
日産ファンが気になる疑問がクリアになる、
ズバッと切り込む良い記事があったので紹介します。
クルマでいこうの岡崎五郎さんの記事です。
最近の日産のゴタゴタ、元会長に戻って来てもらえとか、
元会長の逮捕直前まで日産は絶好調だったみたいな、
事実ベースを見る気すらないゴミ記事も多い中で、
日産の状況も、しっかりと捉えた上で書かれた記事です。
日産の次世代車が本当に期待大かは、あくまでも岡崎さんの感想ですw
キモになる部分を引用していきます。
■現在の経営状況を招いたコスト至上主義の徹底
日産の苦境の原因を、カルロス・ゴーンの逮捕・海外逃亡といったスキャンダルによるイメージダウンの影響と考える人も多いが、それには諸手を挙げて賛成できない。確かに影響が全くないとはいわないが、極めて限定的というのが僕の読みである。
では、何が問題だったのか? それは“ゴーン〜西川(廣人氏)時代”の失策のツケが回ってきたというのが真相だ。
1999年に日産へ来てからの約10年間、ゴーンは間違いなくヒーローだった。2000年末に生産が終了した「フェアレディZ」(Z32型)の後継モデル開発にゴーサインを出し、新しいZ33型を後に経営をV字回復させる“日産リバイバルプラン”の象徴と位置づけたのはゴーンだし、グローバル市場における日産のシンボルとして「GT-R」の復活を宣言し、現行のR35型を世に送り出したのもゴーンだ。
しかし、日産の経営が軌道に乗ると、次第に“日産のための経営ではなく、筆頭株主であるルノーへの資金環流を重視する経営”に傾いていった。それを象徴するのが、モデルチェンジサイクルの長期化だ。
新車開発には莫大な資金が必要となるため、モデルチェンジを遅らせれば遅らせるほど開発経費を削減できる。もちろん、登場から時間が経てば売れ行きは鈍るものの、そこは値引きを拡大して無理やり売る。結果、1台当たりの利益は減るが販売台数は増え、開発費も削減できるため、会社トータルとしての利益は増える。加えて、マイナーチェンジの際は商品を改良するのではなく、例えば、サスペンション性能を高めるスタビライザーを省くなど、コスト至上主義が徹底されていたのも当時の日産車の傾向だった。
そうやって日産の(帳簿上)の経営は2016年にピークを迎えたわけだが、そんな戦い方が長続きするはずもない。残されたのは過剰な生産設備と古びたラインナップのみ。また、ダットサンブランドを復活させるなど、台数拡大を狙った途上国への進出も目論見通りにはいかず、日産の経営状態は坂道を転げ落ちるようにして悪化。そうして今に至るわけだ。
■まずは自分たちが欲しいと思えるクルマ作りから
日産の経営陣にもう一度直視して欲しいのが製造業としての本質だ。利益率とか工場稼働率とか販売台数とか、そういった数字のハナシではなく、自分たちは果たして、ユーザーが欲しいと思う商品を提供できているかどうか? そこが根本的に改善されない限り、コスト削減は対処療法で終わってしまう。魅力的な商品を提供し、それを買ってもらう。その結果生じる一つ一つの取引が集まって、日産自動車の販売台数になり、売上高となるのだ。
しかし、日産自動車の社員から聞こえてくるのは「自社には乗りたいクルマがない」という声。社員ですらそうなのだから、ユーザーに買ってくれというのは無理な話かもしれない。まずは自分たちが欲しいと思えるクルマを作り、それを提供するくらいの気持ちがなければ、根本的な解決にはならないはずだ。
■日本市場にも魅力的なモデルをどんどん投入
モデルチェンジサイクルも長く、平均車齢はライバル各社の中で最も古い。こうした背景にはどんな判断があったのだろうか?
これに対しグプタ氏は「そのことについては、私も以前から気になっていました。最大の原因は、世界中で拡大路線を進めた結果、開発リソースが不足して日本市場向けのモデルにまで手が回らなかったことです。日本は特殊な市場で、販売されているクルマの63%が日本専用車種。グローバルカーを優先的に開発した結果、その63%が軽視されてしまいました。これは反省すべき点ですし、今後は日本専用車種の開発にも力を入れていきます」と答える。
「日本市場のもうひとつの特徴が、世界で最も高齢化が進んだマーケットだということです。高齢ドライバーの方にも安心して運転していただくために、日産が得意とする“プロパイロット”のような運転支援技術がきっとお役に立てるはずです。いい換えれば、日産のニューマンセントリック思想、つまり人間中心思想というのは、本来、日本のマーケットに適したものなのです。
■状況が厳しくてもなくすわけにはいかないZとGT-R
やはりZとGT-Rの話題を避けて通るわけにはいかない。そこで、話していただける範囲でこの2台の計画について尋ねた。
「先日の決算発表会では、今後発表予定のモデルとともに、新しいZのイメージスケッチをご覧いただきました。まだ正式決定は下していませんが…やる方向で進めています。」
一方、GT-Rは超ハイパフォーマンスカーのため、刷新は困難なように思われる。
「確かに今、GT-Rの開発は止まっています。一番の課題はパワートレーンです。いろいろな案が出ていましたが、その中のひとつである電動化プランは、私がストップをかけました。実はイタルデザインと共同開発した50周年記念限定モデル『Nissan GT-R50 by Italdesign』は、110万ドル(約1億6000万円)という高額車にもかかわらず、予定していた50台が完売したんですよ。営業サイドには『なぜ200万ドル(約2億1100万円)にしなかったんだ!』といいました(笑)。
2021年の1月には方向性を固めたいと思っていますが、こちらもZと同様、やる方向性です。これはもうコストの問題ではありません。GT-Rは日産自動車の文化、ブランドアイコンですから、いくら状況が厳しくてもなくすわけにはいきません。同様に、モータースポーツ活動も続けていきます」(グプタ氏)
■久しぶりに日産の経営陣と“クルマの話”をした
グプタ氏と話していて印象的だったのは、話の中に“数字”がほとんど出てこなかったこと。商品力とか、日産らしさとか、ブランド力とか、そういった話題を日産の経営陣と最後にしたのは、いつのことだったか。思い出せないくらい昔のことだ。
ゴーン時代はクルマ好きであることを公言すると、ゴーンに叱責されたという。「クルマ好きの視点では経営判断を間違えるぞ」と。それがゴーン流経営の限界だった。自動車メーカーの決算資料に載る数字を作るのは、ほかならぬユーザーの支払う購入代金なのだから。そういう意味で、ZやGT-Rの話題もさることながら、個人的に一番うれしかったのは、日産の経営陣と“クルマの話”ができたことだった。
ならば、内田社長はどうか? 公の場では社長らしく振る舞う内田社長だが、先日のインタビューではその人となりを垣間見ることができた。プライベートでは常にMT車を所有し続け、趣味は愛車のメンテナンス。「社長がこんなことをいったらディーラーさんに叱られるかな」と苦笑いしつつ、車検はいつもユーザー車検だと明かしてくれた。
引用終わり。
というわけで、NISSAN NEXT A to Z に入ってない、次期型GTRに言及した初の記事かも。
元会長、最初の10年、次の10年が全く違うベクトルで仕事をしていたという部分、
そして、日産ファンなら気になる質問を、しっかり聞いてくれた良い記事だと思いました。
というわけで、記事全文は関連情報からどうぞ!
Posted at 2020/07/29 22:57:45 | |
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車について考えた | 日記