
遅くなりましたが後編いきます!
引っ張りすぎて、がっかりな後編になるかもですが、
中継を見ながら、戦略も楽しめるようになればと思うので、
うだうだと書いてみようと思います。
グラフを作ろうと思いましたが断念ですw
ラップタイムだけ見れば、グラフは不要かなとw
ではアンダーカットに関わる単語の勉強をしましょう。
デグラデーション:タイヤの磨耗による性能低下の事
フューエルエフェクト:燃料の重さがラップタイムに与える影響
(満タンでスタートし給油が無く、レースの進行で燃料を消費して車両重量が軽くなり速く走れる)
この2つが、ラップタイムに影響が大きな要因になります。
次に、
現在のF1マシンの特徴です。
・いまのF1マシンはキレイな空気が当たると本来の性能を発揮する
・いまのF1マシンの後方は空気が拡散していて乱れた状態になる
・後ろから追いかける車は、前走車に追い付いても、近づくと本来の性能から
ダウンした状態になり、近づく事ができても追い抜くほどの接近ができない。
ちなみに、この特徴がPPからブッチギリの独走優勝が多い理由で、
隊列の先頭を走る事が重要で、前に居た方が有利になる原因になっています。
この状況を変えようとしたのがDRS
後方から追いかけるマシンを直線状態でダウンフォースを抜いて最高速アップ。
ですが、DRSは今は忘れてくださいw
タイヤ交換での順位入れ替えは、これらの3つの要素の組み合わせになります。
では、いよいよ次は順位が入れ替わる、アンダーカットの例を書いてみます。
1位のアロンソに対して10秒遅れていた2位のベッテルが先にタイヤ交換した場合、
コースに残るアロンソは見かけ上も実質も1位になり、30秒のロスタイムでタイヤ交換した
ベッテルはアロンソから、40秒遅れで、結構離されてしまったなーっていう状況になります。
しかし、ここからベッテルの怒涛のスパートが開始します!!!
怒涛のスパートが可能な要素は、
・新品タイヤに履き替えた事でグリップが回復
・燃料が減った事で車重が軽くなり、レース序盤より速く走れるし、タイヤへの負担も軽い
・オープンなスペースを狙ってコース復帰、クリーンなエアーの中を走る事が出来る
↑理由から鬼神の速さでベッテルは1周当たり4秒速いタイムでアロンソを追いかけます!
そして2周後、更にタイムを落とすアロンソに対して10秒の差を縮めて30秒差に迫ります。
ここでフェラーリはアロンソをタイヤ交換の為にピットに呼び入れます!
そしてアロンソも30秒のタイヤ交換のタイムロスが必要になる為、タイヤ交換を終えた
アロンソがコースに戻ると同時にホームストレートを加速してきたベッテルが、
1コーナーでアロンソをオーバーテイク!!!
これで1位はベッテルに変わって、直後に2位のアロンソというポジションになりました。
これが、アンダーカットで順位が入れ替わる状況になります。
そうは言っても、いくつか疑問があると思うのでQ&A方式で書いていきますw
Q,なぜアロンソは、ベッテルの4秒落ちのタイムなのに、タイヤ交換に向かわないのか?
A.ピレリタイヤの性能低下は突然に、しかも極端に大きく現れます。
なので、残りの周回数を考えた場合、ベッテルと同じタイミングで早めに交換してしまうと、
交換後のタイヤでゴールを迎えたいが、性能低下で終盤で10秒落ちになる心配があって、
タイヤ交換に踏み切れなかった。4秒落ち程度で交換なんて、もったいない!という事です。
ここでTotal Timeが出てくるのですが、4秒遅れで2周走る方が、10秒以上遅れるぐらいに
極端に性能が低下したタイヤで最後を走るよりも傷が浅い。
局所的なポジションよりTotal Timeを重視した、何もしないという対応策になります。
Q.では、先にタイヤ交換したベッテルは、そのタイヤでゴールまで走りきれるのか?
A.もちろんベッテルも走りきれない可能性がある。しかし、先頭で走る事で自分の
ペースで走る事が出来る為、磨耗も抑える事ができる。
前を走る限り、接近されても後続のマシンは乱れたエアーの中を走る事になり、
接近してもオーバーテイクに至らない。
そのように、前に出てしまえば後続を牽制をしながら1位をキープする走りも可能になる。
ただし、やはり自分の方がタイヤに厳しい状況では、自分から仕掛けるのは、かなり
リスクがあり、明らかに前を塞がれていてタイムを損してる状況が無いと、選びづらい。
Q.1位走行中のアロンソが5秒縮められた1周後にタイヤ交換に入ったら?
A.それが中継だと、『アロンソも反応した!!!』っていう状態で、アンダーカットを
防ぐ為に、終盤グダグダになる可能性を残した状態で、トラックポジションを優先した
アンダーカットへのカウンターです。
実質的に、アンダーカットに対する唯一の対応策になります。
これを選択するとアロンソの後ろで付き合うことになる、仕掛けた側のベッテルのタイヤも
磨耗する事になり、 アロンソとベッテルの2人揃って終盤タイヤを壊してグダグダになり、
3位を走っていたライコネンが漁夫の利で優勝をさらうっていう事になりますwww
あ、漁夫の利と言っても、順位争いで無駄なタイムロスをしないで、しっかりタイヤを
コントロールして、Total Timeベストで走りきったのがキミだったという事です。
ただし!これが最終戦でアロンソはベッテルの前ですればゴールすればチャンピオン!
という状況であれば、アロンソはベッテルをカバーする、この作戦一択になります。
これが、いつのまに順位が変わったの!?っていうアンダーカットの全てですw
アンダーカットの語源は、切り詰めるという事で、使用中のタイヤが性能低下して、
タイムが大幅低下する部分を切り詰めて、次のタイヤへ履きかえる事かと思います。
Total Timeを捨てても、前で走る事を重視した戦略です。
しかし、それを実現する為には、空いたスペースを探し(順位争い中のマシンの後ろへ付くと、
たとえ周回遅れのバトルでも譲ってもらえない可能性がある)、そこへ確実に戻す安定した
ピット作業が必要です。 ザウバーのようなピットストップでは、アンダーカットを狙っても
成功する可能性は低いという事ですw
というわけで、トップを走るマシンとしては、Total Timeを重視したいわけですね。
ですから、アンダーカットを仕掛けられると、何するんだよ、迷惑な・・・って事にwww
極端な話、フォーミュラーニッポンのブリジストンタイヤのように、1周目にタイヤ交換の
義務を済ませても、履き替えたタイヤでタイムの低下する事無く走りきれてしまうような、
デグラデーションの無いタイヤでは、アンダーカットなんていう戦略は生まれません。
あくまでも、決勝で使えるタイヤを全部使っても、全力で走るとゴールする前にタイヤの
性能低下で大きくラップタイムが低下して走りきれない、いまのピレリタイヤだから、
編み出された戦略ですね。
仕掛ける側としては、そのまま走り続けても順当な順位にしかならない(前編の戦略)、
ここは積極的に動いて例え、Total Timeは悪くなっても、現状打破にはコレしかない!
って感じになると思います。
トータルの時間を短くする為にゴールを目指すが、トラックポジションを重視して
使えるタイヤを犠牲にして前に出て、ポジションを奪いにいく戦い方もあるという事です。
追う側、追われる側、それぞれが状況を判断して、戦略を実行しているんです。
ハミルトンがインタビューでこんなことを言っていました。
『デビューした頃のF1は、給油もありブリジストンのタイヤだったので、クレジットカードを
持って生活しているような感じで常に全力で走る事が出来た。
でも今のF1は財布の中にある100ドルで1週間生活する為に、残金を考えながら
生活するような感じで、非常にストレスが溜まる。』
やーまちゃん的な意訳ですが、これは非常に分かりやすい例えでした。
では、後編はこの辺で・・・
グラフというかラップタイムの解説は、また時間のある時に・・・
最後はすっきり終われなくてスミマセンw