
語ってみるシリーズw
今回は仕事でカーボンに触れたのもあり、何となく
カーボンをネタに書いてみようかなと思います。
結構、皆さん好きですよね?w
とはいえ全然、カーボンの専門家じゃないですw
あくまでも素人の戯言と思って読んでもらえれば。
大きな流れは間違っていないハズですw
さてさて、
繊維強化プラスチック、Fiber Reinforced Plasticsを略してFRPと呼びます。
その繊維にガラス繊維を使うと、Glass-Fiber Reinforced Plasticsで、GFRPと呼びます。
一般的にFRPと言えばガラス繊維のGFRPと考えて間違いないです。
この繊維を炭素繊維に置き換えたものが、Carbon-Fiber Reinforced Plasticを略して
CFRPと呼び、これが皆さんも大好きなカーボンと呼ばれるモノの正式名称になります。
炭素繊維にもPAN系、ピッチ系と種類がありますが、まずは工法の説明を進めますw
そのプラスチックを繊維で強化する方法が、
・織った繊維をプラスチックに貼り込んだもの
・繊維をプラスチックに練り込んで成型したもの
・樹脂を染み込ませた繊維を型に入れ圧力と熱を加えて硬化させたもの
・型に入れた繊維に樹脂を染み込ませ硬化させたもの
代表的なモノでも、これだけあり工法は様々です。
あ、ちなみにプラスチックにも、ポリ塩化ビニールとか、ポリプロピレンとか様々ですが、
ここはプラスチックと樹脂で総称させてくださいw
その強化する方法で、大きく差が出るのがオートクレーブという加圧オーブンを使い
樹脂を圧力と熱で硬化させるか否かです。
これがカーボンと総称されるパーツを大分類する条件になります。
この圧力と熱を加えて製造された部品は、ドライカーボンと呼ばれ、高強度、高剛性、
でありながら軽量という世の中のイメージ通りのカーボンパーツになります。
しかしながら、樹脂を染み込ませた炭素繊維をプリプレグと呼ぶのですが、
これが高価で、さらにオートクレーブと呼ばれる加圧できるオーブンも、大きな部品が
入るサイズとなれば、もちろん高額になり日本のどこにでもあるという物でもありません。
というわけでドライカーボンというのは高額で、レーシングカーや航空機、人工衛星、
そしてスポーツ分野の高価な対価を払っても、高剛性、高強度、軽量のメリットを
享受したい用途に限られて使われています。
そのイメージから、カーボン=高性能、高価というイメージができています。
さて、ここを読みに来てくれる方は、V36スカイラインのオーナーさんが多いと
思うのですが、V36スカイラインに実は結構大きなCFRPの部品が使われているのは、
ご存知でしょうか?w
場所は、ちょっと見づらいのですがフロントのラジエターやヘッドライトが取り付けてある
ラジエターコアサポートという骨格の部品です。
この部品がポリプロピレンにカーボン繊維を練り込んで射出成型されたCFRP製の、
軽量で高剛性、高強度な部品なんです。バンパーとボンネットに隠れて、
あまり自己主張もしないのでほとんどの方が、自分のV36にカーボンの部品が
装着されてるなんて知らずに、アフターパーツのカーボンリップスポイラーが欲しいな~!
なんて妄想しているのかなと思いますw
ですが、カーボンのリップスポイラーを取り付けしなくても、実はバンパーの奥に
CFRP製のラジエターコアサポートが隠れているんです。
ま、見えなきゃ意味ないよ!!!ってツッコミが聞こえてきそうですが・・・w
ちなみに、このカーボン混合樹脂はラジコンのサスペンション部品にも使われていますw
カーボンが混ぜ込まれていないPP製のサスペンションアームと比べると剛性が桁違いです。
タップでネジを切らないと、ネジが折れるぐらい硬度もあります。
そんなわけで、国産のCFRPの骨格というとトヨタのLF-Aが思い浮かぶと思いますけど、
実はLF-AよりV36スカイラインの方が、早くから骨格にCFRPの部品を使っていたという
事になるんですね。
自動車技術会の『人とくるまのテクノロジー展』なんかに行ってみると、そのような
最先端の技術に触れる事が出来ます。
そのLF-Aのカーボンモノコックもオートクレーブを使ったドライカーボンではなく、
レジントランスファーモールディング(RTM)のという技術で作られています。
というわけで、モノコックの大部分はドライカーボンではないんですね。
部分的にバルクヘッドなどにはドライカーボンも使われているようですが、キャビンごと
オートクレーブで焼き上げる必要が無いために、大幅にコストダウン出来ているのでしょう。
そのRTMというのがどんな工法かという説明をする前に前に、その差を理解する為に、
皆さんも憧れのドライカーボンはどう作るか説明しましょう。
まずカーボンの部品で皆さんが目にするのはキレイに織られた炭素繊維の
網目模様だと思います。
これを見栄え良くする為には、オス型(凸)ではなくメス型(凹)が必要になります。
そのメス型に対して、何度か書いているプリプレグと呼ぶ、織った炭素繊維に
エポキシ樹脂を染み込ませたシートを貼り込んでいきます。
次にプリプレグを貼り込んだ型を布団圧縮袋のようなものに入れ、空気と余剰な
樹脂をポンプで吸い出します。
そうする事で繊維に染み込んだ樹脂を最低限にして無駄な樹脂を減らし剛性を上げます。
それと同時に、加圧しながら加熱できるオーブンに入れて、だいたいですが5気圧、
100℃程度で数時間かけて(4~5時間)で硬化させます。
加圧する事で樹脂内の空気を閉じ込め巣を無くす目的があるんじゃないのかなって、
思っています。巣が出来ると、剛性も強度も落ちてしまいますからね。
こんな感じで、ドライカーボンはオーブンで窯焼きするとか言いますが、カーボン=炭、
オーブンという名前からの想像でしかなく、実際には100℃程度で樹脂を
硬化させるのが目的です。繊維自体は高温で炭化していますけど。
では、LF-Aでも使われたレジントランスファーモールディングの説明をしてみましょう。
この工法は、まず樹脂を染み込ませていない繊維だけを入れた金型に、樹脂を射出しながら
徐々に型を締めていくという方法になります。
金型でプレスしながら樹脂を浸透させるのでパーツ内に取り込む空気も少なく製品の
品質も安定して、オートクレーブが無くても加圧する事が出来ます。
その後、型から取り出して樹脂を完全に硬化させる為に100℃程度で数時間硬化させます。
インフュージョンとも呼ばれ、新工法に進化して今後主流になる技術なんだと思います。
加圧しながら加熱をするというオートクレーブを使わなくて済むというのがポイントですね。
大きな設備がいらない→設備投資が少なくて済みどこでも作れる=安い
最後に、わたしたちの身近な所にある車のエアロパーツは、風呂のバスタブや
野球場の椅子、そのようなFRP製品とほとんど同じ工法で作られています。
メス型を用いて、低温で硬化するポリエステル樹脂に炭素繊維を織ったカーボンクロスを
貼りつけた、ウェットカーボン製です。
特に加圧も加熱も必要はなく、透明なポリエステル樹脂が主材料で1枚だけ炭素繊維の
織物が貼り込まれているだけなので、剛性もへったくれもない代物ですw
ただ、湿ったポリエステル樹脂に織り目を維持してカーボンクロスを貼り込むノウハウ、
そしてボディとフェッティング良く製品を作るノウハウは、製品の値段に比例しますね。
FRP製品を見ると粗悪なものはフィッティングも最悪ですしね。
ただ、世の中にある自動車用のエアロパーツは、趣味性が強いのでどんな値段でも
買い手が居れば適正価格だと思いますけど、内容的にとてつもないデザイン料だな・・・
って感じますwww
最初の方に書いた炭素繊維の種類もPAN系、ピッチ系とあり、ヤング率が違い
主用途も違います。が、だいぶ長く書いてきたので、この辺で終わりにしますw
とりあえずはCFRPにはドライカーボン、ウェットカーボン、カーボン混合樹脂が
存在して、いまはドライカーボンとは呼べないけどインフュージョンと呼ばれる工法が
上り調子である事を覚えておくと、カーボン博士になれると思いますwww
ちなみに、そんな秘めた部分にCFRPのラジエターコアサポートを使っている
V36スカイライン、手に触れる部分、マグネシウム製のパドルシフトが装備されてるのは
ご存知かと思いますが、実はステアリングのフレームもマグネシウム製なんです。
一般的に使われてるのかも知りませんけど、エアバッグを外した際に気が付きましたw

結構、恥ずかしがり屋みたいで、おれマグネシウムだもんねー!
とか、おれCFPRだもんねー!って主張はしませんが、
実は結構マテリアル的にも目を引くアイテムが多い車なんですよねw
V37は目前ですが、まだまだV36、しゃぶりつくしたいなって思ってますwww
で、10/27日は愛知県のラグーナ蒲郡で恒例の全国オフですね!!!
100台分のCFRP製ラジエターコアサポートを並べましょう!w