴタの影響で公開されなかった「オッペンハイマー」がようやく公開されたので観てきました。
すでにアカデミー賞を受賞したり、実在の人物を描いた伝記映画作品として歴代No.1の興行収入を獲得したりと折り紙付きの映画です。
映画の内容としてはカイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによる伝記『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』を映像化したものです。
なんとなくマンハッタン計画をオッペンハイマー視点で描いた伝記映画ではないかと勘違いしている人もいるようですが、描かれている内容は「オッペンハイマー事件」に関するものです。
なので、被爆国である日本人から見て「核兵器の恐ろしさが十分に描かれていない」とかいう意見はお門違い。
あくまでマンハッタン計画の責任者として原爆開発をしたオッペンハイマーの栄光と挫折、その名誉回復に関する内容への感想であるべき。
でも作品を見るうえで「被爆国である日本人」として見るスタンスはアリです。
私は「私の興味のある物理学や量子力学がどのように関わっていったのか」というスタンスで見ていました。
マンハッタン計画、実験時の映像、原爆の使用された時の映像に関してはあらゆる実際の映像が残っているのですが一切使われていません。
が、それでいいのでは?と感じています。
すでに何度も様々な所で使われてきたそれら映像は、垢が付いてしまっているというか、余計な感情の一つになってしまいます。
オッペンハイマー事件の材料の一つとしてのマンハッタン計画とその結果に関してはあれで必要にして十分な描き方だったと思います。
映画の感想で「難解だった」というものを見ましたが、それはそうかも。
いわゆる駄目な日本映画やTVでよく見る説明セリフというものが無いので、時代背景や科学者の知識、問題となったオッペンハイマー事件の公聴会に関してある程度の知識が無いと置いていかれてしまいます。
そういった意味では私には5点満点なら4点の出来の作品ですが、万人受けと考えると3点かも。
印象的だったのはモノクロシーンの使い分けかな。
カラーシーンはオッペンハイマー視点、モノクロシーンはオッペンハイマー以外の視点という点。
最初モノクロシーンは回想と決めてかかっていたので「おや?これは違うぞ!」と早々に気が付きました。
アインシュタインやボーアの関わり方が面白かったり、これは史実的に正しいのか謎ですが、ケネディの名前も出てきて「ほぉ」と思いました。
核兵器開発は正しかったのだとするかの国で、それを批判するとも捉えられる内容の本作が一定の評価を受けているのを知る事ができたのは糧になりました。
受賞したアカデミー賞に関しては、そのものが左よりという意見もあるので驚きはしません。
なんとなく、こういった骨太の映画は...良いですね。
Posted at 2024/04/14 21:05:31 | |
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