
引き続き、Part2を書きたいと思います!
今回の内容は、かなり興味深いです。
このGT-R LMの前輪駆動という姿は完成形では無く、
脚が無い状態だと、私は何度も書いて来ました。
でも、Part1では前輪駆動って書いたじゃん。
その辺の続きの話が出てきますよー!
というわけで、非常に興味深い内容になります!
もちろん、今回の動画も日産公式では無いですし、あくまでも状況証拠でしかないのですが、
脚(後輪への駆動伝達)を検討していた痕跡が、写真からも見て取れるのです。
というわけで、スタートです!
フロントエンドはタイトなパッケージの為、フロントアクスルにはプルロッドサスペンションが
採用されていましたが、ギアボックスの上にショックアブソーバーが置かれています。
フロントオーバーハングを短くパッケージする為に、オルタネーターをギアボックスの内部に
収容するという異常な構造で、更にトランスミッションは5速しかありませんでした。
ライバルになる3車は、6速に7速というのが当然という状況で5速です。
ギア比がワイドになるので、この5速ミッションというのが足を引っ張りますが、それは後程。
車体構造に視点を移すと、フロントから始まる巨大なエアトンネルがあり(黄色の矢印)、
車体骨格が、非常に大きなディフューザーになった構造です。(水色の矢印)
左右のエアトンネルは、赤ん坊が中に入る事のできる十分な広さでした。
このトンネルにより、GT-R LM NISMOはライバルのようにエアをボディサイドから外側に
排出するのではなく、車内を通して流れを後方まで導く事ができました。
これでまた抵抗が減り、さらに巨大なダウンフォースの獲得に成功したのです。
通常であれば、フロントのディフューザーで跳ね上げたエアは、グランドキャニオン、
エレファントフットという、前輪後部のボディ側面から排出します。
GT-R LMは、何故フロントからリアまで一体の強大なディフューザー構造にできたか。
なぜなら、ミッドシップのレイアウトでは、エンジンにトランスミッションがありますが、
GT-R LMの車体後部には文字通り何もなく、後輪だけがあったからです。
リアにパワートレーンが何もない上に、後輪のタイヤ視点で見ても、競合他社のような
310幅の後輪ではなく200幅であれば、車体内部のエアトンネルで車両後部の全てを
埋めることができ、乱流をなくし、抵抗を減らし、ディフューザーのパフォーマンスを
向上させることができるようになりました。しかし、リアサスのアームは非常に短いです。
この、ディフューザーの効率が大幅に向上した事で・・・
当初はリアウイングを使わないことも考えられたという。
このような巨大なディフューザーを実現するために、背面のデザインは非常に特別です。
通常は、リアカウルの高さを如何に下げるか、そのようにしてリアウィングの効率を上げたい、
そのようなデザインに対して、GT-R LMのリアデッキの高さは非常に高い。
大きなエアトンネルはシャーシの一部であり、一般的な床面のディフューザーに追加して、
動態の内部を貫通する、エアロトンネルで車両の前方が丸見えです。
これは、床面&胴体内のエアロトンネルで、十分なダウンフォースを獲得しているわけです。
リアサスペンションを見てみましょう。
小さなウィッシュボーンと小さなショックアブソーバーを動かすための小さなプルロッドがあります。
ショックアブソーバーはロールとヒーブを制御するために油圧で接続されているため、
左右のサスを繋ぐスタビのバーも無く、大きなディフューザーを邪魔するものは何もありません。
しかし、ハイブリッド システムについてはどうなるのでしょうか?
フロントアクスルから非常に多くの回生を得られる為、日産は最大の8MJクラスを決定しました。
それだけではなく、日産は競合他社のような電気システムを使用する代わりに、
機械的エネルギー回収システムを使用します。
それはエンジンの後部、つまりドライバーの脚の下 (サバイバルセルの内側) に接続されており、
ほぼ真空中で動作するTorotrak製の2つのフライホイールユニットをパラレルでを備えていました。
トロトラックは1つのフライホイールを400kJ、つまり両方で800kJと提案しましたが、
日産は2つのフライホイールの合計で1200KJを要求しました。
そのため、最初の実際のエンジニアリング上の問題が発生しました。
サプライヤーはシステムのパフォーマンスを期限内に50%向上させる必要があったのです。
開発するには時間が必要でしたが、日産には時間がありませんでした。
2015年のWECシーズンが始まったとき、彼らにはわずか数か月しかありませんでした。
この機械システムを詳しく見てみましょう。
なぜ機械システムが電気システムよりも優れているのでしょうか?
デプロイ時、回転から電気へのエネルギー変換とその逆のエネルギー変換が節約され、
機械システムの効率が向上するためです。
また、ローターあたりの重量はわずか 8.5kg と小型かつ比較的軽量です。
回生、デプロイの過程で高電圧がかからず、劣化することはありません。
基本的には、回転する車輪の運動エネルギーを利用するおもちゃの車のようなものです。
多数の小さなギアでドライブトレインに接続されています。
しかしながら、信頼性に対する複雑さと課題はすでに推測できますし、それだけではありません。
回転ホイールのドライブトレインへのエネルギー供給を制御には、CVTギアボックスが必要です。
これもパッケージ化され、最大65000rpm で回転する必要があります。
これらすべてのギアやその他の回転部品にはオイルが必要です。
この高回転するシャフトというのは、ホンダのF1 PUにも通じる技術的課題ですね。
さらに日産はフロントでエネルギーを回生し、それでリアを駆動する計画をしました!
エンジンの発生する駆動力はフロントタイヤを駆動するだけですが、回生したエネルギーで
後輪を駆動する、電動4WDが計画されていたという事です。
しかし、機械式システムであるため、ケーブルを何らかの方法で車両に通すだけではだめで、
後部に動力を伝達するにはさらに多くのギアとシャフトが必要です。
まず、前輪駆動のGT-R LMですが、動体に3つある穴のセンターにはプロペラシャフトが見える。
そして、そのプロペラシャフトからリアタイヤへの駆動は、ギア駆動を構想されていました。
ドライブシャフトの相当するシャフトはエアロトンネルの流れを遮らないように、
高さを下げ、ホイールセンターからは相当に低い位置で伝達する為に、ギア駆動です。

その為、日産は複雑さを避けるために、最初はフロント駆動の車を構築する事にしたのです。
この開発初期のGT-R LMというのが、2015年にLeMansに参戦したマシンという事です。
ダイナモのERSシステムは問題ありませんでしたが、ここで覚えておかなければならないのは、
トロトラック システムはもともと道路用車両や商用車用に設計されたということです。
その為、彼らが初めてサーキットに登場し、日産プロトタイプが生み出した極度の
Gフォースでシステムを実行しようとしたとき、あらゆる種類の問題が発生しました。
ローターは「真空に近い環境」を失い、先端が超音速で回転し、文字通り自らを破壊していました。
また、掃気オイルシステムは高いG力でも適切に機能せず、潤滑の問題を引き起こしました。
簡単な修正は不可能で、時間は残りわずかでした。
ちなみに、Part1で書いたようにAUDIもフライホイールによるエネルギー回収を行いましたが、
日産の8MJに対して、2MJのテーブルを選択していました。
結果的にはフライホイール式の性能限界は2MJ程度だったと想像できます。
日産は当初、約1400馬力の8MJクラスの車を発表しました。
しかし、内燃エンジン自体は約550馬力しかありませんでした。
LMP2のマシンでも700馬力のエンジンを搭載しています。
Part1で書いたように、8MJのハイブリッドを選択した日産のエンジンは燃料流量制限が
厳しい状態を選択した為、ハイブリッドの開発が成功しない事には550馬力での参戦になる・・・
という事で、Part2はここまでw
今回は、いまのプジョーと同様に日産もリアウィングレスでの参戦も検討していた。
そして、FFのレーシングカーと宣伝されたGT-R LM NISMOですが、4WDでの開発をしていて、
開発の遅れによって、FFで参戦するしかなかったのではないかというの事が見えてきました。
そしてハイブリッドシステムがAUDIでは2MJの構造で、日産は8MJというチャレンジをしてしまった。
この8MJのハイブリッドシステムは完成するのか!?
ということで・・・to be continued
Part1を読むと、ある程度レーシングカーが好きな人には分かるけど・・・という部分が
何カ所かあるので、そこに関してはPart3のあとに、補足編を書きたいと思いますw