マツダボンゴブローニィバン、マツダでは歴史あるワンボックスバンです。
5月13日から新型が発売されます、今回はそのボンゴブローニィと行きましょう。
歴史あると書きましたが、
初代のボンゴ(1966/5-1975/10)は、ライトエースやデリカよりも数年早く世に出ており、4気筒0.8L(後に1.0L)ガソリンエンジンをリヤに搭載してリヤタイヤを駆動。サスペンションは4輪独立懸架と商用車としては独創的なシャーシーを持っていて(エンジン搭載方向を除けばスバルオリジナルのサンバーバンと似た構造)、1BOXバン、ワゴン(5ナンバーで3列8人乗りのコーチも設定)の先駆車でした。
2代目(1978/1-1983/9)からは、一般的なフロントエンジンリヤドライブに改められて、バンとワゴンは標準ボディとロングボディを用意。
3代目(1983/6-1999/6)では、標準ボディがボンゴ、ロングボディがボンゴブローニィと車名を区別。
4代目(1999/6-)は、ボンゴがフロントパネルを全面的に形状変更されたのに対して、ボンゴブローニィは型式上はフルモデルチェンジであるが外見上は3代目の小変更に留まりました。ボンゴは現在も継続販売されていますが、ボンゴブローニィは2010年8月に生産中止。今回のモデルチェンジは8年以上のブランクを空けて復活になります。
とはいってもトップ画像を見れば分かるように、実際はトヨタハイエース/レジアスエースのOEM車。フロント/リヤがTマークからMマークに、車名エンブレムハイエース/レジアスエースからボンゴブローニィと異なるのが外見上の違いのようです。
エンジンは2.0Lガソリン(2WD)、2.8Lディーゼル(4WD)の2種類ですが、ハイエースのガソリンで選択可能なマニュアルミッションが選べず全車6速ATのみ。
ボディも標準ボディで標準ルーフ低床フロアの5ドアバンのみ、ワゴンやコミューター、ワイドボディ、ハイルーフ、ルートバン、荷台がフラットなジャストロー、4ドアは設定無し。ボディカラーもホワイトとシルバーマイカメタリックのみ。
グレードはDXとGL(ハイエースではDX"GLパッケージ")の2種類で、スーパーGLは設定が有りません。よってシートも3/6人乗りの2列のみで、2/5人乗り、3/6/9人乗りや3人乗りも有りません。
ハイエースに比べると大幅に簡略したラインナップです。しかしハイエースでは最も需要が多いディーゼルの2WDが選べないのは大きな問題だし、自営業者に大人気のスーパーGL(マツダ流だとGLスーパーか)が設定されていないためトヨタに行ってしまうユーザーはかなり多いのではないでしょうか。
今までだと座っただけのインプレッションですが、実は愛車紹介に書いているように、2018年式レジアスエースバン(2.8LディーゼルのDX"GLパッケージ"標準ボディのハイルーフ低床フロア)を会社で使っているので、ロードインプレッションも書けてしまいます。
2016年から切り替えられた2.8Lディーゼルエンジンですが、ガソリンエンジンとは大差なくパワフルでターボの存在を意識することも有りません。また6速ATのおかげで伝達効率も十分です。以前は100ハイエースバンの2.0Lガソリンと3.0Lディーゼルがあったのですが、ガソリンはかろうじて許せる動力性能、ディーゼルはうるさいばかりでちっとも前に進まず、本当に排気量が3.0Lもあるの?とイライラしました。それに比べるとディーゼルの進化は雲泥の差です。それまでディーゼルだとレスポンスが悪くて遅い、うるさい、排ガスが臭いというイメージしかなかったのですが、これならばディーゼルということを余り気にしないで乗れます。
インテリアで一番気に入ったのはメーターです。タコメーター付きでトヨタ得意のオプティトロンメーターは盤面のリングまで立体的になっていてちょっと高級感があり、昼間でも発光輝度が高くて実に見やすい。トヨタセーフティセンスでレーンディパーチャーアラートも、オートマチックハイビームも付いている。と商用車としては十分な装備。ラゲッジスペースも、荷室長3,000mm荷室幅1,545mm荷室高1,590㎜(標準ボディハイルーフ低床フロア)のサイズがあれば、大抵の荷物は十分に積載可能。
欠点としては、ディーゼルだと尿素SCR(触媒)の性能保持のためアドブルー(尿素水)を定期的に補充する必要があるが、約6,000km走行で警告灯が点灯します。ちょっとサイクルが短い気がしますが、フードを開くとある補充口に入れるだけで済みます。ウオッシャータンクに液を入れるのと似た作業ですが、満水まで約6Lも入ります。長距離を走るユーザーだと途中でガス欠ならぬアドブルー欠で立往生(アドフルーが無くなると触媒保護のため走行不能になる)するかもしれないので、緊急用のアドブルーをペットボトルに入れて車内に常備した方がよさそうです。
それからシートポジションが絶対的に高いので、よいしょと乗り込まざるを得ません。タイヤサイズやシャーシーとの兼ね合いで低床化が困難なのは分かりますが、毎日使う身だともう少し何とかならないものかと思います。あと、全グレードで助手席側エアバッグがメーカーオプションというのは、安全を売り物にするトヨタとしてはおかしい。ライトエース/タウンエースは全車両席エアバッグが標準装備です、一考を要します。
今時珍しいステッキ式パーキングブレーキレバーは、前かがみにならないと操作出来ません。E26 NV350キャラバンは足踏み式なので、足踏み式に変更してほしいものです。あと、GLパッケージならオートエアコンとフロント間欠ワイパーの時間調整もほしいところですね、贅沢ですが。
それでも、さすがはトヨタのヒット作だけあり結構出来は良くて、アンチトヨタ派の私でもコロリと騙されてしまいそうです。
ところで、昨年6月にモデルチェンジされたファミリアバンは、ニッサンADバンからトヨタプロボックスバンのOEMになりました。2017年にトヨタとマツダが業務資本提携を結んだ結果の変更なので、ハイエース-ボンゴブローニィのOEMも流れとしては理解出来ますが、現行200ハイエースは発売後15年が経過していてそろそろ新型の噂も出ているこの時期に、OEM発売というのは何か釈然としません。
となると、マツダオリジナル商用車として孤軍奮闘しているボンゴはどうなるのでしょうか。先に書いたようにボンゴは1999年以降モデルチェンジ無しなので(基本設計は1983年だから36年間もほぼ同一のシャーシー)、いくら何でも抜本的に改良する必要があるでしょう。ニッサンへのバネットとしてのOEMと三菱へのデリカとしてのOEMも既に終了したことからも、次世代は自社開発を諦めてOEMにする可能性が大です。そうするとボンゴはライトエース/タウンエースのOEMになるのでしょうか。
ライトエースバンも会社にあるのでよく知っているのですが、現行ライトエース/タウンエースバンS402/S412系は、インドネシアのダイハツ工場で生産されているグランマックス(ワイドなS320/S330系ハイゼットカーゴ)なので、ドライビングポジションが不自然で右足はタイヤハウスに当たりっぱなしだし、5万キロも走るとエンジンはうるさいし、インパネの造りはチャチだし、標準ルーフしかなくて荷物が全然積めない。インドネシア製ということを差し引いてもクルマとしては軽自動車以下、前モデルのR40/50系(ノアの4ナンバー)の方がまだ使い勝手は良かったし、日本製のハイゼットカーゴの方がクルマの出来としてはマシな位です。
ライトエース/タウンエースも発売から11年経過になるのですが、次もベースになるであろうハイゼットカーゴが2年前の変更はビッグマイナーチェンジだったので、モデルチェンジはまだ先のようです。
海外生産もしなければならないメーカーの事情は分かるし、インドネシアの工場で働く人々を非難するのでもないですが、せめてハイルーフを追加するとか使いやすさを考えたクルマにしてほしいものです。
それにしても普通車の商用車はほとんどトヨタの一人勝ちで、辛うじて対抗するのはNV200バネットとNV350キャラバンのニッサンだけになってしまいました。他メーカーのマツダ、三菱は自社開発は無理だろうし、ホンダもパートナーを生産中止してからは軽商用車のみになってしまったし、スズキも軽商用車以外は作らないでしょう。これも時代の流れでしょうかね。
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2019/05/12 22:45:45