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2016年07月03日

【'19/12/20訂正】直噴ガソリンでも起きていたカーボン噛み込みによるエンジン不調。

 マツダのSKYACTIV-D 1.5搭載車でエンジンが不調になる事例が発生し、掲示板や株主総会でも話題になった様です。当のマツダから正式な公表がない現在、数件の不具合で騒ぎ立てる事を戒めるファンの声もありますが、他社の言葉を借りるなら(汗、「たとえ故障率1ppmでも、お客様にとってはかけがえのない一台!」ここは踏ん張りどころ、なんとか対策に漕ぎ着けて頂きたいものです。。。

 ディーゼルエンジンでエンジンアウトのNOxを減らすには圧縮比を下げて燃焼最高温度Tmaxを下げる事が有効ですが、CI(Compression Ignition=圧縮着火)エンジンであるディーゼルは高地や寒冷時の冷間始動性が悪化するという背反がありました。ここにブレークスルーをもたらしたのが、2010年に三菱自動車が欧州向けに発売した4N13/4N14型エンジン。乗用車用ディーゼルでは世界初となる可変動弁機構MIVECを組み合わせ、始動時はピストン下死点近傍で吸気バルブを閉じることで圧縮圧力を確保、冷間始動性と14.9という低圧縮比を両立しました。
 これに続いたのがマツダのSKYACTIV-D。2012年発売のSKYACTIV-D 2.2では排気側に可変動弁機構を備え、吸気行程中に初爆後の熱い排気を再吸入する事で始動性と14.0という低圧縮比を両立。更に2014年発売のSKYACTIV-D 1.5ではVGターボの可変ノズルベーンを改良してシャッターバルブとして活用し、吸気行程中のシリンダに排気を逆流させる事で可変動弁機構無しで14.8という低圧縮比を実現しました!

 冒頭のSKYACTIV-D 1.5のエンジン不調の件ですが、実際に不具合に遭われたユーザによると個別対策として排気バルブスプリングの交換が行われている模様。SKYACTIV-D 1.5はディーゼルとしては高回転まで回りますが、リミットは5,500rpmとガソリンに比べれば知れたもの。クランキング時の低い排圧で吸気行程のシリンダに排気を逆流させる為にバルブスプリングも軟らかく設定されているのでしょう。しかし好事魔多し、こんな不具合が待ち構えていようとは。。。

 ディーゼルではありませんが、直噴ガソリンエンジンでも排気バルブシートへのカーボン噛み込みによるエンジン不具合事例がありました。比較的排気量の大きな3リッター直6エンジンで、ピストン温度が十分に上昇しきらない様な低負荷・短距離走行の繰り返しでピストンに堆積したCCD(Combustion Chamber Deposit=燃焼室堆積物)が剥離してエンジン不調に至った事例です。この場合はピストントップのCCDを除去する燃料添加剤を投与する対策が採られました。
 どう走ってもある程度のカーボン堆積は避けられないディーゼルとはCCD堆積→剥離に至るメカニズムも異なってくるとは思いますが、参考記事をここに引用させていただきます。
燃料添加剤と燃費 --- CCD その1|Drive On the Earth
燃料添加剤と燃費 --- CCD その2|Drive On the Earth
燃料添加剤と燃費 --- CCD その3|Drive On the Earth

***** 2016/9/1追記 *****
SKYACTIV-D 1.5のリコールが公表されました。
http://www2.mazda.co.jp/service/recall/717/724/729/727/105/99/004665.html(現在リンク切れ)

 不具合原因ですが表向きはバルブステム部へのPM異常堆積によるバルブガイドのスティックという事らしいです。恒久対策ではバルブスプリング強化の様なメカニカルな手段は見送られ、エンジン制御ECUのリプロで特定条件化におけるPMの過大な発生を抑える模様。このたび目出度くリコールに漕ぎ着けたという事は、対策による背反(燃費やNOxの悪化)についても問題なしという判断なのでしょう。
 それにしても、不具合事例が846件もあったと言うのにはちょっとビックリですね。。。

***** 2016/9/9追記 *****
 上記リコールの内容に「改善措置インジェクタおよび排気側のバルブ周辺に堆積した煤を清掃します。」とありますが、まさか11万台もディーラで分解清掃出来ないよね。。。と思っていた所、どうやらリコール作業中に専用のエンジン制御プログラムを走らせてクリーニングする模様です。但しクリーニングと言っても温度を上げてカーボンを焼き尽くす訳ではなく(そんな事をしたらバルブステムがガイドと焼き付いてしまう)、高回転で回す事によってバルブステムをガイドと高速で摺動させてステム部に固着したカーボンを掻き落とす様です。

 これで不具合原因がほぼ見えてきましたね。最近のクリーンディーゼルは後処理装置が汚れるのを嫌ってバルブガイド部へのオイル供給量もギリギリまで絞られている筈。そこへバルブステムに付着したドライスートが混入し潤滑状態は更に厳しくなる。DPF再生が始まるとガイドより先にバルブステムが高温で膨張しクリアランスが詰まって軽微なスティック状態に陥るVGターボによる排気絞りが行われ排圧が上昇。低回転ユルユル運転でゆっくり開閉する排気バルブに慣性力は働かず、冷間始動時に排圧でホットEGRを入れる為に弱くされたバルブスプリングはスティックしかけた排気バルブを排圧に抗ってバルブシートに密着させる事ができない。その結果、圧縮不良に陥り不具合発生!【2019/12/20 朱記訂正】


タービュランス・リミテッド社が新たな見解を出していますのでリンクを貼っておきます。わざわざ排気バルブを高速ピストン運動しなくても、かつての三菱GDiの様に燃料添加剤やエンジンオイルへの対策で根治すれば良いのですが。。。
燃料技術がトラブルを救う! --- 直噴エンジンだって今では常識?

***** 2016/9/13追記 *****
 ところで。デミオディーゼルと言えば2014年8月から生産が始まっているのに、ネット掲示板等でエンジン不調が話題に上るようになったのがついここ4ヶ月くらいと最近で、それにも関わらず不具合件数が846件と多いことに疑問を感じた方はいませんか?
 またリコールに際してマツダは(特にMT車で)1,200rpm以下からの加速を控えるようにアナウンスしているそうです。私はここでSKYACTIV-D 1.5登場後に一部で不評を買った、緩慢な低速トルクの立ち上がりを改善する為「DE精密過給制御」が導入された事を思い出しました。あの河村康彦氏のブログで改良前後の試乗記を振り返らせて頂きましょう。

【改良前】
2014年9月19日 ハコネでデミオ : 河村康彦のblog
2015年3月11日 三浦半島でCX-3 : 河村康彦のblog
【改良後】
2016年2月5日 ”新型CX-3”を横浜でチェック : 河村康彦のblog

 「DE精密過給制御」導入後は1,200~1,400rpm辺りの低速トルクが明確に改善された事が報告されています。ターボチャージャの応答性を改善し空気過剰率およびEGR率は維持した上で燃料噴射量を増量出来れば理想ですが、ハードウェアに手をつけず制御だけで過給の立ち上がりを早める事は容易では無い筈。そこでマツダは一時的にエンジンアウトのPMが増えることには目を瞑り、吸気量が増えた以上に燃料噴射量を増やして低速トルクの改善を図ったのでは。。。
 改良後の車両がある程度市場に出回り、シビアコンディションの車両でバルブステムへのPM堆積による不具合が出始める。本来なら改良後の車両だけリコールすれば良い筈ですが、改良前でも個別にリプロ対応しているケースがあることから、点検も兼ねて全車両のリコールに踏み切ったのでは。。。

もげ. 04/13 00:10
T社のGD系ディーゼルも仕向けによっては尿素SCRもLNT触媒にも頼らず大量EGRだけでNOx規制クリアしようとして煤回りのトラブルか。なんか既視感。。。https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06718/

***** 2022/10/12追記 *****
 やっぱり、吸気系統が結露するようなコンディションでEGRを入れるのはNGなんでしょうね。

価格.com - 『デミオ1.5D 煤問題解決か・・・』 マツダ デミオ 2014年モデル のクチコミ掲示板

京都府・滋賀県からデミオ、CX-3。 インテークの煤堆積はDSCで完全除去。  ドライアイスと○○○で完全除去します。 | 日々是好日 byミナト自動車

もげ. 10/13 09:24
結露する状況下でのEGRは×ですね。加熱もできる水冷式ならマシかと思っていたが…。https://bbs.kakaku.com/bbs/K0000692529/SortID=24958405/ https://www.mlit.go.jp/common/001121838.pdf
ブログ一覧 | ディーゼルエンジン・ディーゼル車。 | 日記
Posted at 2016/07/03 23:33:13

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この記事へのコメント

2016年7月4日 8:13
昔オートメカニックでもトヨタマークXの
カーボンが凄いって写真がありましたね。
エンジンクリーナも直噴エンジンはカーボンがボロっと落ちるので
使用不可って書かれていますし。

ディーゼル、直噴ガソリンはカーボンが多いのは
現状ではしかたないように思います。
このあたりの技術進歩させて、良いエンジン作って
ほしいものです。
コメントへの返答
2016年7月4日 22:05
こんばんは~。
 ユーロ5な自分の120dは今やクリーンディーゼルとは言えませんが、ブースト計装着の為スロットル弁を外したら、EGR還流部より上流側にも関わらず吹き返しで煤塗れなのに驚きました!更に一年経たずにブースト計のホースがスラッジで詰まりました。。。こんな状態でも走行12万キロの現在まで変わらず働き続けてくれており、メーカの苦労には頭が下がる思いです。

 ガソリン車は燃料添加剤でCCDを減らす事も出来ますが、ディーゼルは某ブログの様にバラして清掃するしかなのでしょうかね。
2016年7月4日 11:07
 こんにちは。 直噴エンジンの泣き所でもあるみたいで、各社色々と工夫してみたいですね。 マツダのディーゼルエンジン低圧縮比化の技術レベルに感心していたので、このような不具合があることに驚いてしまいました。 国交省の自動車の不具合情報をのぞくと、5件ほどヒットし不具合内容は「長い上り坂道でエンジンがブルブル震えて出力が出なくなる。」と言うものでした。 ちょっと走行モードとしては怖い不具合ですね。
コメントへの返答
2016年7月4日 22:21
こんばんは。ご訪問&コメントを頂きありがとうございます。

 VGTを改良して可変バルタイ無しで排気を逆流させるマツダのアイデアには目から鱗!でしたが、それで弁ばねを柔くしたのが原因だとしたら、まさに「好事魔多し」としか思えない不具合ですね。。。
 アクセルを深く踏み込んでいる時に出力低下するのは確かに怖いですね。BMWの様に始動不能に陥ってしまうのも困りものですが、ガソリンの場合は燃料添加剤で改善される場合が多そうなのでまだ救われています。
2016年7月5日 12:43
以前、みんカラのユーザー記事で、現行86のエンジンをばらした写真がありましたが、3万km程度でカーボンがかなり滞積しているのが印象的でした…。
三菱GDIも、昔の雑誌記事でそんな状態だったのを思い出します。
直噴は、日本の道路環境には合わないんでしょうか。
コメントへの返答
2016年7月5日 19:55
こんばんは。コメントありがとうございます。
 今さら直噴から後戻り出来ないディーゼルは、エンジン内部が煤塗れでも問題を起こさない様に設計するしかないのでしょうね。マツダの様に新しい事にチャレンジする時は、設計者も細心の注意が求められます。。。(汗

 アウディやレクサスの様な高価なモデルだと、IVD(Intake Valve Deposit)対策で直噴+ポート噴射のデュアルインジェクションにしたエンジンもありますね。直噴オンリーでも国内ではハイオク(清浄剤入り)仕様となってしまう事が奏功して救われている印象ですが、普及価格帯の実用車だと厳しそうですね。三菱GDIも一応ハイオク仕様だったのですが、多くのユーザはレギュラーガスを使用していたみたいですし。。。

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